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2020.01.09

流氷の海をガリガリ進め!
流氷砕氷船ガリンコ号

writer : 金子 美里

紋別市は北海道の北部、オホーツク海に面した港町。冬になると、北の海から流氷が押し寄せて、ときにはびっしりと海を埋め尽くすことも。そんな流氷の海を、氷を砕きながら進んでいく観光船が流氷砕氷船ガリンコ号です。
ガリンコ号
氷を砕く
淡い青色の流氷がびっしりとしきつめられた海の景色は、幻想的で美しく、寒さを忘れるほど。ガリンコ号に乗り込んで、冬のオホーツクならではの自然美を体感しよう!

2本のスクリューで流氷を砕くガリンコ号Ⅱ

オホーツク海に面する港町・紋別市。札幌や旭川と高速バスで繋がっているだけでなく、市内にオホーツク紋別空港があり、女満別空港も使えるとあって、道外からのアクセスもいい道北の観光地です。流氷の街としても有名で、冬には真っ白で幻想的な流氷の海の景色に出合えます。
赤い船
そんな景色を海上から楽しめる観光船が、流氷砕氷船としては二代目のガリンコ号Ⅱ。全長35m、2階建て、195人もの乗客を乗せられる大きさで、真っ赤な船体もパワフルかつキュートです。
流氷砕氷船
この観光船の最大の特徴は、船の先端部に据えられた2本のアルキメディアンスクリュー。らせん状のスクリューがネジのようにぐるぐると回転しながら、およそ60cmの分厚い流氷さえも、ガリガリと力強く砕いて進みますよ。
海洋交流館
流氷の海を直に感じさせてくれる観光船の予備知識をしっかり頭に入れたら、さっそく乗り場となる海洋交流館へ向かって、実際のガリンコ号Ⅱに乗り込もう!

まず初代ガリンコ号を見てからオホーツクの大海原へ

さて、実際に船に乗る前にぜひ寄り道してほしいところが一ヶ所。実は、ガリンコ号Ⅱは、船の名前に添えられたⅡの文字からも分かるように、流氷観光船としては2代目。実際に使われていた初代のガリンコ号の船体が、海洋交流館のすぐ近くに野外展示されています。
初代ガリンコ号
1989年から1996年まで約80万人を乗せた初代ガリンコ号。乗客定員は70名で、現在運航するⅡのスケールからは半分以下になりますが、同じアルキメディアン・スクリューを搭載しているので、流氷を砕くスクリューの形がばっちり目に焼き付けられますよ。初代を確認したなら、いよいよガリンコ号Ⅱで流氷のオホーツク海へ船出です!
出発
船からの眺め
出港してゆっくり岸を離れると、右手には防波堤の先端にたつオホーツクタワーが。どんどんと船は進んで、ゲートのように延びる2本の防波堤の間を抜けるど、眼前にオホーツクの大海原が広がります。

デッキに立って、流氷の海をダイレクトに感じよう

ガリンコ号Ⅱでの流氷観光の醍醐味は、なんといっても、真冬の北海道の寒さを体感しつつ、海上の流氷を直に見られるデッキからのビューを楽しむこと。甲板は前後左右から、海を見渡せるようになっているので、いろいろ場所を移動しながら景色を満喫しちゃいましょう。
流氷
ガリンコ号は、沖合い約5kmまでをクルーズするので、白い水平線がじょじょに近づいてくる風景も感動的です。
デッキの上
アザラシ

提供写真:オホーツクタワー株式会社

冴えた冬の空気が、流氷の海の景色をさらにファンタジックで魅力あるものにしてくれますよ。運がよければアザラシやオオワシなどの野生動物に出会えることも!

寒くなったら船内へ、コーヒー片手に流氷観光

「寒さも流氷観光の大きな魅力」とはいっても、海風の厳しさと冷たさに、長い時間耐えるのはなかなか辛い……、という人も多いはず。
船内スペース
寒さが身にしみたときには、1階か2階の船内スペース(写真上は2階)で、ぬくぬくしながら景色を楽しんじゃいましょう。どちらも大きな窓がとられていて、オホーツク海の風景に包まれたような気分になります。
旅客
とくに1階窓からのビューは、眼前に流氷を見られたりして、デッキとは一味違った迫力が。
窓からの眺め
1・2階ともスクリューのようすが映し出されるモニターもあるので、船内にいながら流氷を砕いているところも見られちゃいますよ。映像だけで物足りないときは、1階前方船首室へ。ガラス越しにスクリューの動きを見られます。
売店
また、1階には売店があって、ホットコーヒーなどのドリンクやガリンコ号オリジナルグッズなどを販売。温かい飲み物を持って、デッキへ出るのもいいですね。

夏だって楽しんじゃえ! ガリンコ号Ⅱでフィッシング

ガリンコ号Ⅱでの、冬の流氷観光はもちろんマストな楽しみ方ですが、夏のオホーツク海クルーズもまた見逃せない魅力があります。1~3月の冬運航は、乗船時間がおよそ1時間ですが、5月~12月はクルーズ時間が約30分。
夏のクルーズ

提供写真:オホーツクタワー株式会社

夏でも北国の厳しさを感じさせるようなオホーツクブルーの海を、清々しい海風を感じながら眺められますよ。オーシャンビューを満喫するコースだけでなく、沖まで出て釣りを楽しめるコース(所要時間3~5時間の3コース)も。おもに釣れるのはカレイ。栄養たっぷりの海で育った紋別カレイは、抜群のおいしさで札幌ではブランド魚としても知られているんですよ。
ガリンコ号Ⅱ
流氷の冬も、釣りができる夏も、ガリンコ号Ⅱでのクルーズには、オホーツク海の大自然を直接体感できる、感動と楽しみがいっぱい詰まっています。

※こちらは、公開日が2017年12月2日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。

スマートポイント

  • デッキから流氷の景色をがっつり楽しみたいなら、ダウンジャケット、帽子、マフラー、手袋などなど防寒はしっかりと! 海風で頬が痛くなることもあるので、顔が隠れるネックウォーマーやマスクなども寒さ対策に○。
  • 2月限定で午前6時スタートのサンライズクルーズ、午後4時10分発のサンセットクルーズも。昼間とはひと味もふた味も違う幻想的な海を楽しもう。
  • ガリンコ号Ⅱは前日までの完全予約制。流氷は天候などで移動するので、HPの流氷情報を確認して、ベストなタイミングを見計らいつつ予約しよう。

ライターのおすすめ

海洋交流館の近くにある紋別市流氷科学センターでは、ガリンコ号の祖先ともいえる流氷観測の試作艇1号機AST-001号の実物大模型を展示。初代ガリンコ号と併せて、流氷観光船の歴史を感じるのもオススメです。

金子 美里

フリーランスライター。地元情報誌の編集として勤めたのち独立。現在は観光情報誌や旅行雑誌などに執筆。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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