マリンスポーツ
2019.12.17
遥かなる海を越えて
クジラと呼び合う船の旅
writer : Hinata
本日は晴天なり
北谷のマリーナの奥には、
出発を待つ一艘の白い船が浮かんでいる。
ようやく今日、会えるんだ。
ずっと心のどこかで待ってた…いつか会えるんじゃないかって。
沖縄でクジラを見ることが出来るのは何となく知っていた。
でも今まで行かなかったのは、
ずっとこのタイミングを待っていたからなのかも。
そんな自分に、ようやく準備ができたんだ。
さぁ、出発しよう!
今日は春休みともあって、
たくさんの親子連れがターミナルで出発を待っている。
みんな順序良く船に乗り込みいよいよ出発。
船は徐々にスピードをあげながら真っ白な飛沫をあげて、
青い海を滑るように駆け抜けていく。
船内の窓から顔を出すと、
ひんやり湿った風がバタバタと勢い良く通り過ぎる。
新鮮な海の風はうっすら潮の香りを含んでいて体にしっとりと浸透する。
水平線の向こうに浮かぶ島々。
その島の周りの浅瀬は鮮やかなコバルトブルー色をしている。
ひとつ、ふたつ、幾つかの小さな無人島を遠目に見送ると、
その向こうに慶良間諸島の島が見えてきた。
青い海に浮かぶ沖縄の島々は本当に美しくて、
見ているだけで心が満たされる。
初めての出会い
船のスピードがゆっくりと減速していく。
あっ、もしかして…
緊張と嬉しさが混ざりあいながら
足はやく船室から外に出てみると、海の上に船が何艘か、
丸く空間を囲むように停泊していた。
そのぽっかりと空いた空間を見つめドキドキしながら呼吸を整える。
一瞬スッと、黒いものが浮かんで消えた。
いる、そこに!
親子連れのクジラだ。
こんなに船に囲まれているのに、何故か全然逃げようとしない。
むしろ近寄ってきては船の下をくぐったり、
伸ばした手が届きそうな所まで近寄ってきたりする。
今、私たちは同じ場所で同じ呼吸をしていると思うと
なんだか視界がにじんできた。
この一瞬一瞬を忘れたくない、
そんな思いでクジラに近づき意識を集中する。
子供のクジラは体をくねらせ、横になって泳いでいる。
クジラの手がすぐ目の前に浮かび上がる。
ずっと海で生活しているからたくさんのフジツボがそこにくっついていて、
それが取れた部分は白く丸く、
天然のタトゥーのように綺麗な模様となっていた。
どうやら子供クジラが船に興味をもっているらしい。
お母さんはそこから離れずすぐ近くで一緒に泳いでいる。
その周りにはもう一匹のオスのクジラが、
少し警戒してたまに尾びれで海面を叩きながら、
それでも一緒にいてここから離れない。
潮を吹き上げたり海面から出たり入ったりして
船の周りで悠々と遊ぶクジラ達。
陸と海を越えた私達のほんのひと時の交流、
時間にしてみれば一瞬だがその密度は凝縮されている。
暖かくなった今、彼らは遠く海を渡り
遥か彼方のベーリング海まで移動するところだ。
その優雅で絶対的な存在感に、
この世界の大きさと素晴らしさをリアルに感じた。
お別れの時間がやってきた。
彼らもそろそろ出発しなければいけない。
クジラ達は沖縄にはまた来年の冬に戻ってくるが、
それまでしばしのお別れを惜しむかのように
ゆっくりと、少しづつこの場から離れていった。
ありがとう。
そんな言葉がずっと、心の中でリフレインしている。
ふとスタッフの人と目があうと、とびきりの笑顔で
「ホント、一緒に泳ぎたかったぁ!」だって。
今日ここでの出会いは、本当に素敵なひと時だったらしい。
12月末から4月頭までのクジラツアーのピークは2月〜3月で、
その頃はあちこちでクジラに遭遇するという。
今日のようなツアーの最終の頃に、
これだけの長く濃密な出会いは珍しいということだ。
きっといつ行けば一番いいというのはなく、タイミングなんだなと思った。
何だかスッキリ新しい自分に切り替わったように、
足取り軽く船内に戻る。
船の前方に開いた窓から見える彼方の対岸を眺め、
クジラは今どの辺りまで行ったんだろうって思ってたその一瞬、
遥か遠くの波間にスッと白く伸びたクジラの手!
またね。
そう言って合図してくれたんだ。ホントだよ。
慌てて周りを振り返ると誰も見ていない…私だけだ。
私たちの秘密の約束。
暖かいどこかの地で、またいつか出会おうね。
文章 Hinata
写真 Yoshiaki Ida
※船は停泊時など、結構ゆれます。
船酔いの心配のある方は、
事前にお薬を飲むなどの対処をしてもいいかもしれません。
帽子、タオル、お水は必須。サングラスなどもあれば。
クジラとの出会いは、プライスレスです!
※重さ約30t、体長約15mほどのザトウクジラ。
世界最大級の哺乳類に出会えるチャンスです!
那覇発9時便&13時30分便は、那覇市内ホテル送迎付き
(要事前予約・先着順)
那覇発、北谷発とも「3歳~小学生」までのお子様には
船長体験&インスタントカメラでの撮影(写真1枚)プレゼント付き。
北谷発の最大のメリットは、
那覇発の先発隊のクルーザーと連絡を取り合いますので、
ホエールウォッチングできたポイントまで一直線です。
ご乗船いただいたお客様全員にクジラポストカードをプレゼントします。
Cerulean Blue OKINAWA HP:
http://www.cerulean-blue.co.jp/sightseeing/132
※こちらは、公開日が2015年4月17日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。
Hinata
神戸出身。西表島の生活を経て沖縄本島へとたどり着く。独自の感性で沖縄の物語を伝える。
INFORMATION
スポット名 | Cerulean Blue OKINAWA(ホエールウォッチング) |
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住所 | 本社 : 沖縄県那覇市曙2丁目24-13 曙沖商ビル6-A <集合場所> 那覇出発 : 那覇三重城(なはみえぐすく)港内待合所 沖縄県那覇市西3丁目20 北谷出発 : 北谷浜川漁港 沖縄県中頭郡北谷町字港4 |
電話番号 | 098−941−6828 |
料金 | 大人(12歳以上) 4,500円 子供(5~11歳) 3,500円 幼児(4歳以下) 1,500円 (乗船料/保険/ライフジャケット含む) ※遭遇率98%です。遭遇できなければ… ①全額返金(※12/21 ~ 1/13 は対象外) ②「ホエールウォッチング」再乗船 (日時を改めてプランに参加。詳しくはホームページをご覧ください。) |
駐車場 | 那覇発の場合:港内駐車場が終日500円。 北谷発の場合:港内駐車場は無料となりますが、施設使用料として大人200円/子供100円が現地にて別途発生致します。 |