沖縄を代表するディープな街、栄町市場の一角に2006年に誕生したCOFFEE potohotoは、この島にスペシャルティコーヒーの魅力を紹介した草分け的存在のカフェだ。
幅1m50cmほどの小さなお店では中煎りと深煎りの二種類の定番ブレンドの他、エチオピア、ルワンダ、ホンジュラスなどのスぺシャルティコーヒーを楽しめる。
グルメ
2016.05.21
栄町市場で飲む極上のコーヒー
COFFEE potohoto
writer : 福田展也
コーヒーのおいしさを決める三つのこだわり
2014年のジャパン・コーヒーロースティング・チャンピオンシップで5位に入賞した実力を持つ店主の山田哲史(やまだ・てつじ)さんのこだわりは酸味の質、アフターテイスト、バランスのトライアングルで成り立っている。
コーヒーが本来持っている酸味は、舌に触れた瞬間に感じられる爽やかなもの。あるいは果物と同じようなと甘味を伴うフルーティなもの。それらはコーヒーが酸化するにつれて出てくる「イヤな酸味」とは違う好ましい酸味なのだそうだ。
イヤな酸味と同じようにコーヒー嫌いを生み出している原因のひとつが飲んだ後に舌の奥に残る渋味やえぐ味。COFFEE potohotoの焙煎はこの点もクリア。ひと口飲み干した時に、ふんわりとしたアロマの余韻が感じられる後味の良さが特徴なのだ。
「おいしい!は当たり前。できれば豆の個性を感じてほしい」
「コーヒーは第一印象も重要ですが、アフターテイストはもっと大切なんです」
ひと口飲んでまたひと口飲みたくなるコーヒーが評判の山田さんは言葉を続ける。
「おいしいコーヒーの条件は苦味、酸味、甘味などコーヒーの個性を構成しているそれぞれの要素がしっかりしていることはもちろんですが、そのどれかが突出していないことなんです」
要素が調和しているか。生豆のセレクトから焙煎、抽出まですべてのプロセスで手を抜けば、コーヒーカップに現れるという。そして、調和が奏でるハーモニーこそがコーヒー豆の個性なのだ。
「『おいしい!』と思ってもらえるだけでなく、豆の個性も同時に感じもらいたい」
品種はもちろん、産地や収穫年の違いで個性を最大化する焙煎の度合いが変わってくる。ベストな焙煎ポイントを発見するのが焙煎人の腕の見せ所なのだそうだ。
コーヒーの酸味は素晴らしい
論より証拠。百聞は一見ならぬ一飲に如かずだと、中煎りのストレートコーヒーを3種類飲み比べさせていただいた。それぞれのカップから同じように感じられたのはフルーテイな酸味と甘味。その味わいはよくあるコーヒーとはまったく違う、別種類の飲みもののよう。
蜂蜜とオレンジのような酸味のルワンダ、すがすがしい柑橘系の酸味のホンジュラス、ほどよい酸味に複雑な香りが折り重なったニカラグア。コーヒー豆がもともと持っているそれぞれの個性が、いい具合に引き出されていることが、素人の舌にも伝わってくる。
「温度が下がると風味がよりはっきりしてきます」と山田さん。なるほど、少し時間を置いてから飲んでみると淹れたての時とは印象が違って感じられる。
コーヒーのいろんな楽しみ方
「エスプレッソとカプチーノは好きですか」と山田さん。
エスプレッソもカプチーノもCOFFEE potohotoでは一つの産地のストレート。この日はエチオピアのイルガチェフェを深く煎ったもので出してくれた。
ひと口含んでみると、今までに経験したことのない世界が口の中に広がった。フルーツやナッツや穀物をブレンドして熟成させたエキスのような複雑で芳醇な味と香り。
「エスプレッソって、実は豆が持っているいい部分を強烈に表現できるんです」
山田さんによれば、90℃9気圧がベストな条件。たったの2、30秒で豆に含まれる風味がほぼすべて、いい形で引き出されるのだそうだ。
カプチーノは苺の香りがほんのりただよう丸みのある味わい。雲のようにふわふわした口当たりは午後遅い時間にコーヒーを楽しむのにぴったりかもしれない。
フレンチプレスで淹れるブレンドやストレートコーヒーとはまた違う、いろんなコーヒーの味わい方を楽しめるのはコーヒー好きにはたまらないはず。非日常な世界観が広がる栄町市場の散策と併せてぜひ一度楽しんでほしい店だ。
スマートポイント
- 沖縄と地理的にも、文化的にも近いアジアのコーヒー産地とも緊密な関係性を築いてきた山田さん。限定で発売されている台湾の方政倫さんのコーヒーはその成果の一つ。数量限定の希少品です、ぜひお試しください。
- 沖縄の古都、首里で採れた蜂蜜と山田さんの行きつけのパン屋「いまいパン」のクロワッサンを使ったハニーホイップチーズサンド(280円)はコーヒーにぴったりです。
- 産地・品種・生産者が同じでも毎年味わいが変わるそうです。今年のおすすめはエチオピアのイルガチェフェ。7年ぶりの素晴らしい出来栄えだそうです。
ライターのおすすめ
コーヒーはペーパードリップに限ると思っている方は、フレンチプレスで淹れるストレートコーヒーを、エスプレッソは邪道だと思っている人はのエスプレッソを。COFFEE potohotoでの体験でコーヒーに対する見方が変わるはずです。
福田展也
目下の趣味はサーフィン・沖縄伝統空手・養蜂。心で触れて身体で書けるようになることが10年後の目標。
INFORMATION
スポット名 | COFFEE potohoto |
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住所 | 沖縄県那覇市安里388-1栄町市場内 |
ジャンル | コーヒー |
電話番号 | 098-886-3095 |
料金 | 300〜500円 |
営業時間 | 10時〜18時(月〜木曜日)、〜19時(金・土曜日) |
定休日 | 日曜日 |
駐車場 | なし |
備考 | HP:http://www.potohoto.jp |