「全国旅行支援」とは
2022年6月15日の記者会見で岸田首相は、現在都道府県単位で実施されている県民割を早ければ7月前半から対象者を全国に拡大するとの方針を示しました。
岸田首相の会見を受けて6月17日に観光庁は、6月30日までが期限であった県民割の7月14日までの延長と、7月前半から新たに支援額の上限や対象者を設定した「全国旅行支援」の実施を発表しました。
6月17日の観光庁の発表で判明している「全国旅行支援」の内容は下記のようなものとなります。
- 対象者
- 日本国内在住者
- 利用期間
- 2022年7月前半~8月末(お盆時期の最繁忙期を除く)
- ※「お盆」の具体的な日程については不明
- 割引率
- 旅行代金の最大40%
- 割引上限額
- 公共交通機関がセットの宿泊旅行:8,000円
- 宿泊のみ:5,000円
- 日帰り旅行:5,000円
- ※1人1泊につき
- 地域クーポン券
- 平日:3,000円
- 休日:1,000円
- ※1人1泊につき
- ※平日・休日の定義については不明
- 利用条件
- ワクチン3回接種済みまたはPCR検査等による陰性確認
具体的な開始日や除外期間は未定となっていますが、支援内容や支援対象者は現在行われている「県民割」と、「新たなGoToトラベル」の中間といったところでしょうか。
ということで、次に「県民割」と「全国旅行支援」の違いについて見ていきましょう
「県民割」と「全国旅行支援」との違い
国は現在一斉停止中のGoToトラベルの代替支援策として都道府県が実施する「県民割」に対して費用を支援しています。
「県民割」は当初は実施する都道府県の居住者に対象者を限定、その後近隣の都道府県在住者へ対象を拡大して継続されています。
7月上旬に開始される見込みの「全国旅行支援」と、現在各都道府県で実施されている「県民割」はどちらも国が支援をして、都道府県が実施することから、名称変更のような印象もありますが、事業としては別物となりますので、内容を比較していきましょう。
対象者
「全国旅行支援」では対象者の居住地の制限がなくなりますので、実施する都道府県の立場ではより多くのお客様に来ていただくチャンスが増え、利用する消費者にとっては旅行先の選択肢が住んでいるエリア内から一気に日本全国へと広がることになりますね。
利用期間
全国旅行支援
2022年7月前半~8月末
※お盆時期の最繁忙期を除く
「県民割」は開始、休止、延長などが繰り返されてきましたが、最長で7月14日(7月15日チェックアウト分)までで終了が決まりました。
「全国旅行支援」の開始は7月前半からとの発表でしたが、現在のところ具体的な日程は不明となっています。
「県民割」が7月14日で終了なので、そのまま移行ということであれば7月15日開始?との予想もできますが、7月18日が海の日で祝日のため、7月16日~7月18日は3連休となります。
感染対策の上で混雑は避けたいところですので、「全国旅行支援」については、海の日の連休を外して7月19日以降の開始となる可能性もありますね。
海の日の連休を利用して旅行を計画している場合は、「県民割」「全国旅行支援」のどちらも使えない前提で計画をするのが無難そうです。
割引率と上限額
県民割
最大50%の割引
上限は1人1泊につき5,000円
全国旅行支援
最大40%の割引
上限は1人1泊につき
公共交通機関がセットの宿泊旅行:8,000円
宿泊のみ:5,000円
日帰り旅行:5,000円
割引率は「県民割」の50%に比べて「全国旅行支援」では40%と引き下げられますので、一見すると条件が悪くなるように見えますが、上限額について新たに「公共交通機関がセットの宿泊旅行」という条件が増えて、8,000円が上限額となります。
日帰り旅行や宿泊のみの旅行の場合は、旅行代金が同額であれば、「県民割」の方が割引率がいいので安くなりますが、公共交通機関がセットの場合は割引率が最大40%であっても上限額が上がったことで受けられる恩恵が増す可能性が高いです。
【例:1泊2日 飛行機+ホテルがセットで1人2万円の旅行の場合】
県民割の場合…旅行代金の最大50%割引ですが、割引は上限額の5,000円なので支払金額は15,000円
全国旅行支援の場合…旅行代金の最大40%割引ですが、割引は上限額の8,000円なので支払金額は12,000円
また、日帰り旅行や宿泊だけの旅行の場合は「県民割」の方が受けられる割引額が多そうに見えますが、「全国旅行支援」の実施が見込まれる7月後半から8月にかけては旅行代金が割高になるハイシーズンとなりますので、「割引率」が下がったとしても上限額は据え置きで5,000円ですので、最大限の割引を受けられる可能性は高いのではないでしょうか。
地域クーポン券
全国旅行支援
平日:3,000円分
休日:1,000円分
地域共通クーポンについては、「県民割」は平日、休日の区別なく一律で2,000円分でしたが、旅行需要の分散化を促すために「全国旅行支援」では平日と休日で付与額が変わります。
「全国旅行支援」での平日と休日の定義については発表されていませんが、「新たなGoToトラベル」の内容として公表されている金額と同額なので、平日と休日の定義についても「新たなGoToトラベル」のルールが適用されるのではないでしょうか。
利用条件
県民割
ワクチン3回接種済みまたはPCR検査等による陰性確認
※事業開始時はワクチン接種については2回目接種後14日以降が条件だった
全国旅行支援
ワクチン3回接種済みまたはPCR検査等による陰性確認
利用条件のワクチン・検査パッケージについては、「県民割」に引き続き「全国旅行支援」でもワクチン3回接種済みまたはPCR検査等による陰性確認が必要となります。
また、実施する都道府県によっては「県民割」の利用条件として人数制限や宿泊数制限、利用回数制限などの条件を加えている場合があります。「全国旅行支援」でも引き続きこれらの追加条件を都道府県が独自に加える可能性があります。
この都道府県独自の追加ルールについては、追加の制限のようなネガティブなものだけではなく、都道府県の魅力を発信したり、より多くの観光客を誘致するために独自の支援を追加してもらえるなど、利用する私達にとってポジティブな違いも考えられますので、後者を期待しましょう!
「全国旅行支援」と「新たなGoToトラベル」との違い
「全国旅行支援」は、支援対象者が全国に拡大されるということが判明しましたが、それなら「新たなGoToトラベル」と同じでは?という疑問が出てきますよね。
そこで、「全国旅行支援」と「新たなGoToトラベル」との違いについても確認しておきましょう。
対象者
「全国旅行支援」と「新たなGoToトラベル」で対象者については違いはなく、いずれも「日本国内在住者」となります。
利用期間
全国旅行支援
2022年7月前半~8月末
※お盆時期の最繁忙期を除く
「全国旅行支援」の利用期間が8月末までとされているので、「新たなGoToトラベル」については9月以降に再開される可能性はありますが、このまま「新たなGoToトラベル」は再開せずに「全国旅行支援」を延長するという可能性もありますので、今後の情報を待ちたいところです。
割引率と上限額
全国旅行支援
最大40%の割引
上限は1人1泊につき
公共交通機関がセットの宿泊旅行:8,000円
宿泊のみ:5,000円
日帰り旅行:5,000円
新たなGoToトラベル
最大30%の割引
上限は1人1泊につき
公共交通機関がセットの宿泊旅行:10,000円
宿泊のみ:7,000円
日帰り旅行:3,000円
割引率は「県民割」から「全国旅行支援」への移行で引き下げられますが、更に「新たなGoToトラベル」では30%まで引き下げられます。
しかし、「県民割」と「全国旅行支援」の比較でも解説しましたが、上限額も変わりますので、公共交通機関がセットの宿泊旅行と宿泊のみの旅行については、「新たなGoToトラベル」の方が割引額は上がりますので、高額の旅行に対してはお得度が増します。
地域クーポン券・利用条件
地域共通クーポン・利用条件については、「全国旅行支援」と「新たなGoToトラベル」では同条件となります。
「全国旅行支援」はあとから割引は可能なのか?
すでに旅行を予約済みの方、混み合う前に予約を検討している方が気になるのが、予約済みの旅行に対して「全国旅行支援」の割引をあとから適用してもらえるのかという点だと思います。
6月17日の観光庁の発表時点では未定という状況です。なお、県民割については予約済みの予約については適用外とした都道府県が多かったため、「全国旅行支援」についても指定された日時以降の新規予約にのみ割引を適用可能となる可能性があります。
現在旅行の予約を検討中の方については、現在のところはあとから割引は適用されない前提で計画されたほうがいいでしょう。
なお、「新たなGoToトラベル」については、予約済みの旅行についてもあとから割引適用可能との方針なので、今後「全国旅行支援」についてもあとから割引が可能との方針が出される可能性は残されていますので、すでに旅行を予約済みの方については観光庁からの正式な発表までは様子を見ることをおすすめします。
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