札幌の隣町・江別市は、石狩川や野幌(のっぽろ)森林公園などがある自然豊かな町。北海道開拓期からレンガの生産が行われています。市内に現存するレンガ造りの学校やサイロ、倉庫などの建造物を保存する取り組みが認められ、「江別のれんが」は北海道遺産に指定されています。
レンガの町・江別の名物といえば、山サ煉化餅本舗の「煉化もち」。 創業当初の明治時代から変わらない製法で作られたこの銘菓は、石川啄木の紀行文に登場した歴史ある逸品。100年以上の長い間、地元の人々に親しまれています。レンガで造られた歴史的建造物など、見どころいっぱいの江別を訪れたら、必ず立ち寄りたい老舗ですよ♪
お土産
2017.08.25
明治時代から受け継ぐ老舗の味
山サ煉化餅本舗の「煉化もち」
writer : 上坂 由香
レンガの町らしい店構えの山サ煉化餅本舗
札幌の中心部から国道12号線を岩見沢方面に北上して約30分。JR札幌駅からは、函館本線に乗車して野幌駅で下車。駅から歩いて5分ほどで、山サ煉化餅本舗に到着します。
町の風景をパッと明るくする鮮やかなレンガを装飾した建物は、車通りの多い国道沿いでも、ひときわ目を引く存在感を醸し出しています。店の屋号「山サ」、「れんがもち」と書かれた塔も、青空に向かって誇らしげに立っています。入店する前にちょっと立ち止まって、凛としたレンガの塔の風情を眺めてくださいね。
鉄道と深いつながりを持つ「煉化もち」の誕生秘話!
「煉化餅」の発案者・久保兵太郎は、鉄道やレンガと深いつながりのある人物でした。当時、雑貨店の経営に苦しんでいた佐野利吉さんに「煉化餅」を作ってみてはどうかと提案。佐野さんは餅の製造をはじめ、1901(明治35)年、野幌駅で販売を開始。やがて地元の名物としてその名を轟かせるほど人気のお土産になりました。
「煉化もち」は、その名の通りレンガをモチーフにしていますが、発案者の兵太郎と利吉さんが「食べ物に瓦では具合が悪い」ということで、「瓦」が「化」けて「煉化餅」という表記に。長い歴史のなかで息づいていた銘菓は、石川啄木の紀行文『雪中行』に登場するほど、地元民や観光客に親しまれてきました。
のちに佐野さんは、後継者問題などで1985年に製造販売を中止。名物の消えた空白の年月に心を痛めていた菊田茂二さんと息子の安秀さん(現在の店主)は、佐野さんから直々に餅の作り方を教わり、1993年に「煉化もち」として製造販売を再開して現在に至ります。いまもこうして100年以上変わらぬおいしさを味わえるのは、菊田さん親子のおかげですね!
日持ちしないのが「煉化もち」のイイところなのです
北海道産のもち米を蒸かして作った餅に、同じく道産の小豆で作ったこしあんを包みながら、ひとつひとつ型に入れて手作りしている「煉化もち」。保存料などの添加物は一切入ってない無添加の生菓子で、その日のうちに食べるのがお約束。ふんわりとやわらかいお餅と、甘さを抑えたこしあんの素朴な味わいは、大福餅とはまた違う新食感。 長く愛されてきた銘菓は、食べてみると「なるほど!」と思うような独特のコシを感じますよ。
「本物の餅なので、一日置くと固くなってしまいますが、冷凍もできます。食べる時に自然解凍してくださいね」と、語る菊田さん。添加物にあふれている現代で、無添加のお餅を味わえるのは嬉しいですね!
そのほか、春は「いちご大福」や「かしわ餅」など、季節にあわせた四季折々の和菓子も、色鮮やかに並んでいます。
レンガの町めぐりにピッタリの素敵マップ発見!
スッキリとした店内の壁に、国道12号線を中心にした、レンガ造りの建造物などがよくわかる江別のマップを発見。山サ煉化餅本舗の周辺には、ガラス工芸館や、レンガ造りの学校やサイロ、ぶらりと散策するのにピッタリな公園がたくさんありますよ!
山サ煉化餅本舗に立ち寄ったら、町のマップを確認したりグルメ案内が掲載されている小冊子をGETすると便利です。この町を愛する人々の思いがたっぷり詰め込まれた「煉化もち」をおみやげに(またはちょっと食べながら…)、歴史ある江別の町をのんびり楽しんでみてくださいね♪
スマートポイント
- 山サ煉化餅本舗から車で5分ほどのところに、旧ヒダ工場跡をリノベーションした商業施設「EBRI(エブリ)」、国道12号線を岩見沢方面に向かうと、野幌森林公園があって、森林浴や野鳥観察もできますよ。
- 江別市は道内でも有数の小麦の産地。おいしいパンやパスタのお店がいっぱい!お洒落なカフェも多く、知る人ぞ知るグルメスポットでもあります。
- 道央自動車道野幌パーキングエリアでも、冷凍の「煉化もち」を販売していますが、やはりここは江別まで足を伸ばして、ふんわりしたできたてをどうぞ。
ライターのおすすめ
江別市は、北海道開拓期から栄えた歴史ある町。レンガや石造りの建造物も数多く残され、JR江別駅前には石造蔵の倉庫群も!石狩川の航路や鉄道とともに発展した町を、煉化もちを食べながら歴史探訪に出かけてみて!
上坂 由香
5年に1度くらいしか風邪をひかない体質を自慢していたら、普通に歩いていただけで膝の半月板を故障。足腰の弱まりを痛感している今日この頃。
INFORMATION
スポット名 | 山サ煉化餅本舗 |
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住所 | 北海道江別市野幌町8番地4 |
ジャンル | お土産 |
電話番号 | 011-383-9689 |
料金 | 600円~1,000円 |
営業時間 | 午前9時~午後6時(日曜日は午前9時~午後5時) |
定休日 | 月曜日 |
駐車場 | あり |
地図 | 43.09634360368684 |