近年、京都のお土産の新定番になりつつある、阿闍梨餅(あじゃりもち)は、十数年前までは、知る人ぞ知る隠れた名品という位置付けで、地元京都の人に、普段使いのお菓子として購入されていました。
今では京都の主要な百貨店で販売され、美味しいと評判になり、メディアへの露出が増加。大阪や東京の百貨店でも販売され、全国的に浸透しつつあります。
しかし、出町柳近くの百万遍に店を構える本店でしか巡り合えない味わいや限定の商品が存在します。
グルメ
2016.04.09
writer : けいたろう
近年、京都のお土産の新定番になりつつある、阿闍梨餅(あじゃりもち)は、十数年前までは、知る人ぞ知る隠れた名品という位置付けで、地元京都の人に、普段使いのお菓子として購入されていました。
今では京都の主要な百貨店で販売され、美味しいと評判になり、メディアへの露出が増加。大阪や東京の百貨店でも販売され、全国的に浸透しつつあります。
しかし、出町柳近くの百万遍に店を構える本店でしか巡り合えない味わいや限定の商品が存在します。
阿闍梨餅の阿闍梨とは、荒行で有名な比叡山廷暦寺の千日回峰行をおこなう、天台宗の高僧を指す言葉で、その阿闍梨さんが被っている網代笠をかたどって商品を作ったことに由来。本店のある百万遍は比叡山の麓で、千日回峰の修行をする阿闍梨さんと縁が深い土地柄が、商品誕生の背景となっています。
本店で購入する阿闍梨餅は、手に持つとほんのり温かみが伝わります。
その秘密は本店と道を挟んだ真向いの工場にあります。全国に流通する阿闍梨餅は、すべて、本店前の工場で製造されています。そのため、ほんのり温かい商品が食べられるのは、本店だけ。
網代笠によく似た阿闍梨餅を割ってみると、つぶ餡がギッシリ。
一口かじると、薄い餅のモッチモチ加減が衝撃的です。甘さ控えめな、つぶ餡との相性は絶妙で、素晴らしく調和しています。しっとりとした皮が美味しいという意見も多い阿闍梨餅ですが、食べてみると納得です。
京都土産の新定番としてすっかり阿闍梨餅の方が有名になってしまいましたが、本来の主力商品は満月。会社名も阿闍梨餅本舗京菓子司満月です。
明治33年に公家の九條家からの御下命があり、調進したのが始まり。明治としてはモダンな西洋風の生地で包んだ焼き菓子は、その白くて丸い姿が月に見立てられ、九條家によって『満月』と名付けられ、以来、御用達となっています。
すべすべした満月の中は、白餡。最高級白小豆のみを贅沢に使用した漉餡は、しっとりしつつもさらりとした上品な味わい。
店名にもなっている見事な商品を、あえて限定にする理由を尋ねてみると一つひとつ職人の手仕事で作られていることと、白小豆の希少性によって、本店限定、しかも土日・祝日のみの取り扱いとのこと。
本店限定商品は、満月の他にもう一つあります。それが最中。最中と言えば、和菓子の定番商品ですが、満月では本店のみの限定商品となっています。
その理由は、こだわりの製造方法。蜜漬けした大粒の小豆を、銅製の鍋で丁寧に粒をつぶさないように炊き上げる餡は、小豆の風味と粒の大きさが特徴。
つぶ餡を挟み込む、最中種と呼ばれる皮は、香ばしさが強く、大粒の粒餡と相まって、どこか力強ささえ感じる逸品となっています。
小豆に無理な力を加えないよう職人の手で最後まで仕上げる餡を使用しているので、大量販売が不可能な点に加え、他の商品よりも日持ちがしないので、夏季は取り扱いがなく、9月上旬~5月まで、本店のみでの販売となっています。
満月には、受け継がれてきた一つのポリシーがあります。それは「一種類の餡で一種類の菓子しか作らない」ということです。
話だけ聞くと、こだわりを持つ理由が分かりづらいですが、それぞれの商品を食べ比べてみると、すぐに理解できます。阿闍梨餅と最中に使用されているつぶ餡は、それぞれまったくの別物となっています。
餡はそれぞれ、ただ一種類の菓子に使用するために、素材から製造法まで厳選され、考え抜かれ、生地と餡が最良の組み合わせになるように、計算され尽くされています。
このようなこだわりによって、一つの餡から一つの菓子しか作らないために、商品の種類は、決して多くありません。今回紹介した阿闍梨餅、満月、最中に加え、棹物の京納言の四種類しかありません。しかし、その四種類は、それぞれが珠玉の逸品となっています。
お店のある百万遍は、出町柳から歩ける距離にあり、京阪電車の駅を中心にすると、鴨川デルタは目の前で、お店も下鴨神社も徒歩圏内です。
また、出町柳の駅は、比叡山や貴船神社へと繋がる叡山鉄道の始発駅でもあるので、電車の乗り換えの際にちょっと足を延ばせば購入可能です。
店頭には、ベンチもおいてあり、買った商品をその場で食べることもできます。
もちろん鴨川デルタの解放感の中で食べても絶品です。
すべての商品が1個から購入可能。しかも、満月には「材料の質を落とさず、値段は極力上げない」という、もう一つのモットーがあり、いずれも上質な菓子でありながら、安い価格を維持しています。
家族や職場の人に阿闍梨餅を数十個単位で買って、自分用に阿闍梨餅、満月、最中をそれぞれ単品購入して、食べ比べて餡の違いを確かめるという楽しみ方ができるのは、本店を訪れた人の特権です。
スマートポイント
ライターのおすすめ
白地に緑の文字が可愛いパッケージの阿闍梨餅は、京都中でよく見るようになりましたが、本店でしか味わえない限定品も、ぜひ食べてもらいたい。私は、ハッとするほど香ばしい最中のファンになりました。
けいたろう
大阪在住のフードアナリスト。足を使って関西中の美味しい食べ物情報を探し出し配信します。お楽しみに!
スポット名 | 阿闍梨餅本舗 京菓子司 -満月- |
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住所 | 京都府京都市左京区田中大堰町139 |
電話番号 | 075-791-4121 |
料金 | 108円から |
営業時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | 水曜不定休 |
駐車場 | 7台(店の前が駐車場) |
備考 | HP : http://www.ajyarimochi.com/index.html |