優美な姿と赤い頭がトレードマーク、タンチョウはアイヌ民族の人々が「サルルンカムイ(葦原の神)」と呼んであがめた鳥です。日本で初めての「鶴公園」として1958年にオープンしたのが、釧路市丹頂鶴自然公園。釧路空港から車で10分ほど、自然のままの地形を生かした広大な敷地で、一年を通じてタンチョウの姿を間近に観察できます。
絶滅の危機からよみがえった美しい鳥、タンチョウ
江戸時代までは道内各地に生息していたタンチョウですが、明治時代の乱獲、農地増加によって一時は絶滅したと考えられていました。1924(大正13)年に釧路湿原で10数羽のタンチョウが見つかって以来、地元の人々による保護活動が進められ、1958年にはこの釧路市丹頂鶴自然公園、通称・鶴公園がオープンしました。1968年に自然ふ化、1970年に人工ふ化に成功したのを手はじめに、多くの繁殖に成功しています。
道東ならではの自然をいかし広々とした鶴公園
公園は約10万平方メートルもの敷地を持ち、湿原や川、起伏など自然のままの地形を生かした広大な造り。現在、公園では14羽のタンチョウが公開されています。約450メートルの観覧通路からは、幅50メートル×奥行150メートルを基本とする区画ごとに、1区画1つがい、オスとメスのペアで暮らすタンチョウたちが観察できます。5~6月にはヨチヨチと歩く愛らしいヒナの姿が見られることも!
貴重な展示や湿原の主・ヤチボウズにも注目を!
観察エリアでは、タンチョウだけではなく「ヤチボウズ」にも注目しましょう。スゲ科の植物が丸い株状になったもので、北国の湿原独特の植物です。また、園の入口になっている管理棟では、タンチョウの生態や保護・繁殖の歴史に関する分かりやすい展示、美しい写真などを室内で見学できます。タンチョウ関連のオリジナルグッズもある売店にも立ち寄ってみましょう。