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カフェ・スイーツカフェ・スイーツ

2017.11.07

心落ち着く古民家カフェ
時の足音を偲ぶ 葦笛洞

writer : 石渡裕美

国道沿いにたたずむ小樽市銭函の小さな森のなかに、昭和26年築の建物を利用した昭和情緒ただようカフェがあります。「昭和の茶処 葦笛洞(いてきどう)」です。お医者さんの自宅だったという建物は欄間の作りやふすまも上質なもので、カフェの雰囲気をより趣あるものに。窓からは季節の花々や葦原、鴨が泳ぐ池も見えて、味わい深い自家焙煎コーヒーや甘味、食事をいただきながら心豊かなひと時が過ごせます。
趣のあるたたずまい
落ち着く店内

こんな場所にこんな空間!驚かずにはいられない別世界

札幌から札樽自動車道を利用して車で約30分、ログハウス展示場の看板のかたわらに、豊かな緑に囲まれた森と湿地帯の一角が現れます。駐車場に車を止めて森のなかに進むとそこは国道沿いとは思えない静かさ。ちなみにここは、札幌駅から小樽市へと向かうJR「いしかりライナー」を利用して20分ちょっと、「縁起のよい駅名」として人気のある銭函駅から歩いても10分ほどです。
静かな小道
心地よい風を感じながら池の上にかかる木橋ををわたり、奥へと進んでみましょう。そこにあるのは品のよさがただよう古民家。ここが「昭和の茶処 葦笛洞」です。70年近く前の建物を再生し、2008年にカフェとしてオープンしました。
品のいい店内

風流人だった医師の自宅を生かした心落ち着く古民家カフェ

歴史を感じさせる建物ながらも、床板はピカピカに磨かれて掃除も行き届き、心地よさが漂います。出迎えてくれるのは店長親子、浅田百枝さん・将宏さん。
道の向こうの古民家
店長親子
この建物はもともと高崎翁という医師の自宅で、周り一面に葦が群生し、近くを通る蒸気機関車の汽笛の音が聞こえる場所であったことから葦笛洞と命名して生涯愛した建物だったそうです。
看板
歴史ある建物をできる限り生かして、心落ち着くカフェへと生まれ変わらせました。

昭和情緒あふれる空間でいただく自家焙煎コーヒーに感激

木工職人手作りの万華鏡やアンティークの小物、手作りの器などが置かれた店内は、異空間のようでもあり、懐かしい故郷のようでもあり…。自家焙煎の香り高いコーヒーや、手作りの甘味をいただきながら過ごすゆったりとした時間に、心がほっこりと和みます。
窓辺の席
一番人気のブレンドコーヒー「葦笛洞ブレンド」(500円)は酸味の少ない柔らかな味わいで、道産小豆をコトコト炊いた手作りあんたっぷりのクリームあんみつ(700円)との相性も抜群です(セットは980円)。
コーヒーとあんみつ

センスあふれるや窓からの風景にも心が和む素敵空間

上質な廊下の床板、欄間、ふすまなど、建物のなかには、ハイカラな風流人だったという先の持ち主・高崎翁のセンスのよさを感じさせるディティールがあちこちに。薪ストーブを置いたり、古材や竹を使ってリニューアルした店主・浅田さんのセンスも本当にステキ! 子どもと一緒でも気兼ねなく過ごせる個室もあり、家族旅行でも安心して立ち寄れますよ。
上質なテーブル
窓の外に広がる風景は鴨が泳ぐ池や緑豊かな湿地帯。ここが札幌や小樽の市街地からもさほど離れていない場所だなんて、信じられないような静かさと落ち着きです。ゆったり流れる時間に心が休まります。
並んだ器

手づくり雑貨のアトリエショップもぜひ訪れて

敷地のなかにはイタリアンや洋食が楽しめるレストラン「樹の部屋」のほか、手縫いの革手袋の工房「双」、山ブドウやクルミの手作りカゴ、器を販売する「土の音(つちのね)」も。いずれもアットホームな接客が受けられる心地よい空間です。思いがけないお気に入りが見つかるかも!
素敵な中庭
手縫い工房
カゴと器の工房
こんなところにこんな素敵な空間が!と驚かずにはいられない、昭和の茶処 葦笛洞。旅の途中で立ち寄って、心からのリラックスタイムに癒やされてみてはいかがでしょう。
お店の看板

スマートポイント

  • 敷地入口にある「リストランテ 樹の部屋」も浅田さん一家の経営。樹の部屋のパスタやカレーなど一部メニューは、葦笛洞でも注文できます。
  • 夜、敷地内がライトアップされるといっそうムードアップ。昼とは違った趣がただよいます。
  • JR銭函駅の窓口では、レトロなデザインの入場券(硬券)の販売も。お財布に入れて金運のお守りにしている人も多いんです。鉄道ファンならずとも旅のよい記念になりますよ。

ライターのおすすめ

敷地内では4月はじめには水芭蕉、5月には藤、黄ショウブが見事。6月には鴨のベビーが誕生して、親子で仲良く池を泳ぐ姿が見られることも。冬は薪ストーブのオレンジ色の炎や薪がパチパチとはぜる音に心の底から癒やされ、しんしんと降り積もる雪に隠れ家ムードがいっそう高まりますよ。

石渡裕美

東京下町から札幌に移住して早20年。北海道LOVE、特に日高・十勝・函館が大好きです。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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