JR美瑛駅から南東のパノラマロードを通って約10㎞。世界的にも知られる写真家・故前田真三氏が開設した、個人ギャラリー「拓真館(たくしんかん)」があります。廃校になった小学校の跡地を利用し、1987年7月にオープンしました。
美瑛の丘の美しさに衝撃を覚え、「この丘への思いは募るばかりである」と語った前田氏。氏のライフワークとも呼べる丘の作品を数多く展示しています。前田氏が美瑛の丘に出合ったのは1971年。丘の風景に惚れ込んだひとりの写真家がいなければ、いまや一大観光地となった美瑛のいまは…なかったのかもしれません。
観光
2016.08.24
美瑛の丘陵に惚れ込んだ写真家
前田真三のギャラリー拓真館
writer : 上坂 由香
まさに鮮烈! 前田真三の作品に目を奪われます
拓真館は靴を脱いで入館します。つやつやに磨き上げられた廊下を通り、メインホールの真正面に展示されているのが、前田氏の代表作「麦秋鮮烈」。1977年7月中旬、拓真館近くの丘陵の農地を撮影した作品です。
「麦秋鮮烈」のなかに際立つ、一般に赤麦と呼ばれているタクネコムギの強烈な赤の色彩は、観る人の目を釘付けにするインパクトがあります。突然の夕立が、作物についた埃などを洗い流し、色合いも鮮やかになって斜陽した瞬間をとらえた作品です。
階段を上がると、ロフトになった展示コーナー。「心の眼で撮る」という前田氏の感性が伝わってくる世界観を、ロフトの上からも眺めてみて。
四季折々の美瑛の風景をいつでも楽しめる空間
ごく普通の麦畑やジャガイモ畑、ビート(砂糖大根)などの畑に、これほどまでの色彩があるのか!と思わせる作品の数々。美瑛の丘の最大の特徴である丘の連なりに、朝日や夕日があたることで創り出される自然の造形美を前田氏は追い求めました。
拓真館に展示されている作品は、不定期に展示替えをしていますが、四季折々の風景が並んでいます。訪れた季節以外の風景も十分に楽しめますよ。
館内は撮影禁止。拓真館で前田氏の作品を心に焼きつけた後は、写真で見たあの場所はどこだろうと、パッチワークの路やパノラマロードをめぐってみてはいかが?
手をつないで歩きたくなる白樺が美しい散策路
拓真館の横には、前田氏が整備した白樺の回廊があります。全長250m。およそ5分ほど歩ける散策路は、1988年に、2300本の白樺を植えて作られました。散策路の小路には野花が咲き、訪れる人々を癒してます。白樺の木立ちは自然のフィルターに。やわらかな陽の光を背に撮影する人が多い人気のスポット。夏になると館の隣にあるラベンダー畑も、美しいコントラストを描き、訪れた撮影者の創作意欲をかき立てています。
美瑛の丘を撮り続け、世に広めた前田真三の功績は計り知れないもの。拓真館は、年間20万人超える入館者数を誇り、氏の亡くなった後も賑わいが絶えない美瑛の観光ルートになっています。美瑛の丘の風景に魅了され続けた前田真三の思いを、拓真館の作品で感じてみませんか?
スマートポイント
- 拓真館はパノラマロードエリアの奥にあります。美瑛駅前から運行しているぐるっとバスでも行くことができます。
(バスの問い合わせは四季の情報館0166-92-4378) - 美瑛駅から道道966号線を東南に向かい、バス停「13号線」を右折して水沢ダム方面から拓真館に向かうルートが、わかりやすいです。
- 拓真館では、作品やポストカード、写真集などを販売しているコーナーもあります。作品が撮影された経緯などの詳細については、女性スタッフの方が説明してくれますよ。
ライターのおすすめ
CMやポスターなどで見た前田真三氏の作品を一挙に観賞できるのは拓真館だけ。丘をめぐりながら辿り着き「さっき通った場所かもしれない」という写真も!時の移り変わりを感じさせない作品がいっぱいです。
上坂 由香
5年に1度くらいしか風邪をひかない体質を自慢していたら、普通に歩いていただけで膝の半月板を故障。足腰の弱まりを痛感している今日この頃。
INFORMATION
スポット名 | 拓真館 |
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住所 | 北海道上川郡美瑛町字拓進 |
ジャンル | 観光 |
電話番号 | 0166-92-3355 |
料金 | 入館無料 |
営業時間 | 午前9時~午後5時(5月~10月)11月からは午前10時~午後4時 |
定休日 | 1月下旬~4月上旬まで休館 |
駐車場 | あり |
備考 | HP:https://www.biei-hokkaido.jp/search/shop/souvenir/000052.html |
地図 | 43.529934715109306 |