支笏洞爺国立公園内にある倶多楽湖(くったらこ)は、まさに静寂のなかにあるカルデラ湖です。名前の由来が、アイヌ語の「クッタル・ウシ・トー」(イタドリが群生する湖)というだけあり、湖の周りはうっそうとしげった草木で覆われている神秘的な雰囲気。
木々の間から、覗き込むようにして見る倶多楽湖の姿は、何百年も何千年も変わらないままではないかと感じような風景に、北海道の深さを感じます。
観光
2016.11.16
神秘的な倶多楽湖から
林道を抜けて大湯沼へ
writer : 千石 涼太郎
透明度抜群の美しい水質!
白老(しらおい)郊外にある倶多楽湖は、登別温泉や昭和新山の東側に位置しています。アプローチの方法としては北側からのルートと南側のルートがありますが、どちらも雰囲気のある林道。白老方面から最短距離を行くなら南側のルートですが、こちらも充分、秘境感を味わいながら進むことになります。
人がほとんど入らない倶多楽湖は、透明度が高く、摩周湖に次いで二番目といわれるほど。キレイな水を利用して、ヒメマスが移植され棲息。春の解禁の季節には釣り人が集まってくる(禁漁の年もあります)のですが、ほかのシーズンはひっそりとしていて、とても神秘的。ひとりで行くと、ちょっと怖いくらいです。
倶多楽湖をチラ見しながら走る楽しみ
湖に沿って車を走らせていると、「湖面が見えたと思ったら、また見えず、またチラリと見えたかと思ったら、木々に覆われて見えない!」の連続となります。湖面にアプローチできる場所が限られているだけに、自然が保たれているのでしょう。
湖畔から少し離れ、冬季は閉鎖される林道を登別温泉方面に進むと,倶多楽湖を望む扇型展望台が現れます。森のなかの湖を感じさせてくれる撮影ポイント。ここを素通りはできませんよ!
大湯沼と日和山に、温泉を感じる!
倶多楽湖をあとに、さらに観光道路という名の林道を登別温泉方面に進むと、硫黄泉の匂い=硫化水素の臭いが漂ってきます。それもそのはず。日和山(ひよりやま)からは、湯気が出て、そのふもとには、大湯沼という温泉がたまった沼があるのです。
まさに自然がつくりだした絶景。「登別の地獄谷より、大湯沼のほうが好き!」という人がいるのもうなずけます。
倶多楽湖〜登別温泉間は、日和山や大湯沼という観光スポットがあるばかりか、林道も雰囲気抜群。狭い道ではありますが、危険は道路ではないので、景観を走りたいものですね。
スマートポイント
- 大湯沼まで降りていくと、駐車場のほかに、足湯もあります。
- 大湯沼や日和山は、展望台からは、木々がじゃまでなかなか見えないので、展望台から少しだけ倶多楽湖よりの木々の切れ間から見るほうがベターです。
- 倶多楽湖には流れ込む川がないため、風がない日は湖面が鏡のようになります。美しい湖面を見たいなら、風のない日に!
ライターのおすすめ
白老や登別温泉に行くなら、遠回りしても寄りたいスポットです。静けさを全身で感じながらのんびりドライブは、秘境に来た!という気分にさせてくれますよ。
千石 涼太郎
北海道や旅、地域文化に関する書籍を多数上梓。「北海道新聞」、月刊誌「O.tone」等でエッセイ連載中です。