札幌市の隣にある江別市は、明治期にレンガ工場ができ、いまでも国内屈指のレンガの生産地であるレンガのまち。江別のレンガは北海道遺産にも登録され、市内を歩くと、歩道や学校、市営住宅やバスの停留所など、いたるところに赤いレンガが使われています。
なかでも、1945(昭和20)年に建てられたレンガ造りの洋館・江別市ガラス工芸館は、レンガ建築の美しさをたっぷりと楽しめる歴史的建築物。現在はガラス工芸家の柿崎均さんのアトリエ「45工房」として使われていて、建物見学はもちろんのこと、ガラス作品を作る様子を見ることもできます。また予約をすればガラス作品づくり体験もOK!レンガ造りの建物で、旅の思い出にオリジナルグラスづくりはいかがでしょう?
観光
2016.11.17
建物好きにはたまらない魅力!
レンガの江別市ガラス工芸館
writer : 高島ユカ
築70年余の歴史あるレンガ建築にため息
札幌駅からはJRで野幌駅まで20分。野幌駅北口から江別2番通線のバスに乗って3分の「第2中学校前」で下車、徒歩2分のところに江別市ガラス工芸館があります。駅からは歩いても10分ほどです。
建物は、江別の老舗レンガ工場「北海煉瓦合資会社」の社長であった石田惣喜知氏の邸宅として、戦後まもなく建てられました。マンサード屋根と、半円形に張り出した窓、そしてなんといっても江別レンガを使った外壁が特徴的です。
江別の歴史や文化を伝える貴重な歴史的建造物として江別市が買い取り、現在の場所に移築。1994年に外観はそのまま残して内部をガラス工房に改装し、江別市ガラス工芸館として一般公開しました。
お洒落な窓や装飾は外国映画に出てきそう!
建物の外壁はレンガを積み上げて作られています。半円形の張り出し窓や、はめ込み窓、屋根とのつなぎ部分なども、ていねいにレンガが積まれ、デザイン的にもとても美しいので、こまかな意匠やレンガの組み方などもじっくり見学するのがオススメ!
当時はずいぶんとモダンなデザインだったのでは?と思わせる洋館です。長い年月を経て風化したレンガは、ひとつひとつ色が異なり、でこぼこで、ところどころ欠けたりしていて、なんともいえない風格があります。小窓の周りをぐるりと囲むように組まれたレンガなどは、いま見ても洒落たデザインです。
ガラスのオブジェから日常の器までずらり
建物のなかは、ガラス工芸家の柿崎均さんの工房兼ギャラリーになっています。柿崎さんは長年世界各国で活躍し、2004年からここをアトリエとしています。柱や壁にもレンガが使われ、アンティークな雑貨屋さんのような雰囲気。
1階には日常づかいのできるガラス製品、2階にはアーティスティックなオブジェなどの作品が展示され、購入もできます。地下のガラス工房は吹き抜けになっていて、1階からも2階からもガラスごしに作業風景の見学OK。工房内部もレンガ張りで、ガラスを溶かす高温の窯の熱気に満ちています。
レンガ造りの建物だけに、内部の柱や壁も、もちろんレンガ。窓際には、柿崎さんの名を一躍広めた、映画「ぶどうのなみだ」のために製作されたワイングラスも展示されています。これをお目当てに訪れる方も多いんですよ。
レンガのまちの歴史的建造物でガラス体験
日常づかいの器たちは、どれも手頃な値段で使いやすいものばかり。箸置きやマドラーなどの小物から、グラス類、皿や小鉢などの食器まで、幅広い作品がそろっています。
地下にある工房では、柿崎さんが作品を創るほか、ガラス作品づくり体験も行っています。事前予約制で体験料はひとり3500円。色や形は柿崎さんと相談して、可能な限り自由に作らせてもらえるので、自分だけのオリジナルガラスができますよ。作った作品は後日送ってくれます(実費)。
柿崎さんがガラス製作を行っている時は、1階からガラスごしに見学することもできます。常に作業しているわけではないので、ぜひ見たいという方は事前にお問い合わせを。
古いレンガ造りの建物は、明治時代から続くレンガのまち・江別のシンボル。歴史に思いをはせながら、歴史的建造物をじっくりと鑑賞してみて。
スマートポイント
- 徒歩の場合は、野幌駅北口を出て少し歩くと国道12号線があり、そこから野幌グリーンモールの赤レンガを敷き詰めた遊歩道を歩けば約10分です。
- 開館は5月から10月までの土曜日と日曜日、国民の祝日のみです。平日は休館で、11月から翌年4月までは全日休館なので注意!
- ガラス作品づくり体験では、スタンダードなグラスのほか、一輪挿しや模様のついた作品など、技術的に可能な範囲で作らせてもらえます。ぜひ気軽に希望を伝えてみて。
ライターのおすすめ
周辺には、江別市屯田資料館や、1938(昭和13)年に建てられた趣ある木造建築の野幌公会堂など、歴史を感じるスポットがあるので、一緒にめぐってみてはいかが?
高島ユカ
生まれも育ちも北海道の生粋道産子フリーライター。まだまだ知られていない北海道の魅力を伝えていきたいです。
INFORMATION
スポット名 | 江別市ガラス工芸館 |
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住所 | 北海道江別市野幌代々木町53 |
ジャンル | 観光 |
電話番号 | 011-384-7620 |
料金 | 入館無料、ガラス作品づくり体験1名3,500円(要予約) |
営業時間 | 5〜10月の土曜日、日曜日、祝日 午前10時〜午後5時、 ガラス作品づくり体験は午後1時〜5時 |
定休日 | 5〜10月までは月曜日〜金曜日(国民の祝日を除く)、 11月から翌年4月まで休館 |
駐車場 | あり |
備考 | HP:https://www.city.ebetsu.hokkaido.jp/site/kyouiku/3020.html |
地図 | 43.09628386779028 |