札幌から車で40分ほど、美唄(びばい)市にある「安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄」は、約7万㎡の広大な敷地につくられた野外美術館です。閉校になった小学校の木造校舎や体育館をギャラリーとし、美しい芝生やなだらかな丘、林のなかにも彫刻が置かれ、季節の変化とともに多様な表情が見られます。訪れる人たちは、ゆっくり彫刻を鑑賞する人はもちろん、のんびりお散歩する人、写真を撮る人、野鳥を観察する人…と思い思いの時間が流れています。
木造の旧栄小学校が芸術広場に
「アルテピアッツァ」はイタリア語で「芸術広場」という意味で、この美術館は美唄出身の彫刻家・安田侃(かん)さんの作品を約40点、屋内外に常設展示しています。もともとは1981年に閉校となった旧栄小学校へ、当時アトリエを探していた安田侃さんが訪れたことをきっかけに、建物を改修し周囲の環境整備を重ね、1992年に「アルテピアッツァ美唄」としてオープン。それからは演奏会や展覧会が開かれるなど、さまざまに活用されています。2016年4月には「安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄」と名称を変え、いまなお安田侃さん自身が、この空間を創り続けています。
季節の移り変わりとともに
安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄の魅力の一つは、季節ごとに変わる美しい景色と、彫刻とが一体になって感じられること。春は桜が咲き誇り、夏はまばゆい緑が一面をおおい、水遊びを楽しむ子どもが毎日のようにやって来ます。秋は燃えるような紅葉が広がり、冬は一変して雪に包まれた静寂の世界に。そのなかで見る彫刻は、同じ作品でも表情が大きく変わり、いつも新しい発見にあふれています。全国から季節ごとに通うファンが多いのも納得ですね。
初めての人にも懐かしい場所
ギャラリーとなっている校舎の1階は、いまも現役の幼稚園として使用されています。そのため2階で作品を鑑賞していると、子どもたちの元気な声が響いてくることも。作品が並ぶかつての教室は、壁に生徒の名前が書いてあったり、廊下に校歌が貼ってあったり、ここで大勢の子どもたちが過ごしていたことがわかります。アルテピアッツァ美唄が、初めて訪れた人にとってもどこか懐かしく、温かく感じられるのは、たくさんの思い出がつまった場所だからかもしれません。園内の一角には素敵なカフェもあるので、のんびりひと休みしていきませんか?
※こちらは、公開日が2016年12月27日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。