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観光観光

2019.09.10

斜里岳の優美な姿を湖面に映す
花と野鳥の楽園!濤沸湖の四季

writer : 藤本誠一郎

北海道オホーツク海沿岸、網走市と小清水町にまたがる濤沸湖(とうふつこ)は、砂丘によってオホーツク海と隔てられてできた海跡湖。アイヌ語の「ト・プッ(湖の口)」が語源で、海岸草原と湿地に囲まれ、海水と淡水とが入り混じった汽水湖でもあります。
濤沸湖
周囲は27.3km、面積は900ha。網走国定公園に属し、湖畔の南側には道路もなく、豊かな自然が残されています。藻琴山や日本百名山の斜里岳の優美な姿を望み、夏には湖畔に色とりどりの花が咲く美しい湖です。
水鳥の宝庫
ここは国指定鳥獣保護区及びラムサール条約登録湿地に指定されていて、国内有数の貴重な渡り鳥の中継地。毎年シベリア地方から渡ってくる千羽以上のオオハクチョウをはじめ、カモ、ガン、カモメ類など水鳥の宝庫なのです。
白鳥
オジロワシやタンチョウなどの天然記念物や世界的希少種など、四季を通じて200種以上もの野鳥が見られる、まさに野鳥の楽園といえるでしょう!

濤沸湖水鳥・湿地センターで野鳥観察を楽しもう!

JR釧網本線の網走駅から4駅、車でも15分ほどの距離の北浜駅。その近くに湖観光の中心となる白鳥公園があります。隣接する「濤沸湖水鳥・湿地センター」は平成24年にオープンした環境省所管の施設。環境と生命とのかかわりをテーマとして、湖周辺の自然、生き物、歴史、文化に関する充実した展示や映像などを楽しめる観光施設です。
濤沸湖水鳥・湿地センター
室内
展示室の大きなガラス窓からは湖全体を眺められ、美しい湖と、遠く優美な裾野を広げる斜里岳の眺望も抜群! 展望コーナーの窓際には望遠鏡や双眼鏡も設置され、季節を問わず快適な室内から湖や野鳥の観察を楽しめます。
展望ウッドデッキ
展望ウッドデッキも併設されていて、遮るもののない展望が広がり、天気の良い日はとても気持ちいいですよ!ここを拠点に風光明媚な花と野鳥の楽園、濤沸湖観光を楽しみましょう。

花々が咲き乱れる初夏! 湖畔にはタンチョウの姿も!

6月、新緑の湖畔に黄色いセンダイハギが群生となって咲き広がり、さわやかな初夏の訪れを告げます。水鳥・湿地センターのすぐ横の湿性草原ではヒオウギアヤメが咲き、ポニーがのんびりと草を食む牧歌的な情景も。
見渡す限りの草原
ポニー
6月下旬から7月上旬にかけては、色鮮やかなエゾスカシユリやエゾキスゲ、ハマナスなどの可憐な花々が咲き競い、湖がもっとも賑わう華やかな季節になります。
湿性草原
湿性草原が広がる湖畔は、水鳥以外の野鳥も見つけやすいのが魅力! 初夏から夏によく見られる主な野鳥は、ノビタキ、ホオアカ、ノゴマ、オオジュリン、コヨシキリなど。あちこちから可愛い鳴き声が聞こえてくるので、比較的簡単に見つけられます。運が良ければ湖畔を走る国道244号からでも、国の特別天然記念物であるタンチョウの姿を見かけることもありますよ!
野鳥
タンチョウ

鮮やかなサンゴ草で彩られる、静寂なる秋の湖畔

8月下旬になると、オホーツクの短い夏も終わり、湖畔は秋色に染まっていきます。ここは川と海の水が入り混じる汽水湖のため、塩性が強くても生育できる塩生植物が見られます。その代表がサンゴ草(アッケシソウ)です。
群生するサンゴ草
美しい草原
9月になると、白鳥公園の近くや、ここから湖畔沿いに少し内陸にはいったところにある丸万川河口付近などで、真っ赤に色づく群生が見られます。網走地方では能取湖の群生地が有名ですが、じつはここにも小規模ながらひっそりと群生しているのです! 団体観光客もほとんど来ない、サンゴ草観光の穴場といえるでしょう。

にぎやかな冬の白鳥公園 厳冬期には流氷も!

冬、マイナス10度以下にもなる寒さでほぼ全面結氷する濤沸湖ですが、湖口近くの白鳥公園付近は、海水が入ってくるためなかなか結氷しません。貴重な水面を求めてオオハクチョウ、カモ、カモメなどの水鳥たちが集まってきて、公園周辺はとてもにぎやかになります。そして2月の厳冬期には、なんとオホーツク海の流氷が湖のなかにまで入ってくることも!
水鳥たち
水鳥と流氷
水鳥たちと流氷という組み合わせはオホーツク沿岸の汽水湖ならでは! 一面雪や氷の白いの世界ですが、北海道のなかでも比較的晴天率が高い冬のオホーツク地方。空や水面の青とのコントラストがとても美しく見えるのも、この厳しい冬の季節なのです。しっかり防寒対策して、北海道の寒さを楽しんじゃいましょう!

早春解氷時期の平和橋はオオワシやオジロワシのメッカ!

早春の3月中旬から下旬頃には、結氷していた湖の氷も徐々に解け出し、天然記念物のオオワシやオジロワシなどが魚を狙って集まってきます。湖の東方、知床方面の浜小清水から少し内陸に入ったところにある、湖にかかる平和橋の周辺では、かなりの確率で遭遇でき、近距離で見られるチャンスもある絶好のポイント!
低空飛行するワシ
飛ぶワシ
何羽も集まってくるワシに、キタキツネなども加わり、獲物の取り合いになる貴重な光景が見られることも! 平和橋の両側には広い駐車スペースもありますので、この季節、オオワシやオジロワシを見たい方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
オホーツクならではの景色
四季折々に、オホーツクならではの雄大で美しい景観と、ここまで来なければ会えない花や鳥たちが待っている濤沸湖に、ぜひ訪れてみてくださいね。

※こちらは、公開日が2016年8月29日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。

スマートポイント

  • 白鳥公園、水鳥・湿地センターは入場無料。無料のレンタサイクル(5月〜10月)もあります。時間があれば、すぐそばの白鳥展望公園の展望台まで登ってみるのもオススメ。広大な湖全景と知床連山が一望できます!
  • 冬のドライブが苦手な方でも、白鳥公園、水鳥・湿地センターへは、JR釧網本線北浜駅から徒歩10分ほどの距離。北浜駅はオホーツクの流氷に一番近い駅で有名です。流氷観光と組み合わせても楽しめますよ!
  • 国道244号線を網走方面に数キロの位置にある藻琴湖(もことこ)も、自然豊かな美しい汽水湖。観光施設はありませんが、ここも野鳥の宝庫。タンチョウの姿も確認されていますので、ちょっと寄り道もオススメ。

ライターのおすすめ

水鳥・湿地センターの解説員の方々は野鳥にとても詳しく、窓辺の望遠鏡はタンチョウやオジロワシなど貴重な野鳥にフォーカスしていることもしばしば! 湖周辺のレアな情報もゲットできるかも!

藤本誠一郎

網走在住のグラフィックデザイナー。道東オホーツクから、とっておきの観光スポット情報をお届けいたします!

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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