小樽の寿司屋通りから、観光客が多い堺町通りに入ってすぐ。ひときわレトロな雰囲気を醸し出す小樽出世前広場。「出世前」という魅力的なネーミングや建物の成り立ちを語るには「本当は3日かかります」と店主がいうほどの壮大なスケールが? 食事や宿泊もできる出世前広場で、小樽の歴史がギュッと凝縮されたタイムスリップへ!
観光
2016.07.11
商都だった小樽をレトロに再現
栄華を語る小樽出世前広場
writer : 上坂 由香
世界的商都だった小樽の歴史と出世坂
路地にペイントされた丸でケンケンパをしながら(しなくてもいいですが)小樽歴史館へ。
夢を抱き、身を立て名を上げようと、本州各地からこの地に渡って奮闘した小樽商人たちの年譜が展示されています。開拓時代から、明治・大正・昭和初期にかけて全盛を誇った小樽。この地で企業を起こし、巨万の富を築いた人々によって、お金に糸目をつけない贅を尽くした建物は、小樽の観光資源になりました。
当時の豊かな暮らしぶりがわかるたくさんの写真は見ごたえがあります。昭和初期の経済人や財閥、日本の海運王と呼ばれた豪商たちが、広場の後ろにある丘に豪邸を構え、そこに上る坂は出世坂と呼ばれました。
「坂の下のこの場所は、出世の一歩前という意味。ここを訪れた後は出世しますよ」と語る専務取締役の蓑谷和臣さん。成功したい人にとってのパワースポットなのです!
物流を担う海運が盛んだった頃の写真も展示されていました。いまでもこの光景は、毎週月曜日にフェリーが入港すると、小樽駅から見ることができます。
時代を物語る家財道具や小道具を展示品の数々!
2006年にオープンした出世前広場では、時代とともに老朽化した建築物や民家が取り壊しになる際、廃棄される家財道具や資料を引き取って保存。その一部を、当時の生活スタイルで復元して展示しています。
レプリカではない、本物のレトロを小道具たちが物語ります。「そんなところに突っ立ってないで、あがりなさい」と、ひょっこりおばあさんが出て来そうです。「使い捨て」という言葉がなかった時代だったからこそ、時の先人たちは財を築けたのかもしれませんね。
冬の味「たちかま」が通年食べられる食事処も!
北海道でもなかなか食べられない「たちかま」料理の専門店「惣吉(そうきち)」が広場内にあるので、お腹が空いても安心!
ふんわりと揚がったたちかまフライ(500円)。たちかまとは、スケトウダラの白子を練って茹でた冬の珍味。惣吉では、白子と塩だけの混ぜ物なしで作っています。
たちかまの刺身(500円)は、一見、普通のかまぼこのようですが、その歯ごたえと風味は、他のものに代えがたいプリップリのシッコシコ! 衝撃の食感と味に、リピーター続出の絶品。
小樽の定番といえば海鮮丼(2,500円)ですが、惣吉の海鮮丼はたちかま入り!一度で二度おいしい1番人気のメニューです。
惣吉の建物は、約120年前に使われていた、長沼町のマオイ酪農会館を移設して作られました。開拓当時から変わらない大きな梁や柱は、北の大地で生き抜いてきた人々の苦労が伝わってきます。お店全体が、レトロというより、重厚なビンテージといった感じです。
広場を拠点に小樽を練り歩こう!
小樽でも人気の観光スポットのひとつ「堺町通り」に面した出世前広場は、北のウォール街と呼ばれた日銀通りや寿司屋通り、小樽運河などが徒歩圏内。建物の2階には、宿泊もできる御宿櫻井があり、出世前広場を拠点にして、思う存分小樽観光が楽しめます。
隠れ家的な宿は4部屋のみ。1番人気の「明治の間」(例:2名素泊まりの場合ひとり10,000円)は、堺町通り側。そぞろ歩く観光客を窓辺で眺めながら、ゆっくりと滞在できます。おひとり様でもOK。明治のハイカラ、大正モダンを、いっぺんに味わえるちょっと贅沢な宿です。
スマートポイント
- JR札幌駅から小樽駅までは快速で30分ほど。出世前広場までは、駅から徒歩圏内。樽っ子(地元民)のように、のんびり歩いているうちに、10分くらいで堺町通りに到着します。
- レンタカーでも安心の駐車場付き(有料)! 車を置く場所が少ない小樽では、本当に助かります。
- いまでも出世坂は存在していますが、ちょっとわかりづらい場所にあるので、惣吉のスタッフに聞くと、場所を教えてもらえます!ぜひ登って、小樽を見渡してみよう。
ライターのおすすめ
入館無料でおいしい食事処もある出世前広場。路地に入れば、たちまち昔へタイプスリップを体感。小樽の人気スポット堺町通りで、宿泊施設があるのはここだけ。出世前広場を拠点にして小樽観光を満喫してみては?
上坂 由香
5年に1度くらいしか風邪をひかない体質を自慢していたら、普通に歩いていただけで膝の半月板を故障。足腰の弱まりを痛感している今日この頃。
INFORMATION
スポット名 | 小樽出世前広場 |
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住所 | 北海道小樽市堺町2番12号 |
ジャンル | 観光 |
電話番号 | 0134-22-3377 |
料金 | 館内見学無料 |
営業時間 | 午前11時~午後9時(惣吉も同じ) |
定休日 | なし(年末年始12月31日~翌年1月3日は休業) |
駐車場 | 隣にオイコラ駐車場あり(有料) |
地図 | 43.1956002 |