その昔、炭鉱で栄えていた美唄(びばい)市は、貴重な炭鉱遺産として美唄鉄道旧東明(とうめい)駅舎とSLを保存しています。まちの東側にある東明駅は、1948(昭和23)年にスタートし、1972(昭和47)年まで使われていました。赤い三角屋根のかわいい駅舎から、いまも当時の雰囲気が静かに伝わってきます。
駅舎の裏側にSLとホームの一部があって、だれでも自由に見学OK。かつての駅全体の様子がよくわかり、写真撮影にも人気のスポットになっているのです。
観光
2017.01.21
いまも愛され大切に保存される
炭鉱遺産「美唄鉄道旧東明駅」
writer : 石田 美恵
坂道に強い4110形の展示は、国内でここだけ!
美唄は札幌と旭川のほぼ中間にあるまち。美唄鉄道は1914(大正3)年に美唄軽便鉄道としてはじまり、三菱美唄炭鉱から産出する石炭を運ぶために誕生しました。駅舎と一緒に保存されているSLは、正しくは「4110形式十輪連結タンク機関車2号」という名前です。
大正時代にドイツから輸入された「4110形」をモデルに特注され、坂道でもぐいぐい登れることが特徴。車体の横には、三菱のマークが輝いています。
完成は1919(大正8)年、購入に約22万円かかったそうで、いまの価格にするとなんと約11億円! 同じ形の車体が見られる場所は、国内では他にないので、鉄道ファンにはたまらないスポットです。
駅舎やホームの雰囲気もそのまま
美唄鉄道旧東明駅は、木造平屋建てのこじんまりとした駅舎ですが、最盛期は約3万人もの住民が利用していました。ふだんは無人で、なかに入ることはできませんが、近くに住む「東明駅保存会」の皆さんが手入れをしているので、どこもスッキリきれいです。
改札口の様子も当時のままで、お客さんの姿が目に浮かぶようです。レトロな雰囲気が素敵ですね。
かつてホームだった場所には、コンクリートの一部が残っています。線路は撤去されてサイクリングロードになっていますが、いまは残念ながら使っていません。
なかを見たい人は、お盆がチャンス!
駅舎の内部には、昔のままの改札口や切符販売機などが、大切に保管されています。毎年お盆のころに、保存会の皆さんにより写真展が開かれ、内部を一般開放しています。
この年に一度のチャンスに、全国から多くのファンが訪れます。これらはすべて、東明駅を大切に思う地域の協力があってこそ。周辺の草刈りや花壇の整備など、多くの方々が40年以上にわたって駅を守り続けているのです。
その積み重ねを想像すると、小さな駅舎やたくましいSLの姿が、より素敵に温かく感じられます。ドライブの途中や遺産めぐりの際に、ぜひ立ち寄ってみませんか?
スマートポイント
- かつての鉄道跡地に、駅舎、機関車、ホームの一部がそのまま保存されているので、鉄道全体の雰囲気を体感できます。
- 東明駅の近くにある「居酒屋幸楽」は、「東明駅保存会」の副会長さんのお店。詳しいお話が聞きたいときは、お食事がてら訪ねてみては。
- 東明駅から歩いて数分の場所に、美唄のおすすめ観光スポット「安田侃彫刻美術館アルテピアッツア美唄」があります。時間があれば足を伸ばしましょう。
ライターのおすすめ
お盆の時期は駅舎内で写真展が開催され、内部も見学できます。古い券売機や時刻表、カレンダーなど、鉄道ファンならずとも見どころがいっぱいです!
石田 美恵
札幌出身。料理本編集者として東京の出版社に勤めたのち札幌にUターン。海藻と羊肉、鮭、お寿司が好きです。
INFORMATION
スポット名 | 美唄鉄道旧東明駅 |
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住所 | 北海道美唄市東明5条2丁目 |
ジャンル | 観光 |
電話番号 | 0126-63-0112(美唄市商工観光課) |
料金 | 見学無料(外観のみ) |
営業時間 | なし |
定休日 | なし ※ただし冬期(11月末〜雪どけまで)は見学不可 |
駐車場 | あり |
地図 | 43.33410474726931 |