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特集特集

2015.03.20

魂(マブイ)のゆくえ

writer : Hinata

はじまりは、音から。

高校生の頃の私はロック少女で、音楽にかなり敏感だった。
カッコいい音を探し求めてはライブハウスに通う日々。
そんな中で当時好きだったバンドが沖縄のバンドと対バンしたのが
私と沖縄との、全ての始まりだった。

その後、沖縄のフェスにバンドが招待され
私も追っかけさながら生まれて始めての一人旅を決行!
高校2年の夏休み、大阪から沖縄まで2泊3日の長い長い船旅だった。

そして沖縄初上陸。
目に写る全てがカラフルで、古くて味があって、生々しい。
それが最初のイメージ。

そこから頭と体がぼわんと緩んだまま日々を過ごしていくうちに、
空の青の濃さと海のエメラルドグリーンの南国感、そして湿った空気に
完全にノックアウトされてしまった。

沖縄は昔、日本の中で外国だったらしい。

本土から沖縄に行くにはパスポートが必要だったし、
お金はドルで、右側通行。アメリカだ。
もっと昔は琉球王朝時代の中国大陸との交流もあり、
そんな様々な時代を経ているからこそのこの風景なんだろう。
いろんな時代のいろんな時間が交錯して、今と交わり混在している。

今がいつなのか、
ふとした時に見失いそうになるのはそのせいなんだろうか。。。
自然も文化も、そして時間までもが複雑に絡み合う空間。

沖縄では「魂(マブイ)を落とす」という言葉がある。
それは、あまりに驚いた時にその場で魂を落としてしまうという
意味合いなんだけど。
私の場合、沖縄があまりにもすごい場所だったから
オウチに帰ってきても意識が日常生活に戻らないような状態で。

毎日ボーッとして沖縄の事しか思い出せなくて、
まるで沖縄にマブイを落として来てしまったようだった。

それからというものとにかく沖縄マニアになってしまい、
まいにち沖縄音楽を聞いては大阪でエイサーも習いはじめ
沖縄料理屋にも通うという日々が始まる。

私の生活はロックな感じから一気に、土着な民俗系へと変化していった。

それから沖縄に通ううちに、
ついに八重山島巡りの旅の果てにそのまま西表島に住むこととなり、
かなりディープな島暮らしが始まる。

古い小さな集落に住み、
祭や行事があって日々の生活があるという意識で暮らし、集落全体が
大きな家族という感覚の中で島の大きな何かに守られ、生かされていた。
それはとても大切な感覚だった。

海にご飯のおかずを取りに行き、山に民具を作る材料を取りに入る。
島に伝わる古い民謡を歌い、サンシンを弾く。
祭になればウタキの神様に手を合わせ、みんなで感謝し祝う。
とてもシンプルで、無駄がなく美しい。

それらが当たり前としてある日々に、生きるという事の奥深さを感じた。

沖縄が好きという感覚はもうない。
私のほとんどは沖縄そのものになってしまったから。

私のマブイはきっと、
あれからずっと沖縄の土の下に埋まっているのだろう。

Hinata

Hinata

神戸出身。西表島の生活を経て沖縄本島へとたどり着く。独自の感性で沖縄の物語を伝える。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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