紅芋タルトやちんすこう、泡盛に黒糖など、いろいろと迷ってしまうお土産選び。その中でも今回は知る人ぞ知る人気の商品「もずくうどん」をご紹介します。沖縄もずく特有のつるっとしたのどごしとモチモチの食感はやみつきになりますよ!
原料はわずか2種類
食塩不使用のヘルシーうどん
今回ご紹介する「もずくうどん」は県内最大の乾麺製造工場で作られています。使用する原料はなんと2種類。今帰仁村の沖合に浮かぶ伊平屋島の生もずくと、北海道産100%の小麦のみ。食塩すら使わないというから驚きです。
つなぎの役割を果たし、麺のコシを生むのはもずくのヌメリ成分。通常、もずくのように水分を多く含む素材の場合は粉末状に乾燥させてから使用するそうですが、こちらでは収穫されたままの状態で生地に練り込むことで風味を逃がさないように工夫されています。
生のもずくをそのまま麺に加えるこの製法は他に類を見ず、当初はどのように練り上げても生地がボロボロと崩れる失敗の連続。小麦粉ともずくの配合や練りのタイミング、乾燥時間など一つひとつの工程を見直しながら3年もの歳月を費やし、ようやく製品化にこぎつけたといいます。
もずくのネバネバが
つなぎとなって麺の形に!
企業秘密なので詳しくは明かせませんが、工程の一部を撮影させていただきました。大型のミキサーにすべての原料を投入し、グルテンを傷つけないようにゆっくりと均一に混ぜ合わせていきます。この時点で少し茶色がかった色合いに変化しているのがわかりますよね。
まとまった生地は大きな板状にプレスされ、細断することでオリジナルの平麺に仕上げていきます。その後乾燥室でゆっくりと時間をかけて乾燥させてから、ついに完成を迎えます。
水分をすべて飛ばした麺がこちら。日本そばのようにも見えますが、この色味の正体は沖縄もずく。全体の31%もの割合で贅沢に練り込まれています。
食べやすいサイズにカットされた麺はいよいよ梱包。人の手によってしっかりとした検品がなされたのち、丁寧に袋詰めされて出荷します。
ざるでもかけでもおいしい
もずくうどんの食べ方
商品ラインナップは1袋2人前を基本に、化学調味料不使用の麺つゆ付、贈答やお土産にも適した箱入りなど用途に応じて選べます。ばらまき用のお土産はもちろん、ご自宅用にもぜひ。乾麺タイプとなっていることから、観光の合間も常温で持ち運べるのがうれしいです。
たっぷりのお湯で15分ほどゆがき、ゆで汁にそのまま麺つゆを注いででき上がり。冷たいざるうどんにしてもおいしいのですが、ゆで汁は決して捨てないようにしてください。もずくのエキスが溶け出しているので蕎麦湯のようにいただくか、スープに再利用するのがおすすめです。ほのかな磯の香りを楽しみながら、ミネラルや食物繊維などの栄養成分をまるごと味わえます。
生みの親が語る
もずくうどんの歴史
今回取材に応じてくださったのは、販売元であるセイワ食品の儀間政和社長。独自の製法にたどり着いた後もすぐに売れたわけではなく、数年間は試行錯誤の時期が続いたそうです。
「昭和60年の発売当時は沖縄で麺といえば沖縄そばという時代。沖縄ではうどんを食す文化がそもそもなかったため、なかなか認知されない苦労の日々でした。そこでまずは試食を行い、そのおいしさを知っていただくという地道な販売方法をとることで、徐々にお客様にお伝えしていったのです」。
もずくうどんの販売ブースは赤いのれんと元気なスタッフさんが目印。30年以上を経た今もこの取り組みは続き、「道の駅 許田」、「おきなわワールド」、「フルーツランド」、「ナゴパイナップルパーク」、「パイナップルハウス」の計6カ所で試食販売が行われています。
「健康や美容に良いだけでなく、もずく自体に味の主張がないのでパスタや中華などいろいろな料理に使っていただけます。自由にアレンジして独特の歯ごたえを楽しんでほしい」と話す儀間社長。伊平屋島の生もずくと長年の愛情がたっぷり詰まったうどんは他では味わえないおいしさ。旅行中に見かけたらぜひお試しくださいね。