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沖縄おもしろ情報沖縄おもしろ情報

2015.03.22

楽しみ方はひとそれぞれ、
沖縄文化のるつぼ桜坂劇場

writer : 福田展也

希望と桜

内観
7〜8年ほど前、知的好奇心を満たしたくなったときに
いつも遊びにいっているオアシスがあると友人から聞き、
いそいそと出かけていったのがこの場所です。
1月の終わりから2月にかけて、桜の花で坂全体がピンク色に染まる
公園のすぐ隣にある桜坂劇場。桜坂と聞いただけで胸がわくわくする上に、
公園の名は希望ヶ丘。訪れるだけでポジティブになれそうな気がするのは
私だけでしょうか。

60年以上前、ここは芝居小屋でした

ここは、人々に笑顔を届けたいと、
戦後まだ間もない1952年に開業した珊瑚座という芝居小屋があった場所。
何人かのオーナーの手を経て、改装や増築を繰り返し、
いまに受け継がれている貴重な建物に、三つのシアターと、カフェ、
雑貨と工芸のセレクトショップ、本屋、そして、「桜坂市民大学」という
多様な機能がぎっしり詰まっているのです。
ちなみに、現在の桜坂劇場を立ち上げた中心人物の一人は沖縄の魅力を
全国に発信することに大きく貢献した映画『ナビィの恋』の監督、
中江裕司さんです。

映画館を中核にした複合文化施設

カウンターとお店の人
入り口を入って、正面に見えるのがシアター部門のカウンター。
3つのシアターで1日平均10数本の映画を上映しています。
東京あたりにあるこだわりの強いミニシアターと違って、桜坂劇場は
誰でも来てもらえる劇場を目指しているそうです。
だから、上映されている映画は実に多種多様。幅広いジャンルと
様々なテイストの映画が世界中からセレクトされています。
さらに、ライブ・演劇・詩の朗読などのイベントを館内で開催したり、
映画上映の初日には監督を招いたトークイベントを企画するなど、
文字通り人が集う「劇場」として、
興味深い運営がおこなわれているんです。
お店の中_01
カウンターの向かいにあるのは美術館のミュージアムのような、
シアターショップ。
お店の中_02
県内の作家のTシャツや手ぬぐい、沖縄産のハーブを使った石鹸や
アロマオイル、オリオンビールの段ボールを再利用した
ステーショナリーなど、お土産によさそうなグッズが
目に飛び込んできます。沖縄の今に触れるのにぴったりな場所ですね。
お店の中_03
こちらのコーナーでは映画関連の書籍や、サウンドトラック、DVDが
かなり充実しています。今まで観た思い出の映画や、これから観たい映画について情報収集もできそうですから、映画好きにはたまりません。上映中の映画の関連グッズと合わせて楽しめますね。

二階には沖縄の伝統的な工芸品が勢ぞろい

お店の中_04
二階に上る階段には大小様々な家のような容器が並んでいました。
これらは厨子甕(ジーシガーミ)といって沖縄では昔から
使われてきたお骨を収めるための器です。
火葬の風習がなかった沖縄では腰骨が収まる大きさが
普通のサイズだったそうですが、最近は火葬が一般的になり、
小型化が進んでいるとのこと。本来の用途以外にも
色々な使い道が思い浮かびそうですね。
お店の中_05
階段を登りきると、沖縄の伝統工芸品が整然と並んでいます。
家にあったら嬉しいもの、沖縄の魂を感じられるもの、
そういう手仕事商品を独自の視点でセレクトしているそうです。
お店の中_06
自分好みの作家を見つけてもらえるようにと、
ここでは作家別にディスプレイを行ってくれています。
「これはあの人の作品に違いない!」
そういうふうに違いがわかるようになれば、楽しいはずですね。
お店の中_08
大嶺工房や照屋佳信さんの陶芸、紅亀商店の紅型、八重山のアダン
で編まれたバッグなどのほか、カラフルでユニークな豊永盛人さんの
琉球玩具や手ぬぐいも揃っています。

1階のカフェでゆったり過ごす

コーヒーとスープとパン
最後に訪ねたのはさんご座キッチンです。モーニングからディナーまで
楽しめるイートインのカフェメニューと、
シアター持ち込み用のメニューにわかれています。
今回オーダーしたのは、ランチCセット。トーストに、飲み物と
時期によって内容が変わるスープが付いて650円。美ら海水族館から
海の向こうに見える小さな島、
伊江島で育てられた小麦を使ったトーストは、表面はカリカリで
中はしっとり。優しい甘みがいい感じでした。
寒い時期だったせいもあるのか、スープは今回、
てまひまのかかった感じのするカレー風味。
心も体もほかほかになりました。
カウンター
ここでは、沖縄で採れた季節の素材を使ったメニューを
そのほかにもいろいろ楽しめます。
落ち着いた照明とシックな色合いのインテリアのおかげで
ゆったり落ち着いた時間を過ごすことができますよ。

ユニークなカルチャーセンター

そのほか、桜坂劇場には「桜坂市民大学」が併設されています。
いわゆるカルチャースクールのようなものですが、
沖縄の文化発信基地らしく、開講科目がものすごく個性的です。
「おじーおばーのウチナーグチ講座」、「沖縄のスーコー(法事)」
といった沖縄ならではのものから「大人の為の葉巻入門」や
「怪獣造型講座」などマニアックな講座を開講しています。

このように桜坂劇場は衣・食・住、文化に関するほぼすべてのものを
観たり、買ったり、食べたり、触ったり、体験したりできる施設です。
沖縄に暮らす人の生の姿に触れる場所としても興味深いので、
公設市場や平和通りの散歩とあわせて楽しんでみてはいかがでしょうか。
桜坂劇場入り口

福田展也

目下の趣味はサーフィン・沖縄伝統空手・養蜂。心で触れて身体で書けるようになることが10年後の目標。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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