「タヌキダニのお不動さん」と親しまれる狸谷山不動院は、交通安全、厄除け、ガン封じなどのご利益で知られる真言宗修験道の寺です。境内には、宮本武蔵が修行をしたと伝わる滝も残っています。本尊は、一切の悪魔・災難を払う力を持つという不動明王。本殿の奥にある岩盤斜面の洞に安置されています。清水寺の本堂「清水の舞台」と同じ「懸崖造り」で造られた本殿では、毎日9時から16時まで30分間隔でご祈祷が行われ、厳かなお経が響きます。7月の「火渡り祭」では、無病息災を願い、護摩祈祷の残り火で作った火床の上を素足で渡る「火渡り行」が行われ、多くの人でにぎわいます。
たぬき(他を抜く)ということから、スポーツ選手なども多く参拝に訪れるそう。
観光
2016.11.24
宮本武蔵ゆかりの修験道の寺
神秘の狸谷山不動院
writer : 砂野加代子
250段の石段をのぼって本殿へ
鳥居をくぐるとまず左手にあらわれるのが、朱塗りの鳥居が並ぶ「白龍弁財天」。苦難・恐怖を除き、財宝・福利を得られるという、甚大なご利益があるそうです。
本殿までは250段の石段を上ります。石段の途中には、参拝者を迎える「お迎え大師」(弘法大師像)が。全国を歩いた弘法大師にあやかれるよう、像のまわりには足腰の健康を願う「健脚わらじ」が多く奉納されています。また、石段の要所要所には、たぬきの置物が置かれていて、上った段数を教えてくれます。
宮本武蔵の修行の滝で活力を得る!
境内には、剣豪・宮本武蔵が一乗寺下り松での吉岡一門との決闘に臨む際、滝に打たれて己に打ち克つ不動心を得たと伝わる「宮本武蔵修業乃滝」があります。古くから修行場として信仰される滝には、いまも不動の活力を授かろうと多くの人が訪れます。
本殿下には、衣食住愛の神様が祀られた「三社明神堂」、その隣には「トイレの神様」として信仰を集める「ウスサマ明王」も祀られています。
ガン封じや病気平癒にご利益
狸谷山不動院は、平安京の東北の鬼門守護として、桓武天皇の勅願で、鋭い眼力を持つご本尊「不動明王」を安置されたことにはじまるといわれています。不動明王のパワーに満ちた堂内には、触ると活力がみなぎるといわれる「巨大念珠」もあります。
本堂前の4本の柱には「ガン封じ・病気平癒」の願かけ札が、びっしりとかけられています。「なで御幣(ごへい)」といわれる、患部をなでる、ガン封じ・難病避けのお札を求める人も後をたちません。
京都三大初参りのひとつにも数えられる「初不動」(1月28日)では、ガン封じにご利益のある、護摩の火で温められた笹酒がふるまわれます。(大護摩供養は11:00〜、笹酒の無料接待は9:00〜16:00)
「火渡り祭」「祈り灯ろう」で心身健全を祈願
毎年7月28日には、「火祭り祭」が行われます。境内の参道には、「祈り灯ろう」といわれる、灯明がともされた願いごとを書いたあんどんが並び、幻想的な雰囲気に包まれます。本堂での護摩法要に続き、本堂下の火渡り道場まで山伏行列が練り歩きます。邪気を払い、四方結界を施した火渡り道場の中央護摩壇に、浄炎が天高く舞い上がる荘厳な光景は圧巻です。
火渡り行は、紫灯大護摩法要の後、護摩の残り火で作られた火床の上を素足で渡ります。無病息災、病魔退散、心身健全を祈願して、毎年1000人以上の人が訪れる神秘の祭り。法螺の音が厳かに響く、火渡り祭の夜をぜひ体験してみてください。
スマートポイント
- 本殿の舞台からは京都市内の眺望が楽しめます。
- 秋の特別参拝時には「特別洞窟内陣参拝」ができ、神秘的な洞窟や不動明王の眼力を身近に感じることができます。
- 火渡り祭の「火渡り」は誰でも参加可能。まず本殿に参拝、法要に参列し、火渡りお札を求めて順番を待ちましょう。
ライターのおすすめ
修験道の神秘的な世界観と、狸谷の名前にちなんで境内のあちこちに置かれた愛嬌のあるたぬきの焼き物が不思議とマッチ。交通安全祈願でも有名で京都では狸谷山不動院のステッカーをつけている車を多くみかけます。
砂野加代子
エディター&ライター。学生時代から生活の中心はほぼ京都。近頃つくづく「大人の京都は楽しいなぁ〜」と思う。
INFORMATION
スポット名 | 狸谷山不動院 |
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住所 | 京都府京都市左京区一乗寺松原町6 |
ジャンル | 観光 |
電話番号 | 075-722-0025 |
料金 | 500円(入山料) |
営業時間 | 9時00分~16時00分 |
定休日 | 無休 |
駐車場 | 150台(無料) |
備考 | HP : http://www.tanukidani.com/ |