風見鶏の館は、そのひときわ目立つ外観と塔の天辺に立つ風見鶏で、北野町・異人館街のシンボルとなっています。1977年にNHKの朝ドラで放送された『風見鶏』の舞台となったのがきっかけで、北野町が大ブレイク。異人館ブームを呼び、多くの観光客が訪れるようになりました。異人館街を彩るこの館の魅力に迫ってみましょう。
観光
2016.09.09
レンガ造りで重層な雰囲気
異人館街を象徴する風見鶏の館
writer : 磯本歌見
国の重要文化財にも指定
風見鶏の館は、かつて神戸に住んでいたドイツ人貿易商ゴットフリート・トーマス氏の自邸として約110年前に建てられた建物で、旧トーマス住宅として国の重要文化財に指定されています。レンガの外壁の建物としては、異人館街唯一のもので、色鮮やかなレンガの色調や石積の玄関ポーチ、2階の木骨構造など、他の異人館とは異なった重層な雰囲気。建物は5階建てビルに相当する高さ約23mですが、2階建て。1階でも4mほどの天井高があり開放的です。
1階は会社のショールーム
トーマスさんは、妻と娘のエルゼさんと一家3人で広い邸宅に住んでいました。1階は玄関ホール・応接間・居間・食堂・書斎があり、会社の迎賓館としての役割も持っていたそうです。部屋ごとに調度品や壁紙、照明などを変えていますが、全体的にドイツの伝統様式ながら、アールヌーヴォー風も取り入れていて、これも見どころの一つです。食堂はお客さんをもてなす空間。祖国・ドイツの城館をイメージしており、天井の木の組み方、暖炉飾り、戸棚、王冠風のシャンデリアにそのデザインが伺えます。かなりの商才があったトーマスさん、当時宣伝用の家のアルバムを造っていたそうで、それが今でも各部屋に飾られています。
1階と2階の仕様の違いにも注目
それでは2階に上ってみましょう。2階は、夫妻の寝室、子ども部屋、客用寝室、朝食の間などがあります。質素倹約なドイツ人気質がこの館にも現れていて、1階と2階では、装飾品が全く違います。扉も1階が2m40cmあるのに対して、2階は2m30cm。その違いを見るのも一つの見どころです。2階ホールには、風見鶏のレプリカが飾られています。意外と大きいのに驚きますが、風見鶏には、風向きを知ることや避雷針の役目だけでなく、魔除けの意味もあるそう。鳴くことで魔除けになるとくちばしを触っていく人が多くレプリカのくちばしは変形しています。
エルゼさんのハンカチをゲットしよう
2階の夫婦の寝室があった部屋はお土産コーナーになっています。たくさんのオリジナルグッズがあるなかでも一番人気は、かつてこの家で多感な青春時代を過ごしたエルゼさんの筆跡入りオリジナルハンカチ「コルゼカルボ」(790円)です。エルゼさんは、ドイツから何度もこの地を訪れ、館の復元に一役買っています。
数奇な運命をたどったトーマス家
最後に1階のトーマスさんの書斎に行ってみましょう。八角形の張り出しを設けたこの部屋は、一日中陽があたるような造りになっていて、トーマスさんのお気に入りの部屋だったそうです。娘のエルザさんの進学のためドイツに帰国し、それからすぐ第一次世界大戦勃発。敵対国となったため、財産も含めて没収されたそうです。館内には、トーマス一家とその数奇な歴史についても展示していますので、トーマス家のストーリーを紐解きながら見学するのもいいでしょう。
スマートポイント
- 毎月様々なイベントを開催しているので、HPでチェックしてから出かけよう。
- 1階・居間には、記念撮影コーナーがあり、そのソファーで記念撮影をすると、夫婦仲がよかったトーマス夫妻にあやかれるそう。カップル・ご夫婦はぜひ記念撮影を。
- 各部屋には音声ガイドがあるので、それを押して説明を聞きながら回ろう。
ライターのおすすめ
館内には、トーマス一家の写真や昔の各部屋の様子などの写真資料がたくさん残されています。トーマス家の歴史を紐解き、当時の様子を想像しながら各部屋を回ると、より見学が深いものになると思います。
磯本歌見
関西最西端・忠臣蔵の故郷「赤穂」に住みながら、フットワークの軽さを活かして京阪神・奈良まで取材へ。仏像ガールでご朱印女子。
INFORMATION
スポット名 | 風見鶏の館 |
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住所 | 兵庫県神戸市中央区北野町3-13-3 |
ジャンル | 観光 |
電話番号 | 078-242-3223 |
料金 | 大人500円 |
営業時間 | 午前9時~午後6時 |
定休日 | 6月・2月の第1火曜 |
駐車場 | なし |
備考 | HP:http://www.kobe-kazamidori.com/kazamidori/ |