勇ましいフェーシ(掛け声)、一糸乱れぬ踊り、唄と三線、
青年達が見せる迫力あるエイサー。
華やかな演舞の裏側で、人知れず練習に汗を流していることを
ご存知だろうか!?
地域の青春とも言われるエイサーの練習をコッソリ覗いて見たいと思う。
今回は本島中部にある宜野湾市にお邪魔してきた。
沖縄おもしろ情報
2015.08.19
地域の未来を紡ぐ演舞!
エイサーを踊るまでの裏側
writer : 中本岩郎
夏を感じたら練習時期
エイサーの練習時期は、本番である旧盆の一、二ヶ月前からはじまり、
現在の暦だと六、七月にあたる時期。
練習は二ヶ月間、短いところでも一ヶ月程度行われ、
期間中は公民館や地域の広場などで踊りの練習に励む。
練習は自由に見学でき、エイサーに目を輝かせる
近所の子どもたちの姿も見られる。
時間は夜の八時から十時、仕事や学業を終えた青年達が
時間を見つけてエイサーに熱を注いでいく。
エイサーがない地域もあるので、エイサーの行われている地域の多い
本島中部(浦添市〜うるま市・読谷村)がオススメ。
今回は中部の中でも宜野湾市内で活動している青年会のエイサー練習を
紹介したい。
練習の前後にはバチや小道具の準備をする姿、本番に向けた会議など、
エイサーは踊るだけじゃないと実感する。
「自分のバチなんで、しっかり作ってます」
とヤスリをかけながら話す青年。
「今日は練習これるば?今年もよろしくや」など、
人集めの電話で忙しない青年会長。
人数集めは青年会にとって大きな課題であり、
年々減少傾向にあるのが現状。
本番とは違う緊張感
練習がはじまる八時から九時位までは練習している人数もまばらで、
新人や個別の練習時間になることもあるが、
本番では見せない踊り手達の自然な姿が垣間見れる。
全体の演舞練習をするのは九時から十時の間。
しかし、練習といえども、地域の先輩やOB,OGが見学に来ることも
しばしばあり、独特の緊張感に包まれながら踊りにも一層熱が入る。
六月は人数集めや懇親会などで練習が行われていない日もあり、
七月下旬くらいから徐々に本番さながらの演舞になっていく。
踊りだけでなく隊形の練習やフェーシ(掛け声)の練習も欠かせない。
演舞するイベントが近いと、より密な練習内容になっていく。
地域に伝わる踊りを後輩たちに伝えていく。
エイサーをはじめたキッカケは人それぞれだと思うが、
エイサーの練習を通じて成長していく青年たちの姿は頼もしい。
踊りの成長は人としての成長にも繋がっている。
地域の日常にお邪魔します
練習する青年たちや、地域の人にとってはエイサーの練習は
日常の一部なので、練習場所の周りは住宅があることを忘れないように。
見学の際に気を付けてほしいことを幾つか挙げておく。
駐車場がないところも多いので、近所の迷惑にならない場所に駐車し、
ゴミは持ち帰るなど最低限のマナーを心がけましょう。
色々と書いてきたが、エイサーの練習は地域の人達が気軽に
見に来ることもあるので、変に気を張らずに
モラルを持って見守ってもらえれば大丈夫。
地域の青年にとってエイサー練習は交流の場でもあり、
ひと夏の大切な思い出にもなっているのだ。
彼らはエイサー団体ではなく、地域の名前を背負った青年会や
保存会と呼ばれる団体であり、ひとたび練習が終われば
地域の若者だということも忘れずに。
少し見た目が強面な青年がいたり、エイサーについての談義や
熱の入った指導なども、大切だと思うからこそ。
今年も公民館から太鼓の音が聞こえてくると、夏が来たと実感してしまう。
エンターテイメント施設やアトラクションとは違う、
地域に根付いた青年たちの姿を見てみてはいかがだろうか。
今回快く取材に御協力いただいた宜野湾市の青年会の皆さん、
市青年連合会にはこの場を借りてお礼を申し上げたい。
宜野湾市というと普天間飛行場を思い浮かべる人も多いと思うが、
宜野湾市にも伝統的な文化が息づいているというのを忘れずに。
協力:野嵩三区青年会、普天間一区青年会、普天間三区青年会、新城区青年会、喜友名区青年会、伊佐区青年会、嘉数区青年会、真栄原区青年会、我如古区青年会、宜野湾区青年会、長田区青年会、愛知区青年会、中原区青年会、宜野湾市青年連合会
スマートポイント
- 練習が急に休みになったり、場所が変更になることもあるので、練習の見学には時間に余裕を持って行くこと!
- 差し入れがあると喜ぶはず。今回取材をした宜野湾市の青年会は喜んでくれるに違いない。
- シャイな青年が多いので、会話は苦手かも。
ライターのおすすめ
エイサーの本番では見られない青年会の素顔が見れるのも楽しい。練習でも迫力は十分あるので、本場で生のエイサーが見たい方にはお勧めです!
中本岩郎
地域の青年会に所属し、エイサーを通し真心溢れる沖縄の人々の虜に。地域に根付く文化の深部を発信する。