2003(平成15)年にオープンした札幌市アイヌ文化交流センター「サッポロピㇼカコタン」。一番の特徴は、見るだけでなく、衣類や狩りの道具、生活用品などの展示物に直接手で触れられることです。場所は、札幌中心部から車で40〜50分の小金湯温泉。すぐそばには豊平川が流れ、四季折々の山の景色が美しい山間にあります。
展示は屋外と屋内に分かれ、夏から秋にかけては舞踊や料理などをフィーチャーしたイベントも開催。札幌市内にあって、アイヌ文化を身近に体験できる貴重なスポットです。
観光
2017.02.11
アイヌ文化にふれて、体験!
サッポロピㇼカコタン
writer : MAYO
アイヌの人たちが住んだ家「チセ」におじゃましてみよう
アイヌ語で「札幌の美しい村」を意味するサッポロピㇼカコタン。村の探索は、アイヌ文様がデザインされた鉄筋コンクリートの建物の左側、「歴史の里」からはじめるのがいいでしょう。そこにあるのは「ポロチセ(大きい家)」と「ポンチセ(小さい家)」の、2棟の萱葺の家。チは「我ら」、セッは「寝床」を表すことから、チセは「住居」を意味します。
玄関から中に入って進むと、ドーンと広がるワンルーム空間。丸太で組まれた屋根の小屋組や柱・梁が圧巻です。さらに、靴を脱いで床上に上がってみます。正面にある窓は神様が出入りする窓で、この窓と炉の間は神様の通り道。人間が足を踏み入れてはいけない場所なので注意しましょう。
アイヌの自然観を垣間見る「自然の里」
「歴史の里」から山の方向に向かい、センター棟を右に見ながら小道を下ると、二つめの屋外展示「自然の里」に出ます。夏は石垣の間からヘビが出てくることもあるので「注意!」の立て札も。「自然の里」には、食料や薬にする植物を植えていた様子や池が再現されています。
さらに、コーンと音がする方向を見れば、萱葺の屋根がかかった臼と杵が。これは、水の力で大きな杵が上下する精米装置「イユタプ」。杵の後ろ側にある溝に水が注がれるようになっていて、水の重みで杵が上がり、満杯になって水があふれると杵が下りて、コーンと臼を打つというしかけです。ぜひチェックを!
ストリートギャラリーは、まるでお店のショーウィンドウ
「自然の里」から来た道を戻り、坂を登った左側にある階段を上がるとセンター棟へのアプローチに出ます。建物の2階にあたる入口を入り、エントランスホールへ。ひときわ目を引く大きな木彫りは、弦楽器トンコリをモチーフに、アイヌ文化の復活をイメージしてデザインされたモニュメントです。
エントランスホールから階段を降りた中2階には、吹き抜けが大きく気持ちよく広がるレストコーナー。そこからさらに下って1階の展示室に向かう途中、階段の右側のスロープに設けられているのが「ストリートギャラリー」です。
ゆるやかな川の流れをイメージして、やさしい波形でデザインされたギャラリーは、おしゃれなお店のショウウインドウを覗いているような楽しさ。アクセサリーや靴、カゴなどが美しいディスプレイで、さらに引き立って見えます。
ふれて実感! アット゜シ織りの感触、サケの皮の靴の丈夫さ
1階の展示室には、札幌アイヌ協会が復元製作した約300点の民具が展示されています。ゲートの上に「見て・ふれて・体験して」と書かれているように、手に取ってみられるのが特徴。ニレ科のオヒョウの樹皮を使ったアット゜シ織りのしっかりした張り感なども、触って確認できます。
植物から採った繊維のほかに、防寒着を鹿の毛皮でつくったり、靴などには防水効果もあるサケの皮を使ったアイヌ民族。サケの皮で靴?という疑問も、触ってみれば納得できるはずです。
女性が身に付けたガラス玉の首飾りタマサイや、母から娘に受け継がれるアイヌ文様が刺繍された手甲や鉢巻などのファッションアイテムから、狩猟道具、生活用品、薬に使った植物の解説など興味深いものがいっぱいの展示室。映像やクイズなどで楽しく学べるコーナーもあるので、じっくり体験して、しっかり楽しみましょう。
スマートポイント
- 6月〜10月くらいまでの間には月1〜2回、古式舞踊やアイヌ料理、モノづくり体験、子どもの遊び体験などが織り込まれた催しが実施されるので、スケジュールをホームページでチェックしておきましょう。
- せっかくの小金湯温泉なので日帰り温泉も楽しみましょう。サッポロピㇼカコタンの向かい側に「湯元 小金湯」、豊平川沿いに「まつの湯」と2軒の温泉旅館があります。
- 小金湯温泉のお湯も楽しむなら、じょうてつバスの往復乗車券+入浴券(1施設分)がセットの「温泉日帰りパック」1,800円がお得。札幌駅や真駒内駅発着のバスを利用して、小金湯下車、徒歩5分ほどで着きます。
ライターのおすすめ
展示室を入って右側にあるビデオコーナーで、アイヌ文化の基本的なことを学んでから見るのがおすすめ。モニターの下にあるボタンを押せば、スタートします。
MAYO
札幌生まれの札幌育ち。一時期、京都・東京で過ごす。北海道大好き、沖縄大好き、旅行大好き、キャベツ大好き。
INFORMATION
スポット名 | 札幌市アイヌ文化交流センター サッポロピㇼカコタン |
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住所 | 北海道札幌市南区小金湯27 |
ジャンル | 博物館 |
電話番号 | 011-596-5961 |
料金 | 入館無料 ※ただし、展示室のみ有料(一般200円、高校生100円) |
営業時間 | 午前8時45分〜午後10時(展示室と庭園は午前9時〜午後5時) |
定休日 | 月曜日、毎月最終火曜日、祝日、年末年始(12月29日〜1月3日) |
駐車場 | 有 |
備考 | HP:http://www.city.sapporo.jp/shimin/pirka-kotan/ |
地図 | 42.9689242 |