JR小樽駅から徒歩約20分、南北に湾曲して走る小樽運河の北部は、通称「北運河」とよばれています。漁船やクルーザーが数多く停泊し、両脇には古い倉庫が建ち並び、昔ながらの小樽らしい景色が残っています。
そのなかで、とくに観光客や地元客に愛されているのが、明治時代に建てられた「旧渋澤倉庫」。重厚な石造りの外観は、小樽の歴史を伝える圧倒的な存在感です。内部は居心地のよいカフェなどに改装され、ランチやコーヒー、スイーツはもちろん、夜はお酒も楽しめる空間となっています。
観光
2016.12.20
北の商都・小樽の歴史を刻む
北運河沿いの旧渋澤倉庫
writer : 石田 美恵
明治生まれの倉庫が、オシャレな場所に変身
旧渋澤倉庫は左右に二つ細長い倉庫があり、中央の大きな倉庫がその間をつないでいます。向かって右側の倉庫が一番古く、1892(明治25)年頃に建てられ、次に左、最後に中央部分ができ、1910年代には現在の姿になりました。
中央と左側の倉庫には、2010年にオープンしたライブシアター&カフェレストラン「小樽ゴールドストーン」が入っています。内部は最新の音響設備をそなえ、国内外のアーティストの音楽ライブやパーティ会場として使われる熱い空間。
ライブ前にゆっくり過ごせるように、とつくられた「ゴールドストーンカフェ」は、オレンジの灯りがまばゆいバーカウンターが特徴です。キラキラとした光は、小樽の海に沈む夕陽をイメージしているそう。長さ7m50cmある立派な1枚板のカウンターに向かうと、ちょっと贅沢な大人の気分。
魚介料理もカクテルもおまかせ!
ゴールドストーンカフェでシェーカーを振るのは、小樽生まれ小樽育ちの細川耕路さんです。「お客様の好みに合わせて、なんでも作りますよ」と頼もしい限り。
さらに、小樽のおすすめスポットや、おいしいお店も紹介してくれます。「小樽のまちを満喫してほしいので」と地元愛にあふれたサービスマンです。そんな細川さんのイチオシメニューは、港町らしく魚介たっぷりのパエリア。
ほかにも道産食材を使ったパスタやピザ、小樽名物あんかけ焼きそばなどが人気です。大きな窓に面したテーブル席からは、運河を行き交う船が見え、古い町並みがとっても身近に感じられます。
往年の名車が迎えてくれる隠れ家カフェ
倉庫の間は中庭のようになっていて、可愛い車が停まっています。こちらは右側の倉庫に入っている「プレスカフェ」のトレードマーク。
イギリス製1960年代の名車で、オーナーの稲葉圭計さんいわく「いまもちゃんと走りますよ」。店内ではピカピカのオープンカー、MGミゼットが迎えてくれます。
「この店は、ぼくの好きなものを押しつける(=プレス)カフェなんです」と笑う稲葉さん。
店を訪れる人たちは、まるで友人の家に遊びに来たように、あちらこちらに興味津々。壁にはこんなハンドルも飾ってあります。プレスカフェは以前札幌にありましたが、2006年に小樽に移転。以来、札幌、小樽、全国からの観光客と年々ファンを増やし続けています。
歴史的な空間で、おいしいひとときを
プレスカフェの人気メニューは、稲葉さんがインド料理の本をお手本に考案した北インド風カレー。16種類のスパイスやハーブに、たっぷり玉ねぎとトマトソースを加え、7時間煮込んで仕上げた味わいは滋味深いまろやかさ。
こちらも稲葉さんオリジナル、ダブルチーズケーキとの相性もぴったりです。コーヒーは産地国はもちろん、生産農場までが明確なスペシャルティコーヒーの豆を使い、1杯ずつ丁寧にドリップしてくれます。おいしい時間をゆっくり過ごしていると、気分はすっかり小樽っ子。
旧渋澤倉庫は1915(大正4)年に小樽に進出した渋澤倉庫(創業者は渋澤榮一氏)により、港に出入りする船の荷を預かる倉庫として活躍していました。当時の活気に想像をめぐらせながら、「北の商都」とよばれた小樽の空気にひたってみましょう!
スマートポイント
- 小樽ゴールドストーンは、有名アーティストが出演する北海道屈指のライブハウスです。公式サイトにスケジュールが出ているので、事前にぜひチェックしましょう。間に合えばチケットが買えるかも!
- プレスカフェには運河と逆側の入口もあり、どちらかというと地元客仕様。常連さん気分を味わうには、こちらから出入りしましょう。
- JR小樽駅から旧渋澤倉庫まで、地図で見ると遠いように思いますが、運河沿いを歩いてくると、それほど距離を感じません。ゆったり散歩に最適です。
ライターのおすすめ
夕暮れ時、運河から眺める倉庫の景色がすばらしくキレイで、窓からもれる灯りや車、街灯、クルーザーなど全部が絵になります。
石田 美恵
札幌出身。料理本編集者として東京の出版社に勤めたのち札幌にUターン。海藻と羊肉、鮭、お寿司が好きです。
INFORMATION
スポット名 | 小樽ゴールドストーン(旧渋澤倉庫) |
---|---|
住所 | 北海道小樽市色内3丁目3-21 旧澁澤倉庫 |
ジャンル | カフェ・スイーツ |
電話番号 | 0134-33-5610 |
料金 | 平均予算1,000円〜2,000円 |
営業時間 | 午前11時〜午後10時(ランチタイムは午前11時〜午後3時、午後9時以降はバータイムで、メニューは軽食と飲み物になります) |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は翌日火曜日) |
駐車場 | あり |
備考 | HP:http://www.goldstone.co.jp |
地図 | 43.2049354 |
スポット名 | プレスカフェ(旧渋澤倉庫) |
---|---|
住所 | 北海道小樽市色内3丁目3-21 旧渋澤倉庫 |
ジャンル | カフェ・スイーツ |
電話番号 | 0134-24-8028 |
料金 | 平均予算1,000〜2,000円 |
営業時間 | 午前11時30分〜午後10時(ランチタイムは午前11時30分〜午後3時) |
定休日 | 木曜日 |
駐車場 | あり |
備考 | HP:http://www.presscafe.biz/ |
地図 | 43.2049354 |