世界自然遺産・知床のなかでも奥に位置するカムイワッカ湯の滝。湯の滝は道道知床公園線からカムイワッカ川に沿って温泉が滝となって流れ落ち、滝壺はそのまま自然の湯船となっています。その豪快なたたずまい、深い森に囲まれた神秘的なムードは、アウトドア初心者でも魅了されること間違いなし! 北海道内、いえ国内屈指の秘湯中の秘湯として人気のスポットです。
観光
2019.12.16
流れ落ちる川そのものが温泉!
カムイワッカ湯の滝で探検気分
writer : ナカヤマヨシコ
湯の滝に着くまでも絶景! オフロードを走る
カムイワッカ湯の滝があるのは女満別空港から約120km、知床世界自然遺産地域の中核である斜里町岩尾別。道道知床公園線(93号線)、知床五湖入り口付近から湯の滝へと向かう道路は6月初旬から11月初旬ごろまで通行可能です。
未舗装の林道が約11km続き、深い原生林からなる緑のトンネルや、森林越しに垣間見えるオホーツク海などの絶景に心奪われることでしょう。気分はまるで探検隊!
エゾシカやキツネ、ヒグマとの遭遇も珍しくなく「さすが知床!」と実感できる、ときめきロードです。道幅が狭くなったり、急カーブの連続ポイントがあるのでスピードの出し過ぎと対向車にはくれぐれも注意!
湯の滝では、混雑防止と環境保護のため8月1〜25日はマイカーの乗り入れが禁止され、斜里やウトロのバスターミナル、知床自然センターからシャトルバスが運行されています。事前に時刻表をチェックしておきましょう。
一の滝目指してジャブジャブ沢登り!
オフロードを経て湯の滝にたどり着くと、携帯電話の電波も届かない、まさに秘境。野趣あふれる風景に圧倒されます。カムイワッカはアイヌ語で「神の水」。活火山である知床硫黄山の中腹から温泉が湧き出て、滝全体が天然の露天風呂になっています。泉質は硫黄成分を含む強い酸性なので肌の弱い人はご注意を。
湯の滝は「一の滝」から最上流の「五の滝」までありますが、落石事故防止のため、利用できるのは登り口から約100m上流にある「一の滝」までです。
醍醐味は、ダイナミックに流れ落ちる温泉のなかでする沢登り。硫黄の成分でイエローに染まった岩肌を登りながら滝壺を目指します。滝壺は温度30度ほどですが、お風呂気分を味わいたい人は水着で入るのも良いでしょう。(ただし脱衣場はありません! お肌のために長湯は禁物) 豪快なかけ流し、森に囲まれエメラルドグリーンに輝く秘湯…長い道のりも忘れるほどの神秘的な光景です。
安全に登るためのポイントとお助けグッズ
一の滝まで登っていくにはちょっと準備が必要です。足下がすべりやすく素足では危険。濡れても良い服装とタオル、かかとが固定された靴やサンダル、タオルは必須です。岩につかまりやすいよう荷物はリュックサックやウエストポーチに入れるのがおすすめ。両手は自由にしておきましょう。沢登りお助けグッズとして、滑り止め付き5本指ソックス「カムイワッカの足袋」が近隣の宿泊施設や観光施設で販売されています。
ウラ技として「靴やサンダルを脱いで、濡れてもいい靴下の2枚履き」という方法も。川の水が流れている場所以外は苔でヌルヌルとすべりやすいので、パンツのすそをめくり上げてジャブジャブと川のなかを歩きましょう。
海に滝が注ぎ込む! 船から見られるビュースポット
一の滝からの下り道は、尻もちに注意して歩きましょう。下り切った後は、川と森、オホーツク海を同時に見下ろせるビュースポットで撮影タイム。
湯の滝は、ウトロ港から観光船に乗って海上から眺めることもできます(所要時間約1時間)。落差30mの断崖から滝が直接オホーツク海に注ぎ込まれ、海の色は硫黄成分で黄色く染まっています。地上からは見ることのできないビュースポットです。
カムイワッカ湯の滝は、世界的にも珍しい「温かい滝」。その源流である活火山の硫黄山では、かつて、純度の高い硫黄が噴出するとあって産業資源として重宝され、採掘が盛んに行われていました。1930年代、湯の滝が硫黄のイエローで埋め尽くされたときもあったそうです。そんな歴史にも思いを巡らせつつ、滝を通じて地球の鼓動を感じてみては。
※こちらは、公開日が2016年10月15日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。
スマートポイント
- 8月と9月は湯の滝と知床五湖方面は渋滞しますが、シャトルバスは優先して通行できます。マイカーからの乗り換えは、駐車場のある知床自然センターからがおすすめです。未舗装道路の運転に自信のない人もどうぞ。
- ヒグマやエゾシカなど野生動物の生息域です。エサやり、ゴミのポイ捨ては厳禁。動物は車内から眺めるだけにしましょうね。
- 湯の滝のバス停留所から約600m歩くと知床硫黄山の登山口が。よりディープにアウトドアを楽しみたい方はどうぞ!事前に北海道オホーツク振興局へ申請書を提出の上、6月第3金曜日~9月最終日曜日の期間のみ利用できます。
ライターのおすすめ
カムイワッカ湯の滝は眺めるものにあらず!ジャブジャブ入って、五感で楽しむべき滝。たどり着くまでの未舗装道路も旅情たっぷり、森、小川、動物、海…見どころ満載です。
ナカヤマヨシコ
北海道知床生まれ知床育ち。森歩きと街歩きを愛し、厳しくも美しい北海道の自然に寄り添いながら、生の情報をお届けしていきたいです。
INFORMATION
スポット名 | カムイワッカ湯の滝 |
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住所 | 北海道斜里郡斜里町遠音別村 |
ジャンル | 観光 |
電話番号 | 0152-22-2125(知床斜里町観光協会) |
料金 | 無料。シャトルバス往復運賃はウトロ温泉バスターミナルから1,980円、 知床自然センターから1,300円。小学生以下は約半額。 |
営業時間 | 毎年6月初旬から11月初旬頃まで(予定) |
駐車場 | あり(無料)。約20台。 |
備考 | カムイワッカ湯の滝への行き方2016: https://www.shiretoko.asia/files/kamuiwakka.pdf 仮設トイレ3基あり。 |
地図 | 43.91151259999999 |