旭川の醤油、函館の塩とともに「北海道三大ラーメン」のひとつとして愛される、札幌の味噌ラーメン。とはいえ、実は1960年ごろまでは札幌でも醤油ラーメンが主流でした。
味噌味スープのラーメンを誕生させたのは、今も札幌中心部で暖簾を守り行列のできる人気店「味の三平」の創業者。道産子はもちろん、観光客にも愛されるご当地グルメ「札幌の味噌ラーメン」はこの店で生まれました。また「縮れ麺」「たっぷりの炒め野菜」など、今では当たり前と思われている「札幌ラーメンのスタイル」を作り上げた老舗名店が「味の三平」なのです。
グルメ
2017.02.09
「味噌ラーメン」発祥の老舗!
札幌ラーメンの元祖、味の三平
writer : 石渡裕美
ビル4階。こんなところに札幌ラーメンの元祖が!?
札幌・大通公園のすぐ近く、札幌PARCO隣の大型文具店「大丸藤井セントラル」4階にある味の三平。こんなところに歴史あるラーメン屋さんが…?とちょっと意外に思える立地にあります。
味の三平の創業者は大宮守人(もりと)氏。第二次大戦中は南満州鉄道で運転士を務め、終戦後に札幌でラーメンの屋台をはじめました。守人氏は創意工夫の人で「味噌は体にいい」が持論。味噌汁にヒントを得て研究を重ね、1954(昭和29)年に「味噌味メン」を生み出しました。味噌ラーメンの誕生に関しては「守人氏がお客さんから『豚汁にラーメンを入れてほしい』と言われて考えついた」という俗説がありますが、まったくの間違い!
ほかにも「濃厚なスープによく合い、弾力のある縮れ麺を使うこと」「一食で十分な栄養がとれるようたっぷりの炒め野菜やニンニクを入れること」を考えたのも守人氏。守人氏は「札幌ラーメン」の基本スタイルの生みの親なのです。
やさしい味わいの味噌味スープとシャキシャキの炒め野菜
味噌ラーメンのスープには新潟県から取り寄せる白味噌を使い、健康にも配慮されたやさしい味わい。化学調味料は一切使いません。短時間で炒め上げた野菜はくどさがなくシャキッとした食感です。プルンとした口当たりの麺との相性も抜群!
ラーメンとライスを合わせる「ラーメンライス」も「ラーメンだけでは物足りないお客さんのために」という配慮から、この店で誕生したものなんですよ。味噌ラーメンは850円、ライスは100円です。
味噌に次ぐ人気を誇るのが「からい鉄火麺」(850円)。味噌に唐辛子、胡麻油、とろろ昆布が練り込まれ、どっしりとしたおいしさです。辛さは大、中、小から選べます。「中」でも辛い物好きにも十分満足できる辛さ。辛さのなかに奥深い旨さがあって食べ進めるうちに体もポカポカに温まります!
ほとんどのお客さんが注文する自家製シュウマイ(1個60円)も肉と野菜の旨さがぎっしり詰まった、ジューシーな逸品です。
さすが元祖! 力強い調理風景や立ち上る香りに感激
現在、店長を務めるのは大宮敏嗣さんで、守人氏の孫にあたります。祖父や父が作り上げた味を受け継ぎ、さらに工夫を重ねながら、老舗名店の暖簾を守ります。
自慢のスープは豚骨と野菜を一気に炊き上げ旨みを引き出したもの。一番人気の味噌ラーメンでは、野菜を練り込んだ挽き肉のほか、玉ネギ、モヤシなどを強い火力で一気に炒めて麺に載せます。敏嗣さんが力強くフライパンを振るうと、ニンニクとラードの香ばしい香りが店いっぱいに!
麺は創業以来のパートナーである、老舗製麺所・西山製麺製。時代に合わせて創業時よりは細くしていますがコシや弾力は昔通り。湯切りには平ザルを使い、力強く。惚れ惚れするほどの迫力です。
開店前からの行列にも納得。毎日通いたくなる名店です!
長年守られてきた伝統の味を求め、毎日通う地元常連客や観光客が開店前から行列を作ります。カウンターのみ全13席の店内は、開店とほぼ同時に満席に。人気ぶりが伝わってきますね。
お客さんの様子に細やかに気を配ってくれる、丁寧な接客も心地よい味の三平。札幌ラーメン誕生への思いをはせながら食べれば、より味わい深くいただけますよ!
スマートポイント
- カウンターには辛味噌が置かれています。途中で入れて、味の変化も楽しんで。
- 野菜たっぷりのシュウマイは1個から好きな数を注文でき、ソースとも好相性。持ち帰りもできます。
- 味噌ラーメンにチャーシューは入っていません。チャーシューを楽しみたい人は醤油ラーメン・塩ラーメン(各850円)を頼むか、おつまみチャーシュー(200円)を注文しましょう。
ライターのおすすめ
大宮守人氏のこだわりについては、店のホームページの「店主のないしょ話」にも詳しい情報があります。読んでから来店すると、ラーメンがいっそう味わい深く感じられますよ!
石渡裕美
東京下町から札幌に移住して早20年。北海道LOVE、特に日高・十勝・函館が大好きです。
INFORMATION
スポット名 | 味の三平 |
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住所 | 北海道札幌市中央区南1条西3丁目大丸藤井セントラルビル4階 |
ジャンル | ラーメン |
電話番号 | 011-231-0377(お土産ラーメン地方発送は011-811-2297) |
料金 | 850~1,100円 |
営業時間 | 午前11時~午後6時30分 |
定休日 | 月曜日、第2火曜日。ほかに不定休あり |
駐車場 | なし |
備考 | HP:http://www.ajino-sanpei.com |
地図 | 43.05881740357285 |