初めて行った場所で、地元の人が行きつけにしている店に出会うと、その土地と深く関われたようで旅の思い出が深くなる。梅田から歩いて10分ほどの中津エリアは、オフィスや店、そして住居が混在する下町だ。飲食店は、個人が営む小さな店が多く、梅田の喧騒はどこへやら、一人静かに飲める店も多く、「北乃」もそんな店の一つだ。
カウンターと奥に座敷があるだけの小さな店が、かつては板前さんが3人もいる高級割烹だったと聞いて、ちょっとびっくり。日が暮れるとぽつりぽつりと一人客が訪れる。夜のメニューは定食が700円~、お任せ2,000円~と、とってもリーズナブル。カウンターに座って、お任せをオーダーするとその日の料理がすっと出てくる。その数、なんと6品!前菜、造りに続いて出された厚揚げは、まるごと1枚が一人分。そのボリュームに少々驚きながらもビールが進む味だ。
グルメ
2016.10.04
梅田とは違う雰囲気の中津で
北乃の愛情いっぱい家庭料理を
writer : 松田きこ
シンプルな家庭料理にほっとする
続いて野菜炒めが登場。たっぷりのベーコンとニラがおいしい。この時点で少しおなかがふくれてきた。
続いて出てきたのは、イワシの煮付け。身がほろりとほどけて、旨みもたっぷり。出される料理それぞれがメインになるような味とボリュームで、初めて来た人は驚く。
お母さんの愛情いっぱいのメニュー
すでにおなかはいっぱいだ。ごはんはギブアップしたが、マスターが「体にいいからシジミをどうぞ」と、大きなお椀にたっぷりシジミの味噌汁を出してくれた。おなかはいっぱいだけど、おいしくて完食。
料理を作ってくれるのは、あたたかい眼差しの「お母さん」。割烹時代からのオーナーで、当時は大阪の北新地でクラブも経営していたそうだ。その腕は確かで、一見家庭料理風ながら、本格的な料理が次々に登場する。「単身赴任のお客さんが多いから栄養バランスがとれるように」と毎日のメニューを考えるやさしい人。
仕入れと配膳を担当するマスターは、ひょんなことからこの店を手伝うことになって、早15年。たしかな目利きと舌で、お母さんをサポートする。
グループ利用は奥の座敷でわいわいと
奥の座敷で食べる予約制のコース料理は2500円から。この値段でいいのかな、と思うようなメニューが次々に出てきて、コストパフォーマンスの良さに絶句してしまう。幹事の時に北乃のコースを選ぶと、仲間に驚かれること間違いなしだ。2,500円でハモの湯引きが出てくるなんて、驚きのメニュー設定なのだ。玉子豆腐の揚げ出しも上品な味。
賀茂なすの田楽は定番人気。
シメに出された鯛のアラ煮に大満足。
女性の一人客もリラックスして飲めるカウンター
ボトルキープした焼酎を飲みながら、天気のことや野球のことなど、何気ない会話をぽつりぽつり…。常連さんが多いが、ふらっと入っても気遣いはいらない店だ。
スマートポイント
- 梅田でおしゃれな店もいいけれど、旅の移動に疲れた日は、こんな家庭的な店もオツなもの。お任せであたたかい家庭料理が順番に目の前に出てくるので、何が出てくるかワクワク感があるのだ。
- ランチタイムの定食が近くで働くビジネスマンやOLさんに大人気。売り切れてしまうこともあるので、食べたい時は早めに行こう。
- 夏はハモ鍋、冬は野菜たっぷりの各種鍋など、奥の掘りごたつ式の座敷で食べる宴会メニューもおいしい。10人くらいまでならOK。早めに予約しておこう。
ライターのおすすめ
初めて訪れた人は皆、コストパフォーマンスの高さに驚く。「もしかして、原価計算まちがってる…?」と心配した経営コンサルタントがいたとか。泥酔するほど飲む人はいないし、客筋がいいのも安心できる店。
松田きこ
おいしいものを食べるのも作るのも大好き、お酒はもっと好き。取材の旅先で酒蔵や温泉を訪ねるのが趣味です。
INFORMATION
スポット名 | 北乃 |
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住所 | 大阪府大阪市北区豊崎4丁目2−11 |
ジャンル | 家庭料理 |
電話番号 | 06-6374-0380 |
料金 | 昼1,000円、夜3,000円 |
営業時間 | 11:00~14:00、17:00~不定 |
定休日 | 土・日曜 |
駐車場 | なし |