知床半島の付け根を横断する国道244号線沿い、斜里町の外れにある秘湯「越川温泉」は、地元の利用組合によって大切に守られている素朴な味わいが魅力の共同浴場。
火山活動の隆起によって作られた知床エリアでは、地域のあちこちに良質の温泉が湧き出していますが、なかでも車で気軽に訪れることができる源泉掛け流しの湯は、地元のみならず温泉ファンや全道各地を駆け巡るライダー、知床の深い自然に魅せられた人たちが、身体と心を癒しにやって来る知る人ぞ知る名湯なのです。
観光
2018.02.27
知る人ぞ知る越川温泉は
地元民が守る知床の小さな名湯
writer : noccoshi design.
温泉の目印は歴史を記す橋とドラム缶
女満別空港から越川温泉までは車で約1時間10分、斜里町市街地からは車で約18分。国道244号線を斜里町から標津町方面へ車を走らせると、道路の左右になにやら大きなコンクリートの建造物が現れます。斜里町と標津町の間を鉄道で繋ぐため戦時中に建造された「第一幾品川橋梁(越川橋梁)」は開通しないまま残された幻の橋。北海道の歴史の一つとして、国の登録有形文化財になっています。
橋梁の少し先にドラム缶を積んだ2本の柱が見えたら、それが「越川温泉」の入口です。建物は道路からは見えにくいので、ドラム缶のゲートを見逃さないように注意しましょう。
広い駐車スペースにちょこんと立つ小屋の屋根から上る湯気に期待が高まります。立派な看板の横には男湯の窓があり、外から入浴中の人が見えてしまうことも! 写真撮影する時には気をつけて。女湯は外から見えないように工夫されているのでご安心を。
地元の利用組合が守る、手作りの共同浴場
越川温泉共同浴場は地元の利用組合員が管理・利用している施設です。一般人は、入口横にある赤いドラム缶に協力金200円を入れて利用しましょう。入浴の際には小銭の準備をお忘れなく。
大きなソファーが並ぶ広い休憩室からさっそく雰囲気満点! 床からは温泉の熱がほんのり伝わってきます。マナーや注意事項などの張り紙の中に温泉の分析表もしっかり表示。温泉成分はナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩泉(中性低張性高温泉)。温泉通はこういうところをチェックするのだとか。
脱衣所と浴場は男女別。浴槽は内湯のみですが、ポリカーボネートの透明な屋根から自然光が差し込み開放感があります。男湯は3、4人ほどが入れる大きさで、女湯は男湯の半分ほどとコンパクトさがかえって落ち着く空間に。
お湯の鉄分で茶色に染められたコンクリートと木材の素朴な作りの浴槽からはザブザブと絶え間なく温泉が溢れ出ているという贅沢さ。
体も心もポカポカにする良質のお湯
シャワーや水道の蛇口はなく、100%天然温泉のみというシンプルさが秘湯の魅力のひとつでもあります。温泉成分が付着したバルブを通って流れ出る源泉は50.9℃とやや高め。水温調節は沢水というワイルド感もたまりません。(加水用の沢水は飲料不可。飲み水は事前に用意しましょう)
ほぼ無色透明のお湯で身体を流すとお肌はツルツルピカピカ!じっくりつかると湯上り後もポカポカが続きます。効能はリュウマチ性疾患、痛風などで温泉は飲料も可能。(北海道では生水にキタキツネを媒介とするエキノコックスという寄生虫が含まれていることがあり川水、湧き水、温泉の飲用は注意が必要です)
「越川温泉」は利用組合が大切に管理している施設です。ゴミの持ち帰りなどマナーを守って利用しましょう。
いつまでもゆっくり浸かっていたくなる知床の静かな秘湯。自分だけが知っているお気に入りのひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
スマートポイント
- 国道244号線は冬期は降雪により通行止めになる場合がありますので、国土交通省の北海道開発局の通行止め情報を確認してから向かうのが安心です。
- 温泉の近くにはコンビニや商店などはありません。斜里町市街地で飲み物や、入浴料(協力金)用の小銭を準備していくことをおすすめします。
- 数日に一度の清掃時はお湯が溜まるまで入浴できませんので、時間に余裕を持って行きましょう。
ライターのおすすめ
泉質も素晴らしくファンも多い温泉です。地元の方々が大切に管理している施設ですので、基本的なマナーを守って利用しましょう。近くの「第一幾品川橋梁」も近くで見ると迫力があるので一見の価値アリです。
noccoshi design.
札幌出身、2014年より道東暮し。グラフィックデザイナー。道東のオモシロイを開拓しています。
INFORMATION
スポット名 | 越川温泉共同浴場 |
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住所 | 北海道斜里郡斜里町 |
ジャンル | 温泉 |
料金 | 協力金として200円 |
営業時間 | 午前6時〜午後10時 |
定休日 | 不定休 |
駐車場 | 無料 |
地図 | 43.83401099336943 |