赤いビロードのソファに重厚感のあるテーブル、高い天井から下がる
シャンデリア。小樽の喫茶コロンビアは、店内のどこを切り取ってもレトロで、昭和な香りが漂ってきます。
戦後まもなくの創業以来、インテリアやメニューなど、店のスタイルを頑ななまでに守り続けてきました。この雰囲気を懐かしむ地元民や、逆に新鮮に楽しむ若者など、店にはいつも幅広い年代のお客さんが憩います。古めかしいけど不思議と落ち着く、老舗の空気感にどっぷり浸ってみませんか?
カフェ・スイーツ
2016.04.28
往年の喫茶店の雰囲気を守る
小樽の老舗・喫茶コロンビア
writer : 金子 美里
贅沢で落ち着ける空間は、小樽っ子の憩いの場
喫茶コロンビアは1948(昭和23)年創業の、小樽を代表する老舗。歓楽街の花園銀座通りに静かに立つ店の扉を開けると、昭和の空気をそのまま残したかのような空間が。
訪れた人は、まるでタイムトリップしたかのような気分になってしまいます。
このレトロで懐かしい雰囲気を味わいに、地元民が足繁く店を訪れます。おしゃべりに花を咲かせるグループがいれば、毎日のように通ってくる一人客、お腹を満たしにくる学生など、客層は幅広いですが、共通しているのはみな、長い時間くつろいでいくことです。
1時間は当たり前、中には昼と夜の食事をここで済ませるつわものも。ここは、誰もがついのんびりしてしまう、不思議に心落ち着く場所なのです。
守り継がれるコロンビアイズム。インテリアにも歴史あり
長居したくなる大きな理由は、高い天井とゆったりとられた席の間隔。圧迫感やせわしさを感じることがありません。天井から吊るされたゴージャスなシャンデリアの明かりも、やさしく心を和ませてくれます。テーブルや椅子など置かれたものは時代を感じさせるものばかり。
「地元の人が気兼ねなく過ごせる場所を守ってほしいと、この場所を引き継ぎましたから。雰囲気を変えないためにも、インテリアは、先代、先々代のころからあるものがほとんどです」と、3代目のオーナーの尾花さん。
店名が入った鋳物のエンブレムは初代のころからのもの。堂々として渋さも感じさせます。
振り子の柱時計も三代受け継いでいる品物。15分ごとに鐘が鳴り、ノスタルジックな気持ちにさせてくれます。「どれも古いものばかりだから、修理のための部品がなかったり、メンテナンスが大変」と笑う尾花さんですが、工夫しながら「コロンビアらしさ」を守り続けています。
器にもこだわりあり! 人気のスイーツ・チョコレートパフェ
インテリアだけでなく、店のメニューも創業当初からほとんど変わらないラインアップ。レシピはもちろんのこと、盛り付けや、器も当時使っていたものを大切に使い続けています。
昔から、変わらぬ人気を誇るスイーツが、チョコレートパフェ(650円)です。アイスクリームと生クリーム、チョコレートソースを重ねたシンプルなパフェで、さっぱりとしたアイスクリームの味とコクの深いソースの相性抜群。ボリュームたっぷりでも、飽きずに最後まで食べきってしまいます。
中身だけでなく、実は器も当初から変わりません。いまは製造していないため、壊さないように大事に扱っていると言います。すっきりとした苦みのあるコーヒーが、やさしい甘さのスイーツと絶妙にマッチ。
ほかにも、余市産リンゴを使って手作りするアップルパイなど、歴史を感じさせるメニューの数々が、訪れる人たちを今も昔も喜ばせています。
食事メニューは、いつでも誰にでもうれしい幅広さ
食事メニューも、オムライスやナポリタンなどの洋食から和風のお弁当まで、バラエティー豊か。引き継いだ伝統の味がほとんどですが、お客さんに合わせて進化も遂げている。毎日来てくださる方が飽きないようにという店主の配慮で、日替わりの定食などを追加。
オススメはコロンビア特製弁当(900円)だ。チキンカツとエビフライが両方味わえる、内容も盛りも豪華なお弁当。添えられる副菜まで、一つずつ店で手作りしているから、ほっとするやさしい味に仕上がり。小樽商大の学生が店を訪れることも多いため、若者の食欲を満たす山盛りメニューもリーズナブルに用意しています。
久しぶりに帰省してきた人や小樽商大の卒業生が、懐かしんで来店することも多いそう。その誰もが、変わらない店の様子に、感激で顔をほころばせます。歴代店主が守り続けてきた空間には、地元を愛する人たちの思いがいっぱいに詰まっているのです。
スマートポイント
- メニューが充実しているので、食事時でもティータイムでも利用の幅が広いです。アクセスもいいので散策の途中に立ち寄るのも○。
- 食事メニューはボリューム満点。食欲旺盛な若者の胃袋も満足させてくれます。
- 2階もあり、カップルでもグループでも使いやすい雰囲気です。お一人様も少なくないので、シチュエーションを問わず気軽に立ち寄れます。
ライターのおすすめ
シンプルですが飽きのこない味のスイーツは絶品。ボリュームも多いので、分け合って食べても楽しいかもしれません。手作りプリンも見逃せないおいしさです。
金子 美里
フリーランスライター。地元情報誌の編集として勤めたのち独立。現在は観光情報誌や旅行雑誌などに執筆。
INFORMATION
スポット名 | 喫茶コロンビア |
---|---|
住所 | 北海道小樽市花園1丁目10-2 |
ジャンル | カフェ・スイーツ |
電話番号 | 0134-33-5178 |
料金 | 1,000円程度 |
営業時間 | 午前11時~午前0時 |
定休日 | 無休 |
駐車場 | 契約駐車場あり(2,000以上で1時間無料) |
地図 | 43.1926339 |