大阪の造幣局といえば「桜の通り抜け」。
春の風物詩として知られるこの場所は、日本が近代国家に成長するにあたり、重要な役割を果たした場所なのだ。1871(明治4)年の創業から、およそ150年後の現在でも貨幣や勲章などを製造する工場として稼働している。
構内に入れるのは桜の時期だけと思い込んでいる人もいるが、実は入館料無料の造幣博物館があるのだ。
さらに事前に予約をしておけば工場見学も可能。
無料で楽しく学べる造幣局を紹介しよう。
※2016年度の「桜の通り抜け」は4月8日(金)~4月14日(木)
観光
2016.03.12
お金作りの工場見学が無料!
桜の通り抜け以外でも造幣局へ
writer : 塚本隆司
近代日本の礎を作った造幣局
時代が江戸から明治へと代わり近代国家として生まれ変わろうとするとき、日本の貨幣制度も見直す必要に迫られていた。
明治新政府は大阪に造幣局を設立。当時の日本には貨幣を製造する技術はなく、外国事務局判事をしていた五代友厚らが、閉鎖状態にあった香港造幣局の機械を一式買い入れた。当時の設備が敷地内に展示されている。
いくつもの苦難を経て1871(明治4)年4月4日に創業式が行われた。
造幣博物館内には、創業時に活躍した伊藤博文や大隈重信・五代友厚らの肖像メダル風レリーフが並んでいる。
できたてのお金が見られる工場見学
世の中に工場見学ができる場所はいくつもあるが、貨幣となると特別な気がして見学ができることを知らない人も多いのでは。
日本で貨幣を作っているところは、ここ大阪の本局と東京・広島の支局
のみ。事前の予約(2ヵ月前の月初めから10日前まで)が必要だが無料で見学ができるのだ。
工場見学とはいえ、作っているものは貨幣。近くで見るわけにいかず窓越しでの見学。遠くて見えないかと思いきや、モニターで見られるように工夫されている。
製造する貨幣は日時によって異なるようだ。どのピカピカ貨幣が見られるかは来てのお楽しみだ。
大判小判から記念貨幣や勲章まで、見応え抜群の博物館
工場見学の後は、造幣博物館へ。ここは、予約なしでも見学可能だ。もちろん無料。
博物館だけなら、まずは2階展示室の映像シアターから見ることをおすすめしたい。造幣局誕生の歴史や製造工程などをビデオ上映でわかりやすく説明してくれる。
一番の見どころは、珍しい大判小判やメダル・金属工芸品の展示だろう。たまたま淀川で見つかった竹流金や幻となった未発行の貨幣など、ここでしか見られない展示物が並べられている。
勲章やオリンピックの入賞メダル・国民栄誉賞の盾など、おそらく大半の人が見る機会のない物も見ることができる。もちろん全て本物だ。
体験コーナーは子どもたちに大人気。貨幣を入れた袋や千両箱の重みを体験できるコーナーや自動販売機の貨幣判定を学べる装置などがある。大人には、大きな金塊・銀塊に触れるコーナーが人気かも。
造幣局といえば「桜の通り抜け」
造幣局の構内といえば、桜の通り抜け。
およそ130品種の桜が約350本。期間中の来場者は約60万人という大阪を代表する桜の名所だ。
この時期だけは、工場見学や博物館は閉館となるので注意が必要。あまりにも多くの人が訪れるため対応しきれないそうだ。
混雑の中では見つけにくいかもしれないが、構内には明治の名残の正門やレンガ壁・鉄柵など、歴史を感じる建造物がいくつか残っている。夜桜の時には、創業当時のガス灯がともっているはずだ。
併設ショップでお土産も
正門横には、ショップも併設され、面白いものから高価なものまで販売されている。
造幣局ならではの商品ばかりだ。子どもの誕生日や記念日に、その年の貨幣セットを贈るのもいいかもしれない。
造幣局の場所は大阪の中心地にありながら少しわかりにくい。最寄駅はいくつかあるが徒歩10分ほどかかる。
大阪に不慣れならば、JR環状線桜ノ宮駅がおすすめ。JR東西線なら大阪天満宮駅がいいだろう。
バスならば、大阪市営バス桜の宮橋バス停で下車すると正門の前だ。
大阪城からでも徒歩30分ほどなので、ブラブラ大阪の街を歩いて行くのもいいだろう。
スマートポイント
- 桜の通り抜けは有名だが、工場見学や博物館が無料で見られるのは以外と知られていない。しかも収蔵品は約4000点。貴重なものばかり展示されている。無料とは思えない充実ぶりなのだ。
- 所要時間は、造幣博物館と工場見学を合わせておよそ90分。学校行事や夏休みの自由研究など子どもたちに人気のようだ。大人のバスツアーも増えているとか。
- 博物館の体験コーナーには、貨幣を一揃い持参することをおすすめ。ちょっとした実験ができる装置があるのでお楽しみを。
ライターのおすすめ
歴史的な場所だけに敷地の周りにも注目。創業当時の物流が船だったことをうかがい知る建物も残っているので、川沿いを歩くのもいいですよ。ちなみに入り口は北側の正門だけなので迷わないように。
塚本隆司
ご覧頂きありがとうございます。
「行きたい」気持ちが「行こう」に変わった瞬間が今ならうれしいです。
INFORMATION
スポット名 | 独立行政法人造幣局 本局 |
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住所 | 大阪府大阪市北区天満1-1-79 |
電話番号 | 06-6351-5361(代表) 06-6351-8509(造幣博物館) |
料金 | 無料 |
営業時間 | 9時〜16時45分(入館は16時まで) |
定休日 | 土曜日、日曜日、祝日及び年末年始 臨時休館する場合あり ※桜の通り抜け期間中及び桜の通り抜け開始日の前日は閉館 |
駐車場 | 事前確認 |
備考 | HP : http://www.mint.go.jp 工場見学は予約が必要(2ヵ月前の月初めから10日前まで) |