那覇市から車ですぐのリトル・アメリカ。浦添市の港川外人住宅にふっくらと笑顔を浮かべた人がひとり、またひとり。小包にも似たかわいい袋にくるまれて「イッペコッペ」のパン達は、今日も幸せを運んでいます。
グルメ
2019.12.24
きっと、毎日食べたくなる
ippe coppeの天然酵母食パン
writer : 阿久津彩子
溢れ出す小麦の香り
ベンジャミンとアセロラの大木が青々と生い茂る一軒の四角いハコ。港川外人住宅・ネバダ通りの一番奥にあるのがベーカリー「ippe coppe(イッペコッペ)」です。
扉を開けば焼き立ての香りとともに、目に飛び込んでくる大小さまざまなパン達。中央に待ち構えているのはやはり名物の食パンで、その姿を目にした瞬間、「やっと出合えた!」といわんばかりに顔を綻ばせるお客さんも多いのです。
そんなアイドル並みの人気を誇る食パン、構成する素材はシンプルで良いものしか入っていません。北海道産の高級小麦・久米島の天然塩・大宜味村の地下天然水・天然酵母。この4つだけ。それらをすべて活かし切るのが店主・西村剛さんの手仕事です。
変わることのない誠実な手仕事
前職は会社員だった西村さんが奥様とふたりで「お店か何かをしたい」と、たどり着いたのがパンの道。やるからにはひとつのものを突き詰めなければ。そこで選んだのが家庭で最も親しみ深い、王道の食パンでした。
西村さんが作る食パンは、ご飯のように毎日でも食べ飽きないパンです。過度な主張をすることなく噛み締めれば自然な甘みを感じ、ふた口目には軟らかでもっちりとした食感がきちんと跳ね返ってきます。すこし意外ですが、お醤油系のおかずとも合うのだそう。
「深夜から仕込みを始めるのでパン屋はブラック企業」とご本人は笑っていましたが(半ば本気の顔で)、それこそが店名(イッペコッペ=鹿児島の方言で「一生懸命」、「あちらこちら」の意味)の由来というもの。じっくりと20時間熟成して手を抜かずに作るパンは紛れもなく優良企業の一級品に仕上がっています。
バゲットもベーグルも、どれもすこぶるおいしい。奥様の美奈子さんが担当するスコーンもバターたっぷりでなんとも贅沢。当日も開店直後すぐに売り切れてしまい、撮影を断念するほどの人気ぶりです。
とっておきの朝食を持ち帰ろう
イッペコッペがオープンしたのは2008年、自分達でトントンと内装工事から始めました。港川外人住宅がこれほどまで賑わっていないころ、当時は数軒だった店舗も、今では30ほどの大所帯に。
カフェもレストランも、雑貨店もあり、エリア全体がひとつの町のようなもの。港川にやってくるお客さんや同じ町内の個性溢れる店主達、そのつながりを大切に、お店には「セラードコーヒー」の珈琲豆や「プカプカプーカ」のソーセージなども置いています。
さらに、ここオリジナルのグラノーラも見逃せません。沖縄県産の小麦やフルーツの他、オーガニックのナッツを詰め込んだ一品はすべて手作り。旅先での朝時間をよりいっそうすてきに過ごせるはずですよ。
明日の朝を夢見るしあわせ
毎日のパンを買いに訪れる常連さんはもちろん、海外からの旅行者も足を運ぶお店。最終のフライト前に立ち寄る人や、滞在先のゲストハウスで朝食を楽しむ人もいるそうです。この日もパンを求めて、香港や台湾からお越しの方がちらほらと。
かくいう私もチョコたっぷりのベーグルやオリーブが丸ごと入ったパンをお買い上げ。明日の朝はイッペコッペのパンを食べられるのかぁ。そう思うだけで口の端が自然とニヤけてしまいます。
トーストにしようか、そのまま食べようか。ジャムをたっぷり付けるのもおいしそう。きっと誰もが明日の食卓を夢見て、ふふふの笑顔を浮かべるはずです。
※こちらは、公開日が2015年11月28日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。
スマートポイント
- 食パンは4・5・6枚と、スライスする枚数によって味わいや食感の違いが楽しめます。オリーブオイルにぱらっとお塩、というのもなかなかのお味。
- かわいいギフトボックスを用意。パン好きのお友達に1本まるごとおみやげにしたら喜ばれること請け合いです。ホームページでは通信販売も行っています。
- 緑いっぱいのかわいい庭先には、4~10月ごろまで「喫茶ニワトリ」がオープンします。南国果実の自家製シロップが決め手のかき氷は一度知るとヤミツキに。
ライターのおすすめ
まずは何もつけず、食パンを噛み締めてみてください。気付けば1枚ぺろっと食べてしまうほど、無心になれるおいしさです。
阿久津彩子
得意ジャンルは食・人・体当たり。沖縄の旬を味わえるおいしいお店から本当は秘密にしたい穴場スポットまで幅広くご紹介します。
INFORMATION
スポット名 | okinawa bakery ippe coppe (イッペコッペ) |
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住所 | 沖縄県浦添市港川2-16-1 |
ジャンル | グルメ(ベーカリー) |
電話番号 | 098-877-6189 |
料金 | ~1,000円 |
営業時間 | 12時30分~18時30分 (売り切れ次第終了) |
定休日 | 火・水・第3月曜日 |
駐車場 | あり |
備考 | HP:http://www.ippe-coppe.com/ |