BARやまざきのオリジナルカクテルの最高峰「サッポロ」
ここに行ったら、ぜひ飲んでほしいのが、オリジナルカクテルの最高峰にして人気も高い「サッポロ」(1,400円)です。これは山﨑さんが1981年にジュネーブで開催された国際カクテルコンクールで特別賞を受賞した作品。
アマレット・ディ・サロンノというアンズを使ったリキュールとウォッカをベースに、ドライベルモットとシャルトリューズヴェールを加えてグリーンチェリーを飾った、やや甘口でコクのあるカクテルです。
提供写真:BARやまざき
では、2杯目はどうしましょうか?
「1杯目を飲んで、もっと甘口、あるいは辛口が好きなどと、感想とお好みをお伝えください。次からはお客様のお好みに合わせてお作りします。万人向けのカクテルというものはありませんからね」と、在りし日の山﨑さんは語っています。
薬草のリキュールを使った個性的なカクテルはいかが?
バリエーション豊富なカクテルの中でも個性が際立つのが、ドイツ語で「自由」を意味する「フライハイト」(1,400円)です。
提供写真:BARやまざき
ウンダーベルクというドイツの薬草入りのリキュールをベースに、スロージンとミントのリキュールを合わせたもの。ウンダーベルクは甘みもありますが、胃腸薬のような味と香りが特徴。消化器系の内臓に良いとされ、ドイツはじめ、ヨーロッパでは食後酒として飲まれているお酒だそうです。
フライハイトの材料になるお酒がこちら。
写真左のGET31はホワイトミントのリキュール。中央がウンダーベルク。20㎖入りの小瓶で、1本全量を使用。ウンダーベルクの瓶のサイズはこれ1種類だそうです。
右のBOLSの瓶はスローベリー(西洋すもも)を使ったスロージンで、ジンの香りづけに使われるジェニパーベリー(セイヨウネズ)の香りが少し加えられているため、ほのかな苦味があります。
アルコールが弱い人、飲めない人も楽しめるカクテルも
長い一枚板のカウンターの背後にあるチーク材の棚にずらりと並ぶお酒のボトルは約350種類。ほとんどが洋酒ですが、焼酎や泡盛、日本酒も。ジュースのうち、ライム、レモン、オレンジ、グレープフルーツなどの主要なものは生のフルーツを絞っています。
お酒やジュース、炭酸水などを混ぜ合わせて作るカクテルは、主なものだけでも約200種類。好みやその時々の希望に応じてアレンジすることで、無限にバリエーションが広がるのもカクテルの面白さです。
そのカクテルを中心に、月替わりで季節感豊かな「おすすめ」があります。2杯目はこれを飲むのも良さそうです。
ここでは、アルコールが飲めない人のためのノンアルコール・カクテルも用意されています。写真の「バージンブリーズ」はそのひとつ。
提供写真:BARやまざき
グレープフルーツジュースとクランベリージュースをミックスした、目に美しく、爽やかな味と香りが特徴のカクテルです。
4人のバーテンダーそれぞれの個性も店の味わい
4人の常勤バーテンダーは全員が20代~30代。
チーフの相蘇(あいそ)裕介さんは、映画『カクテル』を見てこの仕事に興味を持ち、山﨑さんが講師をしていた専門学校で学び、就職。
「お客様それぞれのお好みに合わせてカクテルを作り、お楽しみいただけるよう努めています」とにこやかに話します。
鈴木明大さんは高校時代にたまたま見たテレビドラマでバーテンダーがシェーカーを振るシーンに「これだ」と直感し、専門学校を経てこの店に。温かい笑顔と気さくな人柄が持ち味です。
向井仁美さんは専門学校在学中にアルバイトからはじめてそのまま就職。シェーカーを振る姿はきりりとして華麗。「秋日和」でジュニアカクテルコンペティションの金賞を受賞しています。
木村俊太さんは専門学校卒業後、店に入って2年目ですが、自然体で人を和ませるキャラクター。店には毎月「おすすめ」があり、2016年4月の「おすすめ」は、彼のカクテルコンペデビュー作の「恋桜」。ジンをベースにした、桜のリキュールが香る甘酸っぱいカクテルです。
カクテルがおいしいのは当たり前。良心的で品格ある店だから
「おいしいカクテルをご提供するのは当たり前。むしろ、この仕事で大切なのは、すべてのお客様に気分良く、楽しくお過ごしいただけるように気を配ることです」と、山﨑さんは語っています。
戦後、進駐軍に接収され、その将校用クラブとして使われた東京會舘や三井倶楽部などで働いた経験も、こうした極意を身につけることにつながりました。
下の写真でカウンターの中央にいるのが当時の山﨑さん。
提供写真:BARやまざき
おいしいカクテルはつい飲み過ぎてしまいがちですが、この店では、客が注文をしても様子を見てやんわり止めてくれます。また、注文がなければ、店の方からお代わりを促すこともありません。
お酒が好きな人はもちろん、あまり飲めないけれど、雰囲気を楽しみたいという人にも安心です。
席は、スタッフとの会話が楽しめるカウンター席が人気ですが、グループならば、ボックス席が落ち着けます。一度でも、行けば自慢できるお店ですよ!