泡付きがよく、ぬる目のお湯でありながら、しっかりと体をあたためてくれるニセコ黄金温泉(こがねおんせん)は、「らんこし米」で有名な北海道磯谷郡蘭越町で米農家を営む林勝郎さんが、建物や浴槽から露天風呂の庭に至るまでを、十年以上の歳月をかけてコツコツと手づくりしてきた。個人経営の日帰り温泉施設です。
源泉の温度が低いこともあり、加温せずに営業ができる5月から10月までの期間限定の温泉ですが、羊蹄山やニセコアンヌプリなどの山々を望むロケーションや、評判のお湯を求めて、毎シーズン、全国からたくさんの温泉ファンが訪れています。
観光
2021.09.03
農家さん手づくりの秘湯!
泡付き抜群のニセコ黄金温泉
writer : さとう努
田園地帯に突如現れる看板が目印!
住所は北海道磯谷郡蘭越町字黄金。
JR函館本線「小樽駅」から函館方面に向かって約2時間の「昆布駅」。そこからさらに約3km、車で4分ほど北東へ進んだ北海道道343号線沿いにあります。
ニセコ黄金温泉は田園地帯にあり駅からも離れているので、車でのアクセスが便利です。
本当にこんなところに温泉があるのだろうか?と不安になりそうなくらい、周囲は水田や畑に囲まれていますが、道路脇にぽつんと立つ「黄金温泉」と書かれた大きな看板を見つけたら、その道路を挟んだ向かい側、幟の立っているところが入り口です。
道路から奥へと敷地内を進むと、農家の庭先のようなところに施設があります。
左の「十割そば」と書かれた緑色の建物が管理棟になっているので、ここで入浴料を支払います。
入浴料を支払ったら浴場(右の木造の建物)へ。中央の扉の右が女湯で、左が男湯です。
いたるところに細かな配慮が!
元々は農業用ハウスや自宅用にお湯を使っていたそうですが、近所の人やお客さんにも入ってもらううちに評判となり、少しずつ設備を充実しながら、現在の姿になったとのこと。施設内のいたるところに入浴者への配慮が感じられます。
太い丸太の梁が印象的な脱衣室。脱衣スペースと休憩スペースの間にはカーテンがあり、駐車場側の窓が開いていても、外から着替えるところが見えないように配慮されています。
男女ともに同じ作りで、ロッカー(有料100円)や洗面台、ドライヤーも備えています。
男湯の内湯です。女湯との境界の壁は富士山ではなく羊蹄山!
女湯の内湯です。男女ともに洗い場は二つあり、シャンプーとボディソープも備えてあります。
30℃台と50℃台の二つの源泉からのお湯を混合しており、内湯での温度は42℃前後になっています。
加水、加温、循環なしの源泉掛け流しです!
山々を望む庭園露天風呂には五右衛門風呂も!
露天風呂からは、晴れた日は羊蹄山やニセコの山々が望めます。
コンパクトながらも、池があったり花が植えられていたりと、庭園風の造り。奥には合鴨もいます!
こちらは男湯の露天風呂。とても開放的ですね! 露天風呂は岩で男女が仕切られていますが、一部で男女間が繋がっているため、半混浴のような作りになっています。
露天風呂の大浴槽のお湯は、内風呂からオーバフローしたものなので、内湯よりは少しぬる目になっています。
女湯側からの露天風呂です。羊蹄山に向いた側に、寝湯と釜風呂(五右衛門風呂)があります。
女湯の寝湯と釜風呂は、露天の大浴槽との間に岩で仕切りが作られているので、大浴槽側からは入浴しているところが見えないようになっています。
こうした配慮も女性には嬉しいですね!
泡付き抜群のぬる湯で長湯も!
泉質は、ナトリウム-塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩泉。つるつるしっとりの優しい美肌の湯です。露天風呂にある釜風呂と寝湯は、どちらも底の部分から源泉を注いでいます。お湯の入れ替わりが早いために、色も無色透明なまま。それだけお湯が新鮮ということなんです。
ここニセコ黄金温泉のお湯、実は炭酸ガス(二酸化炭素)を含んでいます。気化して失われやすい成分の炭酸ガスですが、特に釜風呂と寝湯の浴槽は、他の浴槽よりも炭酸ガスが多く残っているので、浸かるとあっという間に泡に包まれるのです。
ニセコの山を眺めながら釜風呂に浸かれば、もうそこは自分だけの世界!
寝湯と釜風呂は、体温よりほんの少し高い程度の、ぬる目の温度なので、長湯にも向いています。また、炭酸ガスは皮膚から吸収されて末梢血管を広げる作用があり、心臓に負担をかけずに血流をよくするため、ぬるくても体はしっかりとあたたまるんですよ。
限定二十食! 十割手打ちそばも!
林さんの手づくりは温泉だけにとどまりません。林さん自慢の十割手打ちそばも食べられるのです!
受付の際、お蕎麦も一緒に注文し、お風呂から上がる時間を伝えておくと、その時間に合わせてお蕎麦を打っておいてくれます。
料金は入浴とのセットで1,100円。大盛りの場合は1,400円です。
温泉から上がって管理棟に入るとお蕎麦を茹でてくれます。お蕎麦は午後3時までとなってますが、二十食限定なので、売り切れ次第終了となります。
訪れた観光客が感想などを書き記した7cm角くらいの付箋紙が、脱衣室の洗面台横の壁にびっしりと貼られていることからも、ここの人気ぶりが伺い知れます。「もう歳だし、いつまでできるか分かんないけどね」と笑う林さんの優しさ伝わるニセコ黄金温泉。遠くからでも足を運ぶ価値アリですよ!
蘭越町は温泉の宝庫
ニセコ黄金温泉のある蘭越町は、湯本温泉、五色温泉、湯の里温泉、昆布温泉、昆布川温泉、黄金温泉、新見温泉のそれぞれ泉質の異なった7つの温泉があります。
ニセコ黄金温泉は日帰り入浴のみとなりますが、他の温泉葉周辺に宿泊施設もあります。
また、蘭越町の隣町がニセコ町、倶知安町と北海道が世界に誇るリゾートエリアですので、周辺の宿泊施設に泊まって、蘭越町の温泉めぐりの旅もおすすめです。
※こちらは、公開日が2016年7月12日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。
スマートポイント
- よく晴れた日の晩の、満天の星が降り注ぐなかでの長湯もおすすめです!
- 炭酸泉を謳っている温泉でも、これほど泡付きのよいお湯には、道内ではなかなか出合えません!
- 手打ちで、しかも十割のお蕎麦が、入浴とセットでお得に食べられます! 蕎麦をすすりながらの林さんとの会話も楽しいですよ。
ライターのおすすめ
田園風景に溶け込んだ素朴な手づくりの温泉は、どこか懐かしい感じも。泡付きも抜群で、お湯の良さは間違いなし! 故郷に帰ってきたかのような気分でゆったり浸かれば、気分もリフレッシュ!
さとう努
温泉ソムリエ師範。ニセコ温泉部部長。真っ赤なロードスターで湯めぐりする若き中年・トムさんが、旬の話題をお届け!
INFORMATION
スポット名 | ニセコ黄金温泉 |
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住所 | 北海道磯谷郡蘭越町字黄金258-1 |
ジャンル | 温泉 |
電話番号 | 0136-58-2654 |
料金 | 入浴料 大人500 円 小学生250 円 幼児100円 |
営業時間 | 午前10時~午後8時(5月~10月の期間限定営業) |
定休日 | 営業期間中は特に無し。冬季は休業(11月~4月)。 |
駐車場 | 有(無料) |
地図 | 42.80494151539375 |