旅の目的のひとつに器探しはいかが。
魅力あふれる沖縄作家の作品を探すなら
地元のセレクトショップに立ち寄るのがおすすめ。
お気に入りの器をゲットして、自宅の食卓でも沖縄を感じてみよう。
「沖縄でお気に入りのうつわを見つけたい」と言った声は、
観光目的で沖縄に来た友人、知人だけではなく、
取材目的に訪れた編集者やカメラマンからもよく耳にする。
もともと沖縄には、琉球王朝時代の頃から続く伝統的な焼き物(やちむん)
があり、それをお土産代わりに購入していく人は多かった。
しかしここ最近は、民芸調のいわゆる「やちむん」と呼ばれる
焼き物だけではなく、白や黒を基調としたシンプルなデザインや、
色や形に個性が溢れる作家モノのうつわを求める人も少なくない。
自然に囲まれた沖縄はモノ作りには最適な環境ともいえ、
県外各地から移り住み窯を構える陶芸家も多く、作風も多彩に揃う。
沖縄在住の陶芸家の数も数え切れないほどなので、
うつわの数も当然数え切れないほどにある。
お気に入りを探すといっても簡単ではないが、最近は、
ネット環境も充実しているので、
パソコンで検索して好みの作品を探すことも不可能ではない。
しかしうつわの場合、サイズ感や手の馴染みやすさも選ぶ上で
重要な要素であるため、購入する場合は、
実際に手に取ってみることをおすすめする。
各工房を巡ってお気に入りを探し歩くのも楽しいひとときだが、
滞在時間に限りがあるという人は、
セレクトショップをのぞいてみてはいかがだろうか。
店主が厳選したうつわだけが並んでいるので魅力的な作品が多く、
自分好みを見つけやすい。
最近でこそ陶器の専門店だけではなく雑貨店でも
うつわを扱うお店が増えてきたが、
まだ沖縄にうつわブームが起こる以前の、
10年以上も前からカフェと並行して営む雑貨店で
うつわを販売してきたのが、こちらの「mofgmona no zakka」だ。
経年変化により味わいのあるビルの一階にカフェ、
三階に雑貨店を構えている。
カフェスペースでも一部のうつわを販売しているが、
その他多数のうつわは、三階の雑貨店にて展開。
昔の建築様式ならではの外側に備わる細い階段を上り三階へ。
周囲の街並みを見下ろしながら上っていく階段は、
冒険心をかきたてワクワクした気持ちとなる。
アパートとして貸し出されていた部屋を改装して店舗としているためか、
お店に行くというよりは、友人の家を訪ねる感覚に近い。
扉を開き、玄関で靴を脱いで店内へ。
店主手づくりのロフト付きの店内は遊び心にあふれ、
「秘密基地、子供部屋」といった単語が頭の中に巡った。
テーブルの上、窓際のスペース、壁、棚、そしてロフトと、
多彩なシチュエーションでうつわが飾られてている。
「うつわを楽しむためのひとつの提案です。
お店でもギャラリーでもない日常的な空間に置くことで、
もっとうつわの魅力を身近に感じて欲しかった」とオーナーの前嶋剛さん
生活空間にうつわを展示することは、店主の狙いのひとつでもあった。
作品は、伝統的なやちむんをはじめ、ベテラン作家から、
新しい風を吹かす新鋭の作家まで、幅広い。
以前は白や黒を基調としたシンプルな作品が多い印象だったが、
店主に子供が生まれ、家族が増えたことで心境も変わり、
セレクトする作品にも新しい要素が加わったという。
「『自分の好きなもの、暮らしの中にあってほしいもの』が、
セレクト基準にあります。最近は子供が使って楽しめる
作品も自然と増えていていますね」
双子堂による絵柄のかわいいカップや、
ボノホのポップなカラーリングのお皿など、
生活空間を楽しく彩るうつわは、
使い手の気持ちも明るくさせてくれる。
沖縄に古くから伝わる伝統的な焼き物とは違いがあるが、
作り手は沖縄在住、もしくは、沖縄で陶芸を学んだ人の作品が中心となり、
作品のどこかに沖縄の香りが漂っている。
「作り手のモノ作りへの思いもこの空間で伝えていきたい」
と話す前嶋さん。気になる作品を見つけたら、
是非スタッフに声を掛け、作家の思いに触れてみよう。