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カフェ・スイーツカフェ・スイーツ

2016.04.29

【閉店】昭和3年からのれんを守る米華堂の喫茶でケーキを堪能

writer : 金子 美里

※2021年3月31日閉店

小樽の歴史にも彩りを添えてきた老舗洋菓子店・米華堂。1928(昭和3)年にのれんを掲げて以来、親しみやすくて、飽きのこないケーキや焼き菓子などを市民に提供し続けています。ロングセラーのケーキはどれもレトロでクラシカルなルックスながら、洗練されたおいしさ。
アップルケーキとコーヒー
創業当初から、店舗には喫茶を併設。そこには、地元をはじめ北海道の文化人が集まり、にぎやかな雰囲気だったそうです。芸術の香りも漂う空間で、上質な味にうっとり酔いしれて。
店内

小樽洋菓子の先駆け。80年以上も地元に愛される洋菓子

老舗洋菓子店・米華堂のはじまりは昭和初期。まだケーキというお菓子に馴染みがないころ、創業者の八木清さんは東京で外国人の職人について修行を積み、小樽に店を構えました。
開店間もないころの店舗
開店間もないころの店舗は、モノクロ写真の絵はがきとしても残されています。これは、地元の歴史を伝える資料として市の博物館にも保管され、貴重な資料となっているのです。
昭和初期の日本では、洋菓子店に喫茶店が併設されているのが、最新のスタイル。当時、最先端の技術を学んでいた創業者は、自分の店にもそのモダンな様式を取り入れました。
ショーケースのケーキ
かつては目新しかった店のケーキは、長い日々を積み重ねて、いまや地元馴染みの味に。大切な人へのお土産に、家族の記念日を祝うデザートとして、変わらず市民に愛されています。

老舗喫茶は文化人たちも愛したサロン的なスペース

昭和初期、モダンだった米華堂には、地元の芸術家たちが集まり、サロンのような雰囲気だったといいます。
国松登さんの油絵
店内には、かつて常連の一人だった国松登さんの油絵をはじめ、北海道を代表する作家たちの作品がさりげなく飾られています。レトロなソファに座っていると、まだ駆け出しだったころの芸術家が、モダンだった喫茶でケーキやコーヒーを味わいながら、時間を忘れて語り合っていた「文化の高い雰囲気」が伝わってくるかのようです。

オススメです! 竹鶴リタが愛したアップルパイ

店の看板商品の一つは、アップルパイ(230円)。創業当時からレシピを変えずに味を守っています。
アップルパイ
余市産の新鮮なリンゴを、丁寧に煮込んで作っており、やさしい甘さと酸味が
特徴。時期ごとに旬の品種を、農家から直接仕入れているため、その都度、リンゴの味にあわせて砂糖やレモン果汁の量を微妙に変え、一定の味に整えています。

このアップルパイは、ニッカ創業者・竹鶴政孝の夫人・リタさんもお気に入りの味だったそう。戦前から、小樽の教会に礼拝へ来ていたというリタさんは、帰り道にこのパイを買い求め、自宅で紅茶とともに楽しんだという逸話も残されています。そんな歴史をきくと、ますます味わい深く感じられるのです。

スタイルを守りつつ、進化し続けるケーキに酔いしれる!

現在店を守るのは、三代目の八木浩司さんと妻の明美さんです。関西の名店で修行した浩司さんが、店を継いだのは27歳のころ。
三代目の八木浩司さんと妻の明美さん
「当時は、うちのケーキが田舎臭く見えて、学んだ技術を活かそうと新しいことに挑戦もしました。でも、地元の人は慣れ親しんだものがいいんだよね」と浩司さん。
試行錯誤の末たどり着いたのは、見た目は変えず、作り方に最新の知識を活かす方法です。
モンブラン
「中身を改良することで、常連さんも自分も納得できる商品ができるようになりました」
そうして進化した、老舗定番がこのモンブラン(330円)。材料を吟味し、メレンゲを細やかに泡立ててしっとりしたスポンジに仕上げます。「シンプルだからこそ、ごまかしの効かないケーキです」

いまも、研究と材料吟味を怠らない三代目。現状に甘んじず、さらに質の高いものを届けたいという思いが詰まった洋菓子たちが並びます。店の歴史を感じつつレトロな店内で、落ち着いて味わいたいですね。

スマートポイント

  • ボリュームたっぷりでリーズナブル、そのうえ味のクオリティーも高いのでスイーツ好きははずせない店です。
  • 周辺飲食店の方が利用するということもあり、遅い時間にいっても品ぞろえが充実しています。飲んだ後の締めスイーツにも○。
  • 定番商品だけでなく、季節の限定品もいろいろ。手作りあんこが添えられたクリームぜんざいも人気です。

ライターのおすすめ

アップルパイも捨てがたいですが、私のオススメはモンブラン。一見ボリュームが多く感じますが、あっさりした甘みとリッチな食感で、あっという間にぺろりと食べられてしまいます。

金子 美里

フリーランスライター。地元情報誌の編集として勤めたのち独立。現在は観光情報誌や旅行雑誌などに執筆。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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