エイサーと聞いて何を連想しますか?
太鼓?イヤーサーサー?夏の風物詩?伝統文化?
それぞれのエイサーが頭の中を巡っていると思います。
多くの人は、太鼓を持った若者の踊りを浮かべるのではないでしょうか?
そんな華麗な踊りの裏にある、エイサーの歴史を紹介したいと思います。
エイサーが盛んな本島中部の中から、宜野湾市のエイサーの写真とともに歴史を巡っていきます。
沖縄おもしろ情報
2015.08.28
踊りの魅力だけじゃない!
沖縄のエイサーに歴史あり
writer : 中本岩郎
盆の起源は先人への敬意にあり
エイサーは沖縄の盆行事のひとつとして、地域で育まれてきました。
盆の基本的な考えは県外と同様で祖先の魂が後生から現世に戻ってくるとされ、親族は魂を持てなした後、後生に送り出します。エイサーは祖先の魂を現世から後生に送り出す際に踊られる盆踊りの一種です。
沖縄の盆とは、旧暦の七月十三日から十五日を指します(地域によって差異有、十六日まで指すこともあり)。そのため盆のことを「旧盆」と呼ぶこともあります。
謎多きエイサーの誕生と急激な発展
エイサーの起源については諸説あり、始まった時期が200年前とも400年前ともいわれています。諸説ある中でも三つの説を簡潔に紹介したいと思います。
1.浄土宗伝来説
日本の浄土宗の僧であった袋中上人(タイチュウショウニン)が
1600年ごろに沖縄を訪れ、その際に伝えた念仏歌がエイサーの元になった。
2.京太郎説
1800年代から沖縄の各地に点在していた京太郎(チョンダラー)・念仏者(ニンブチャー)などと呼ばれる門付け芸人が起源になった。
3.土着の踊り説
古くから各集落には土着の踊りがあり、その踊りに念仏歌が加えられた。
誕生の諸説あるものの、古い公共の記録としては1907年の琉球新報に「エイサー」という記述が確認されています。そして、1950~70年代に県内で盛んに行われたエイサーコンクール・エイサー大会によってエイサーは大きな分岐点を迎えることになります。コンクールでは人数・踊り・唄・隊形などを加味し審査員によって順位が付けられていきました。評価を上げるため各地域の青年会は創意工夫を重ね、曲や太鼓の数を増やしたり、踊りにも躍動を加えるなど、エイサーはコンクールを通して華やかなものになりました。
踊り?行事?エイサーの多様性とは
コンクールによって以前にも増して存在感を持ったエイサーは、地域活性化の起爆剤として、また青年の娯楽として地域で育まれ、盆に祖先のために踊られる伝統行事として、県内各地に広がっていきました。その後、エイサー祭りや催しごとでもエイサーが踊られる機会は増えていきました。
結果としてエイサーを行事としてではなく、一種の踊り・ダンスとして発展させ、地縁に囚われない太鼓演舞団体も登場しました。その飛躍は県内外のみならず海外まで広がっています。
エイサーなう!!は夏
戦後の復興からコンクールまで、激動の時代を迎えたエイサーですが、観光施設などを除けばエイサーが見られるのは夏です。それは、多くの地域ではエイサーを盆行事として捉え、青年会や保存会などの地域の任意団体が継承しているためです。エイサーを担う地域の団体を、「エイサー団体」「エイサーチーム」等と総称されていることもありますが、厳密には地縁の社会教育組織がエイサーを担っています。
エイサーを鑑賞する際には踊りだけでなく、踊りの裏にある見えない歴史や地域の特色を味わうのも一つの醍醐味かもしれません。
記事の中で紹介している写真は、宜野湾市青年エイサー歴史調査会及び、宜野湾市青年連合会の協力によるものです。
参考文献:宜野湾市のエイサー~継承の歴史~
スマートポイント
- エイサーの完成度が高いのは、盆が近い7月から9月の間。
- 沖縄市のミュージックタウン内にある「エイサー会館準備室エイサー家」では、エイサーの色々な情報をゲットできる!
- 沖縄県内の書店にあるエイサーの歴史を扱った本もぜひご一読を。更に深いところを知れます。
ライターのおすすめ
地域ごとに踊りや歌、衣装に違いがあるので、そこを比較しながら見ていくのも楽しみ方の一つ!
中本岩郎
地域の青年会に所属し、エイサーを通し真心溢れる沖縄の人々の虜に。地域に根付く文化の深部を発信する。
INFORMATION
スポット名 | 地域のエイサー |
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住所 | 沖縄県内各地*地域ごとに異なるので、ご了承下さい。 |
営業時間 | エイサー時期(7月〜9月) 平成27年のエイサー情報 旧盆(県内各地):8月26日〜28日 第60回沖縄全島エイサーまつり:9月4日〜6日 第19回宜野湾市青年エイサー祭り:9月12日〜13日 |
備考 | 写真提供:宜野湾市青年エイサー歴史調査会、宜野湾市青年連合会 出典:『宜野湾市のエイサー 継承の歴史』宜野湾市青年エイサー歴史調査会著 |