沖縄旅行では、ご当地ならではの食材を活かした、健康志向のお土産に数多く出合う。シークヮーサー、ウコン、ノニ、もろみ酢…馴染みのない名前にも、興味をそそられる。今回スポットライトを当てる“もろみ酢”は、泡盛の製造過程で生じるもろみ粕で作られ、ダイエットや疲労回復といった効能があるという。10年ほど前、全国的にも名が知れてからは、沖縄産の健康食品として、定評あるロングラン商品。もろみ酢加工販売に携わる県内企業の中で、県外シェアの大きい「沖縄健康創業株式会社」の工場をのぞいて、もろみ酢のさらなる魅力に迫ってみよう。
おみやげ
2017.10.16
泡盛に由来する発酵食品
自然の力「もろみ酢」の効能
writer : 松村葉子
夏バテにも最適!もろみ酢飲料の効能
“もろみ酢”と呼ばれる沖縄産の素材をご存知だろうか。泡盛の蒸留粕(もろみ粕)を圧縮・ろ過して作られる清涼飲料で、アルコールは蒸留によって取り除かれている。泡盛もろみは600年にわたり受け継がれ、もろみ酢が飲料として周知される以前、もろみ粕は主に豚などの家畜の餌にされていたという。もろみ粕を食べた豚肉の質の良さに着眼した泡盛酒造所の一つが商品化に乗り出し、今やもろみ酢は県内大手酒造場の主力商品。
沖縄では米を麹にする過程で“黒麹菌”を使用する。黒麹菌は、気温の高い環境で雑菌の繁殖を抑えて良質な麹を生成するため、泡盛の製造過程に欠かせない。発酵の過程で黒麹菌はクエン酸を主体とした有機酸やアミノ酸を作り出す。この成分によって、もろみ酢は体の新陳代謝を高め、脂肪燃焼効果、疲労感や肩こり、筋肉痛の原因となる乳酸を排出する働きがあるとされる。
そのままでは少々クセのある味ゆえ、黒糖やシークワーサー果汁などを加えて飲みやすくした商品が多い。慣れてきた人は甘味を加えない原液もトライしてみて。県内では主力酒造所の直売店、大手スーパーの健康食品売り場で購入可能。空港ではわしたショップで取り扱いがある。ネット通販も出回っているが、品質が心配な人は「もろみ酢公正取引協議会」のマークが入っているかチェックしてみよう。
ユニークなもろみ酢商品ラインナップ
もろみ酢を製造販売し1カ月で5万本を出荷した実績を持つ「沖縄健康創業(株)」。那覇空港から車で1時間弱、沖縄北インターを降りて東海岸へ向かったうるま市に、創立15周年を迎える会社兼工場を訪ねてみた。
試飲させていただいたシークヮーサー&もろみ酢(写真左)。さんぴん茶(写真右)と比べると深いあめ色をしている。シークヮーサー果汁の酸味と三温糖・黒糖の甘みで、さっぱりまろやかな味わい。炭酸で割って飲めば夏バテ時にはたまらない。血糖値や血圧上昇を抑制し、抗ガン作用の効能があると言われるシークヮーサーのビタミンCやクエン酸が同時に補える。保存料不使用。
燃焼系のダイエット飲料として“しょうが&もろみ酢”。着色料不使用、天然のハイビスカスの色彩を活かし深みあるピンク色をした、ハイビスカス&もろみ酢。(すべて500ml 1,000円)
“シークワァーサー琉球黒麹もろみ酢(900ml 2,500円)は、美容への高い効果もアピール。
沖縄健康創業(株)社長の照屋寛彰さんいわく、事業の中心を受託加工へシフトしつつある。もろみ酢というヒット商品を軌道に乗せていく中で培った技術力を県内の同業者へ提供し、商品化にひと役買う、いわば沖縄産農産物商品化の立役者。こちらで製造した商品は“品質国際規格ISO”を取得しているため海外への輸出もスムーズだ。
沖縄産、健康志向の商品、いろいろあります
「時期遅れのシークワァーサーの実をどうにかしたい」、「サトウキビ液が50リットルあるけど何かできない?」、「ノニ原料のオリジナル商品を作りたいんだけど〜?」さまざまなな要望を受け、ドリンク、シロップ、乾燥させたチップスなど、多様なパッケージで試作品を作る。そういった県内業者の意見を取り入れて、ユニークな商品が生まれてきた。
ウコン専門の業者から「飲みやすいウコン商品を」との依頼を受けて、ウコンドリンクを共同開発。マンゴー農家の依頼によって、加工過程での殺菌が難しいマンゴー100%ジュースを制作。また久米島からの紅芋商品開発依頼により、紅芋ドリンクなるちょっと変わった新製品が登場!
写真は与那国島のハーブと呼ばれる長命草から生まれたドリンク。ビタミン・ミネラルが豊富な長命草入りもろみ酢(720ml 3,000円)。沖縄の健康食材はバリエーション豊か。
今年の夏に県内で密かなブームになっていたこちらは、沖縄美健販売の塩トマト。ドライトマトの甘みにしっかりとした塩味が効いている。塩分には取りすぎを気にしなくて良いぬちまーす使用。沖縄県内ではコンビニでも取り扱いがあり、脱水症対策に携帯したり、子ども達のおやつにもいい。
工場には元気な従業員さん達がいました
この日、会社で行われていた経営セミナーに参加した一同は、工場見学をさせてもらえることに。(※一般公開はしておりません)。靴を殺菌していざ中へ…ムムッ、暑い!気温は38〜40℃。工場の作業員さん達が、ここで一日お仕事していることに脱帽。
社長の後ろにある銀色の筒型タンクは1基に3トン入り、ドリンクを5千〜1万本製造できるまるで大きな魔法瓶。
試作品を作る時は、こんな小型のもので。味見を重ねて吟味していくという。
こちらの機械はプレートヒーターといって、一定期間確実な温度にするための装置。100%ジュースは繊維質や粘性もあるので、菌が発生しやすく、精度の高い機械が必要に。
部門長の照屋さんに「暑い工場でのお仕事、体調管理の秘訣はなんですか?」とたずねると「深酒しないことですかねー」…や、やっぱり、それに尽きます。
レーンを通る瓶にラベルが素早く貼られていきます。おお〜!社会見学気分の大人達。
箱詰めされた製品は丁寧に積まれて出荷。
機械でまかなえない作業はやっぱり人の手で。「働きやすさ」を意識した工場には、小さいお子さんがいるお母さんも4年以上継続して勤める。良い労働環境が、品質の良さにつながります。
スマートポイント
- 沖縄旅行をきっかけに、もろみ酢を飲んだことがない人もぜひ試してみてください。味はシークヮーサー、黒糖、ハイビス…バリエーションが豊かでお土産にもぴったり。沖縄食材は、まだまだ未知数ですね。
- 沖縄健康創業(株)の商品は、県外ではドンキホーテ、全日本食品(全日食スーパー)、ヤオコースーパー、マミーマート他。県外はカヌチャベイリゾートホテル、ルネッサンスリゾートホテル、海の駅他で取り扱いがあります。
- HPに商品一覧があり、電話での注文やお問い合わせを受け付けます。沖縄産の塩入りゼリー、パッションフルーツを発酵させたエキスを只今試作中。近日ネット通販も始動する予定なので、お楽しみに!
ライターのおすすめ
同業者とは手を取り合って、社員を大切に。沖縄健康創業(株)社長のゆいまーる精神こそが沖縄産(うちなーむん)と感じます。沖縄素材の健康食品が、安心な品質で製造されていることは大きな魅力ですね。
松村葉子
15年住んでいますが、沖縄はいつも深く濃ゆ〜く目の前に…。背伸びせず、面白いと思ったものを、ご紹介していきます。
INFORMATION
スポット名 | 沖縄健康創業 株式会社 |
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住所 | 沖縄県うるま市字堅1322-10 |
ジャンル | 飲料の充墳、加工品の製造販売 |
電話番号 | 098-974-0240 |
備考 | HP : http://www.okikensou.com 文中価格はすべて税抜き |