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2016.09.09

復帰前のコザを感じる空間
コーヒーハウス響のひと時

writer : Naoko Uchima

コーヒーハウス響外観
コザ(現在の沖縄市)といえば、国際色豊な街並みや外国人相手のバーやクラブがあり、映像関係者や写真家にとって、被写体としての魅力に溢れる街だ。そんな沖縄市八重島に、1950年代にできた琉米文化を象徴する一番古い「ニューコザ」という歓楽街があったことを知る人は、地元でも少ない。

復帰前後に、このような街がコザや金武、辺野古など、沖縄各地に形成されていった。そのひとつであり、当時のままの佇まいで、現代に再生したのが「コーヒーハウス響」である。オーナーの洲鎌盛雄(すがまもりお)さんが、復帰前のコザが残る場所で何かできないかと、2009年8月、念願の喫茶店をオープンした。
店内
自らリノベーションも手がけ、当時のままをできる限り残した店内には、噂を聞きつけたオーディオマニアや写真愛好家、団塊世代の仲間達が訪れ、地元の人との交流が生まれる不思議な空間となっている。
当時のままをできる限り残した店内

コーヒーとケーキを食べながら常連さんとの会話を楽しむ

コーヒーハウス響のメニューは、シンプルにドリンクとケーキのセット(400円)のみ。セットとは思えない驚きの安さだ。ドリンクは、老舗ヨシモトコーヒーの「コザブレンド」(ホットかアイス)に、ティー、シークワァーサージュースからお好きなものを。それに日替わりのケーキがセットでついてくる。
ドリンクとケーキのセット
カウンターは常連さんでいっぱいだったので、後ろのテーブル席に座っていると手前の席のお客様が帰ったタイミングでカウンター席に招いてくれた。徐々に打ち解けてくると、常連さん達を交えてコザの話題で盛り上がった。オーナーの洲鎌さんや紳士的な常連さん達が親切にコザの歴史や八重島の話しをしてくれたことが感激だった。

そこで、改めてコザの魅力を再認識したのだが、わざわざそこへ訪れる理由は、絵になる空間があること。そして、そこにいる人達の人柄や大らかさ、ノリの良さなど、人間の魅力が非常に大きいと感じた。
カウンター席

響きわたる音とコザのチャンプルー文化を体感できる

オーナーの洲鎌さんは、幼稚園のころからレコードを聞いていたそうで、回るものが大好きという。クラシックのレコードを何千枚も集めていて、店内にかかる音楽は8割がクラシック音楽。たまに、常連さん達のライブコンサートもあるという。オーディオにはかなりこだわっているので、それを目当てに訪れる人も多いそう。
オーナーの洲鎌さん
特にイギリスのタンノイという巨大スピーカーで奏でる音楽は必聴だ。自身で店内の内装はもちろん、オーディオの改造も手がけたりと、音作りに関してはアイデアがどんどん湧いてくるという。また、琉米文化の象徴として、私のように建物をひと目見てその雰囲気にひかれて訪れる客も多いそうだ。
店内の内装
スピーカー

50年代にタイムスリップ

外観をひと目見て俄然興味が湧いた場所なのだが、そこにいる人達も個性的なので、リピーターや、これまでと違った沖縄を体験したい、地元の人との交流を求めて沖縄へやってくる人には、うってつけの場所。わざわざコザへ行ってみたいと思わせてくれる独特の雰囲気があるのだ。この界隈では、復帰前後の沖縄を舞台にした大島渚監督の作品も撮影されたという。
外観
また「コーヒーハウス響」を出て、通りを少し歩くと、琉米文化の名残を残したサインや建物に遭遇して、思わず50年代へタイムスリップしたような錯覚に陥る。50年代の沖縄がアメリカ世だったころを垣間見たい人におススメの場所。一歩足を踏み入れたら、必ずまたそこに戻ってきたくなるような地元の人との交流の場となるだろう。
琉米文化の名残を残した建物
遭遇すると50年代へタイムスリップしたような錯覚に陥る建物
琉米文化の名残を残したサイン

スマートポイント

  • 個人経営のため、時間にゆとりがない人は、事前に電話をしてオープンしていることを確認してから訪れたほうが良い。
  • 高速道路南インターチェンジから車で10分以内のところにあるので、北部へ行くついでに立ち寄ることも可能。
  • コザで琉米文化を体感できる場所がいくつかあるので、ヒストリートなどと合わせて何カ所か訪れてみるのもいいだろう。

ライターのおすすめ

復帰前の名残を感じる場所。ひと味違った沖縄を見てみたい、音楽、映画、写真、建築などが好きな人が楽しめるお店。通りを散策して、写真を撮ったり、マイペースな個人旅行におススメ。

Naoko Uchima

地域に根ざした情報をグローバルな視点で捉え、楽しく、ディープな沖縄のヒト、モノ、コトをご紹介。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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