昭和から平成をつなぐ、八木義德さん、三浦清宏さん、長嶋有さんと3人もの芥川賞作家を輩出した室蘭市。約30の創作、詩、短歌などのサークルが市内で活動するなど、文学が盛んな町です。
港の文学館は、2013年に人気のビアホールだった重厚なレンガ造りの建物に移転しました。JR室蘭駅からは徒歩2分と、散策にぴったりの観光スポットとして多くの人が訪れています。
二階まである広いスペースには、芥川賞作家や室蘭ゆかりの著名人たちの資料を展示。貴重な本や創刊号のマンガ雑誌などを手に取って読むこともできます。寄付制でコーヒーがサービスされるカフェコーナーも人気。室蘭で培われた文学の香りに浸ってみませんか。
観光
2019.11.12
レンガの洋館でゆったりと見学
お茶もどうぞ室蘭市港の文学館
writer : タカハシアキコ
室蘭駅ロータリーから歩いてすぐ、無料で見学できる
JR室蘭駅のロータリーに立つと、右向こうに四角いレンガの建物が見えます。国道36号線からはサッポロドラッグストアーの大きな看板を目印に。裏手に回った道向かいに、室蘭市港の文学館があります。
この建物は、元は重機大手のカナモトが経営していたビアホール(旧プロヴィデンス)でした。いまも、あちこちに素敵なステンドグラスの装飾も施されていて、ちょっと上質な気分になれますよ。この文学館は、すべてボランティアスタッフによる運営で見学も無料、池澤夏樹さんの講演会などイベントも盛んに行われています。
室蘭が誇る、芥川賞作家の展示から見える“文士の時代”
八木義德さんは、第19回芥川賞を受賞した室蘭出身の作家。1911(明治44)年の生まれで「最後の文士」とも呼ばれました。室蘭の町や海を見渡せる展望台へ向かう測量山観光道路沿いにも、八木義德文学碑が建てられています。
一階の八木義德記念室には、数々の著書や芥川賞を受賞した作品の生原稿、それに川端康成からの書簡など交友関係の広さをうかがわせる手紙やはがきなども展示。複雑な出生から数々の名作を生み出した、八木義德さんの人生もたどることができますよ。
寄付金制のカフェで、コーヒー片手にまったり過ごそう
ほかにも、明治の北海道などを旅して『日本奥地紀行』を著した英国女性のイザベラ・バードや、版画家の棟方志功(むなかた・しこう)など室蘭にゆかりのある文芸やマンガ、芸術家の展示が40人近くも! びっくりするような充実ぶりです。
創刊号の雑誌や書籍を集めた「秀痴庵(しゅうちあん)文庫」も見どころのひとつ。大正末期に発行された貴重な雑誌から、コロコロコミックの創刊号まで展示されています。棚に収めてある貴重な雑誌や本は、スタッフにひと声かければ閲覧コーナーなどで読むことができますよ。ほかにも作家が寄贈した収蔵本がたくさんあって、まるでちょっとした図書館のよう。
二階にあるカフェ・プロヴィデンスでは、ボランティアスタッフがコーヒーをサービスしてくれます。お代は寄付金制。ここで本や雑誌をゆっくりと読んでいってもいいですね。
お土産にユニークなガチャガチャの缶バッヂはいかが?
『サイドカーに犬』『猛スピードで母は』などで知られる芥川賞作家、長嶋有さんは「ブルボン小林」の名前でマンガやゲームの批評家としても有名。長嶋有コーナーでは、藤子不二雄Ⓐさんがイラストをデザインしたスタンプがあるので記念に押していきましょう。
6種類の缶バッヂが出てくる「港の文学館オリジナル長嶋ガチャ」は1回100円。長嶋作品に関わるイラストを漫画家たちがポップに描いた、ここだけのレアなガチャです。一度回したら、またほかのバッヂをゲットしたくなるかも? じっくりと見学していたら、半日でも足りない港の文学館。時間を多めにとって訪れてみてはいかがでしょうか。
※こちらは、公開日が2017年7月8日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。
スマートポイント
- 港の文学館ではギャラリートーク&フルート演奏を毎月第一土曜日(4、5、12月を除く)に開催。参加は無料なので、タイミングが合えばあわせて行ってみるのがおすすめ。ほかにも各種イベントを行っています。
- 薄いブルー、イエロー、グリーンの一筆箋は港の文学館オリジナルで記念のお土産にぴったり。レファレンスで販売しています。
- 授乳やおむつ替えができる「赤ちゃんの駅」スペースは広くて充実。赤ちゃん連れでも安心して見学できます。
ライターのおすすめ
室蘭にまつわる約3万点の文芸資料があって、文学好きにはたまらないスポット。意外な所に「あれ?」と思うような有名人の展示があったりするので、リーフレットをもらったら館内をしっかりと回ってみましょう!
タカハシアキコ
北海道移住歴20年。亜熱帯の血を持つ寒がりライター。お手ごろで魅力的なモノやスポットを発掘すべく歩き回っています。
INFORMATION
スポット名 | 室蘭市港の文学館 |
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住所 | 北海道室蘭市海岸町1丁目1-9 |
ジャンル | 博物館 |
電話番号 | 0143-22-1501 |
料金 | 入館料無料 |
営業時間 | 午前10時~午後5時 |
定休日 | 月曜日、祝日の翌日、12月29日~1月3日 |
駐車場 | あり |
備考 | HP : http://muro-kanko.com/visit/literature_museum.html |
地図 | 42.3189971 |