かつて炭鉱で栄えた美唄(びばい)市には、地元の人たちが愛してやまないソウルフードがいくつもあります。その一つが「美唄やきとり」で、炭鉱マンのスタミナ源として愛されてきました。一番の特徴は、一串に数種類のモツ、鶏皮、モモ肉が入っている「モツ串」にあります。
この独自スタイルは、1953年に美唄市の「三船」という店で誕生し、市内いくつもの店に受け継がれています。なかでも全国に幅広いファンを持つお店が「たつみ」。約30年前から、自慢のやきとりを真空パックで各地に発送しています。
お取り寄せも魅力的ですが、ぜひ一度はお店で、焼きたてアツアツをいただきましょう!
グルメ
2017.01.22
モツも皮も、鶏を丸ごと一串に
美唄やきとり「たつみ」
writer : 石田 美恵
手間ひまかけて、すべてをおいしく
札幌と旭川の中間くらいに位置する町、美唄。美唄のやきとりは、一串にレバーやハツ、砂肝、キンカンなどのモツと、鶏皮、モモ肉が、全部刺さっていることが最大の特徴です。
さまざまな食感と旨味が口に広がり、なんとも奥深い味わいです。串に刺す順番は、一番下が皮、次が北海道らしく玉ネギ、次がモツ、再び玉ネギ、最後がモモ肉。玉ネギは美唄の名産品で、焼くと甘味が増して鶏肉との相性抜群。
たつみでは、毎朝4時からその日に焼く5,000本以上もの串刺し作業を行っています。肉は刺す前に部位ごとにボイルするのがポイント。
そもそも美唄のやきとりは、一羽の鶏をさばいたら、すべてムダなくおいしく食べよう、と考案されたもの。そのためには手間ひまを惜しみません。
メニューには精肉(ムネ肉)だけの串もありますが、お客さんが注文するのは圧倒的に「モツ串」です。
とにかくたくさん食べるのが美唄流
やきとりを注文するとき、美唄では10本単位で大量に注文するのが普通です。一人10本、20本食べるのは当たり前。お客さんをなるべく待たせないようにと、調理場の焼き台はドーンとすごい長さに!
端から端までびっしり串を並べると、一度に100本は焼けます。味の濃い親鶏の肉を、備長炭でジューシーに焼き上げていきます。
滴る脂の香りがお客さんの食欲を刺激し、どんどん注文が入ります。味付けはシンプルに塩こしょうのみですが、塩は店でブレンドし、自家焙煎したものを使用。
「私も美唄出身なので、たくさん食べるのが普通だと思っていました」というのは、焼きかた10年のベテランスタッフ。お盆やお正月は、さらに持ち帰り注文が増えるので、店の外にもテントを出して焼くそうです。
ランチも大人気! シメは「モツそば」
夜のイメージが強いやきとり屋さんですが、ランチも人気です。とくにおすすめは、とり飯、そば、冷や奴がついたBセット。800円でボリュームたっぷりです。
美唄ではちょっと変わった食べ方があります。それが、そばのつゆにモツ串を入れて食べる「モツそば」。やや太めの麺に、鶏の旨味が染みたつゆがからみ、また違ったおいしさ。お酒のシメに頼むお客さんも多いのです。
気に入ったらお土産もありますのでご安心を。1パック5本入り540円、10本入り1,080円。
店内には、インパクトのあるポスターが貼ってあります。たつみのご主人、藤本和己さんは長年「びばい焼き鳥組合」の組合長を務め、ふるさとの味を広める活動にも大忙しだそう。
このポスターは、全国のご当地やきとりが集結する祭典「やきとりンピック」を開催した2008年に作ったもの。あなたも美唄市民になりきって、鶏のおいしさを丸ごと堪能しましょう!
スマートポイント
- 美唄のもう一つのソウルフードが「とり飯」。ランチ(Bセット、Cセット)なら、とり飯も一緒に食べられてお得です。
- モツ串は1本98円。安くてたくさん食べられるのが、美唄やきとりの魅力です。思いきり注文しましょう。
- お土産の真空パックを買ったときは、フライパンに串ごと並べて酒をふり、フタをして温めると手軽です。いい香りがしてきたらできあがり!
ライターのおすすめ
モツそばが絶品です。もうお腹いっぱい…と思っても、なぜかスルスル食べられます。ぜひともお試しください。
石田 美恵
札幌出身。料理本編集者として東京の出版社に勤めたのち札幌にUターン。海藻と羊肉、鮭、お寿司が好きです。
INFORMATION
スポット名 | たつみ |
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住所 | 北海道美唄市西1条南1丁目1-15 |
ジャンル | グルメ |
電話番号 | 0126-63-4589 |
料金 | ランチ700〜800円 |
営業時間 | 午前11時〜午後9時、ランチ午前11時〜午後2時30分 |
定休日 | 火曜日(祝日の場合は営業) |
駐車場 | あり |
備考 | HP:http://www.bibai.net/tatsumi/ |
地図 | 43.3326093 |