桜前線が北海道まで北上するのは、ゴールデンウィーク直前。函館周辺の比較的暖かい道南といわれるエリア。このあたりまでは、梅前線が桜前線より早く北海道に到達するのですが、函館からさらに桜前線が北上すると、札幌あたりで、桜前線は梅前線に追いつきます。旭川など道北では、梅前線を桜前線が追い越してしまう……これが北海道の桜です。
公園で花見をするもよし、桜並木を散策したり、ドライブするもよし。遠くに見える残雪と桜を眺めるもよし。北海道は花見も楽しい大地なのです。
季節特集
2020.04.05
GWからピークを迎える
雪国・北海道の桜
writer : 千石 涼太郎
新幹線で花見に行こう、函館と北斗、そして森!
道外の方にはなじみが薄い北斗市ですが、新幹線の駅ができたところといえば、わかっていただけるはず。この北斗市には、たくさんの桜が植えられ、隠れた名所になっています。
大野川沿いの桜は、せせらぎ公園から本郷橋からまで続き、回廊のような美しい並木。天皇陛下(皇太子時代)のご成婚を祝って植えられたものです。
函館市内には北海道の桜の名所としてもっとも有名な五稜郭公園があります。西洋四季城郭跡であるこの公園には、箱館奉行所が復元され、桜をめでながら、歴史ロマンを感じつつ、散策してはいかがでしょうか。
元町公園付近にも桜が咲いていますので、旧函館区公会堂など観光はGW前半がオススメです。
「いかめし」で有名な森町。北海道は「町」を「ちょう」と読むのが一般的ですが、なぜか森町だけは、「もりまち」と読みます。この森町のお花見ポイントは、ずばりオニウシ公園。駒ヶ岳を見上げられるかと思えば、海も見え、時には噴火湾(内浦湾)の向こうに羊蹄山や有珠山が見えることさえも!
北海道の桜の名所といえば、静内の二十間道路!
新ひだか町は静内(しずない)にある幅二十間(約36m)で約7kmも続く直線道路が桜の名所。道の両サイドには約3,000本の桜が植えられています。「北海道遺産」にもなっているこの桜並木は、「日本の道100選」や「さくら名所100選」にも選ばれている大人気の花見の名所となっているのです。
GWに行われる「しずない桜まつり」には、道内外からたくさんの花見客が押し寄せ、渋滞は必至。のろのろ運転中、車窓から桜を眺めて帰る人もいるくらいですが、それでも十分、満足できる絶景空間なのです。
道東の桜は GW後から5月中旬が狙い目!
オホーツクの海から流氷が去り、やっと春を迎えると、網走郊外の天都山(てんとざん)が桜のシーズンを向かえます。北海道の桜の名所のなかでも、オホーツク海と雪をかぶった知床半島の山々を同時に拝める場所は多くはありません。
海の向こうに見える左側の山は海別岳、右端は斜里岳。桜のピンクと緑と、海と浜辺。そして、知床の山々。網走は流氷だけではないのです。新鮮な空気と空と山と海に、桜……。これぞ、知床・オホーツク!
もっとも開花の遅い町、根室で花見はいかが?
十勝や釧路・根室にも桜の名所はいくつもあります。帯広郊外にある音更(おとふけ)町にある鈴蘭公園もそのひとつで、6月上旬に咲くスズランの前、5月中旬に花見のシーズンを向かえます。約200本の桜は夜になるとライトアップされ、ロマンチックな雰囲気に。
釧路の見所といえば、柳町公園などもありますが、やはり春採湖(はるとりこ)のある春採公園へ行きたいもの。春採湖は野鳥の飛来地としても知られる静かな景勝地なのですが、桜の季節はバーベキューを楽しむ人もいる人気の花見スポットとなっています。
日本でもっとも開花が遅いといわれる根室もはずせません。清隆寺というお寺には、明治初期に国後島から移植された千島桜が記念保護樹木として残っていますし、明治公園には北海道らしく、バーベキューコーナーがあります。
大雪山系を眺めながらの花見も一興です!
道東よりは若干、桜前線が早いといっていいレベルではあるものの、やはりGWではまだ早いのが道北。道東と同じで、花見の季節はまだまだ寒く、山間部ではスキーができるくらいです。
旭川近辺なら、やはり大雪山系の山と桜を同時に見るのがベスト。写真は、道道611号瑞穂東川線の津山牧場近辺から、旭岳をバックに撮ったもの。この雄大な景色は、桜の周辺で酔っぱらう花見とは違い、北海道ならではの楽しみではないでしょうか。
※こちらは、公開日が2017年4月1日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。
スマートポイント
- 北海道の桜のシーズンは道南でGW前半から、道北・道東は5月中旬以降です。GWなら、道央から道南が狙い目。
- 北海道の花見はバーベキューやジンギスカンが楽しめる場所があります。事前に予約を入れましょう。
- 根室の明治公園など、ライトアップされる公園も増えています。昼だけでなく、夜もオススメです。
ライターのおすすめ
札幌や小樽、函館などの花見スポットもいいですが、大雪山や羊蹄山など、雪帽子をかぶった山を見ながらの花見、海を見下ろしながらの花見をぜひ満喫してください。
千石 涼太郎
北海道や旅、地域文化に関する書籍を多数上梓。「北海道新聞」、月刊誌「O.tone」等でエッセイ連載中です。