宮古島のすむばり食堂の名物は、タコ料理。
海人(うみんちゅ)から直接買い入れた新鮮なタコは、
軟らかくて、その味わい深さに驚かされる。
島民もタコ料理を食べにわざわざ車を走らせるほどで、
お昼時には駐車場に入り切れなかった車が長蛇の列をなし、
店内は常に満席状態。
地元からも観光客からも絶大に支持され、
大衆食堂として20年以上になるすむばり食堂。
池間島方面へのドライブの予定があるなら、
ぜひ立ち寄ってタコ料理を堪能したい!
グルメ
2024.11.11
[宮古島]すむばり食堂名物の
タコ料理の軟らかさの秘密は?
writer : 砂川葉子
宮古島・狩俣の伝統から生まれたすむばり食堂
沖縄は女性が元気だとつくづく思う。
すむばり食堂の厨房からは、女性達の楽しげな笑い声が絶えない。
小さな体で、笑顔にを絶やさず細々と動き回り、
細腕で力強くフライパンを振るうのが、
狩俣初子さん、62歳。すむばり食堂の女将だ。
与那国島出身の初子さんは、沖縄本島で結婚生活を送り、
子育てがひと段落したところで、ご主人の生まれ故郷である
宮古島の狩俣に帰ってきた。
ここで、与那国島でも、沖縄本島にもなかった
宮古島の狩俣の独特の食文化に出合った。
それが、タコ料理。
狩俣では、お盆や正月、お祝いごとにはタコ料理が欠かせない。
こんなにおいしいものをもっと多くの人に食べてもらいたいと、
平成2年に一念発起し食堂を始め、
今では地元からも観光客にも愛され続けて、
20年を超える大衆食堂となる。
すむばり食堂名物!タコ丼、タコそばでタコ尽くし。
タコ丼(700円)は、とにかくタコが軟らかい!
そして、タコってこんなに味わい深いのかと驚かされる。
タコの味を生かすことを第一に考えているので、
調味料は、いたってシンプルでほんの少しだそうだ。
タコ炒めそば(700円)は、
宮古そばにのっているのは、三枚肉でもソーキでもなくタコ!
炒めた野菜の甘さとタコの旨みが、じわじわとスープに溶け込んで、
食べるごとにスープの味わいが変わって、
思わずスープまで最後まで飲み干してしまった。
他にも、タコご飯(700円)、タコフライ定食(800円)、
墨入りタコそば(800円)、墨入りたこやきそば(650円)
と初子さんが考案した創作タコ料理が盛り沢山だ。
すむばり食堂のタコ料理の軟らかさの秘密は?
来店中、ちょうど地元の漁師さんからタコが届けにやってきた。
ついさっきまでこのタコさんは、
青い海を優雅に泳いでいたかと思うと不思議な感じ。
「どうしてこんなにタコが柔らかいんですか?」
非常に素朴な疑問として初子さんに聞いてみた。
「宮古島の海は遠浅でゆったりしてるさあね。
そこでゆったり過ごしているから、
タコの身も軟らかいんじゃないかねえ」
と初子さんはニコニコしながら答えた。
初子さんがいうと、本当にそう思えてくるのが不思議。
だけど、タコの軟らかさの本当の理由は、
やはり初子さんの研究の賜物で、
常識をまるで覆すやり方で、タコを軟らかく仕上げているのだが、
「詳しくは、企業秘密です。」
と、初子さんはいたずらっぽく笑った。
初子さんの故郷への思いから生まれた長命草冷麺もオススメ!
初子さんが、笑顔で見せてくれた、緑色の麺。
これは、初子さんの故郷の与那国島の特産品の長命草を練りこんだ麺で、
宮古島の製麺所で特別に作ってもらっている。
与那国島の特産品の長命草を宮古島で発信できたらと、
故郷への思いから作られた特注品だ。
長命草は与那国島では茹でてミミガーと味噌で和えたり、
天ぷらにしたりと家庭で日常的に食されている。
宮古島では、魔除けの意味で門柱の脇に植えられたりと、
与那国島にとっても宮古島にとてもなじみ深い野草だ。
長命草入り冷麺は、
初子さんの与那国島への思いが詰まった一品。
ほんの少しほろ苦い麺にさっぱりした汁がからんで、
ぐいぐい食べられる。
10月までの夏季限定メニューだが、ぜひ食べていただきたい!
最後に、すむばり食堂へのアクセス!
宮古島の市内から230号線を池間島に向かってひたまっすぐ進むと
狩俣という集落に差しかかる。集落内の狩俣小学校を超え、
西平安名崎と池間大橋への分岐点の手前にすむばり食堂はある。
「ビヤホール」の文字に、あれ?間違えたかな、と思うべからず。
実は、すむばり食堂はビヤホールとしてオープンしており、
当時の名残がそのまま残っている。
当時は池間大橋の工事中でたくさんの労働者で賑わいを見せていた。
平成4年の池間大橋開通より食堂へと変貌していくこととなる。
昼時になると、路上にまでずらと車の列ができるほどの人気店なので、
確実にタコ料理が食べたいなら、予約がおすすめ。
ゴーヤーちゃんぷる(500円)や豆腐ちゃんぷる(500円)などの
定番の沖縄料理の他に、とんかつ定食や生姜焼き定食など、
メニューも豊富で、リーズブナルでボリューム満点。
これぞ島の食堂!すむばり食堂に、ぜひ足を運んでみてください!
※こちらは、2015年10月8日公開の記事となります。更新日はページ上部にてご確認いただけます。
※記事中の写真、価格は取材当時のものとなります。
スマートポイント
- 宮古島ではタコはポピュラーな食材。すむばり食堂のタコ料理は、島の伝統と初子さんのアイデアがつまった創作料理です。
- すむばり食堂で働いている女性はみんな狩俣集落のお母さん達。沖縄の女性のたくましさと優しさを感じられるのもすむばり食堂の持ち味です。
- すむばり食堂は、お品書きが壁一面に張り巡らされている。その数50種類以上でどれもリーズナブルでボリューム満点です。
ライターのおすすめ
沖縄には女性が切り盛りする小さな食堂がいくつもあります。初子さんは、とても素敵な憧れのおばあです。ぜひ初子さんの笑顔とタコ料理に触れてほしいと思っています。
砂川葉子
岐阜県出身、宮古島諸島のどこかの小さな島に在住。農業と民宿業、島興し業と並行してライター業にも携わる。
INFORMATION
スポット名 | すむばり食堂 |
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住所 | 沖縄県宮古島市平良字狩俣768-4 |
電話番号 | 0980-72-5813 |
料金 | 1,000円~2,000円 |
営業時間 | 11時~17時 (1月〜3月)11時~16時 ※2024年中は休業 |
定休日 | 不定休 |
駐車場 | あり |
備考 | HP : https://www.sumbari.com/ |