「蝦夷富士」と呼ばれる羊蹄山(ようていざん)が雄大な姿でよく見えるニセコ町は、世界中に注目される国際的なリゾート地。ニセコ町有島地区にある「有島記念館」は、『生まれ出づる悩み』や『カノンの末裔』などの小説で知られ、ニセコ町の開拓に尽力した文豪・有島武郎の生涯を、写真パネルや遺品などの展示物でたどることができる記念館です。「ニセコ文学」と言われるほど、この土地を舞台にした小説を書いた有島武郎。農地改革に尽力した業績や、農業関連の資料が数多く保存されています。
羊蹄山のビュースポットでも人気
札幌から国道230号線を南へ向かい約2時間。JRニセコ駅より5分ほどの場所にある「有島記念館」は、1978(昭和53)年に開館。年間約1万人の観光客が訪れる人気スポットです。秀峰・羊蹄山(標高1,898m)を一望できる広大な庭園のなかに、とんがり屋根の展望台と美しい白亜の建物は、その美しさから人気を集めるビューポイント。記念館を中心に、旧有島農場周辺をめぐる際の憩いのスポットになっています。
ニセコとつながりが深い有島の生涯
ニセコ開拓の苦労を重ねたのち、1908(明治41)年、記念館のある周辺は有島武郎名義の「有島農場」に。その後1922(大正11)年、農民たちに無償で農地を解放する「農場解放」を宣言。この恩に報いる形で、農民たちが保管していた資料が継承され「有島記念館」が設立しました。館内には、当時の貴重な農場資料や歴史の軌跡、有島武郎はもちろん、ニセコにゆかりのある人々の姿が生き生きと写るパネルなど、書籍や絵画作品とともに数多く展示されています。
歴史をめぐる散歩道やカフェも
「有島記念館」では、有島武郎の書籍や工芸作品などを揃えたショップ、音楽コンサートなどのイベントが開催されるホール、有島の歩みを映像で紹介する講堂があります。また、有島の作品から着想を得た自家焙煎コーヒーを味わえるカフェもあり、そこから見える羊蹄山の大パノラマを眺めながら、ゆっくりとくつろげます。記念館の周辺には、農民解放記念碑や弥照(いやてる)神社、小説「親子」の坂などをめぐる散歩道も見どころのひとつ。ニセコの人々が有島武郎に謝恩を込めたスポットが点在しています。
※こちらは、公開日が2017年2月24日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。