自慢は新鮮な豆、贅沢な淹れ方、そして、澄んだ音
インタビューの開始早々、あぐろ焙煎珈琲店の強みを三男の和哉さんにたずねてみた。
「自慢は新鮮な豆、贅沢な淹れ方、そして、澄んだ音です」
返ってきたのは簡潔な答。産地や生産者が特定され、豆の持つ個性がはっきりしているスペシャルティコーヒーを自家焙煎で出すことで信頼を得てきたお店だということだ。
ほぼ毎日、半熱風式焙煎機で豆を煎る。「焙煎度合いを8段階に分けるとしたらまん中から深めの方にやや寄った中深煎りがこの店の基準なんです」と和哉さん。沖縄の人の好みはこのあたりなのだそうだ。
作曲家のようなコーヒー焙煎家
オリジナルのコーヒープリン
「同じ豆でも状態は違うし、天候にも左右されるので仕上がりを一定にするのは簡単ではないんです」
最初は3人で交代していた焙煎も、3兄弟の誰が焙煎したかで味が微妙に変わるので、今は和博さんが一人で担当しているのだとか。
「コーヒー豆がいい具合に煎れたかどうかは、目で見て確かめるというよりも、耳で聞き分けるもの」だという和哉さんの説明を聞いていると、焙煎人はまるで作曲家のようだなと思えてきた。
贅沢な「コーノ式」抽出法
お店ではだいたい10種類のコーヒーを楽しめる。
エチオピア、コロンビア、ブラジル、インドネシア、グアテマラ、ホンジュラス…。定番に加えて上級ランクの豆や気になる豆を定期的に仕入れているそうだ。
この店でのコーヒーの抽出方法はいわゆる「コーノ式かなざわ珈琲」。一般的には15g〜20gの豆を使うところ、30gと贅沢に使って濃厚なコーヒーエキスを抽出し、お湯で割る。文字通り贅沢どりの方法だ。特徴は「雑味」の少ないピュアな香りと芳醇な味。
「喉に引っかかることなくスーッと入ってくるんです」という言葉通り、実際に飲んでみると
よくある「まったり感」からはほど遠い、すっきりした喉ごしを楽しむことができた。
「ゆっくり静かに時を過ごして、思う存分くつろいでほしい」
今回、淹れていただいたのはブラジルの南ミナスで栽培されている「アロマショコラ」。カラメルの香りとカカオの芳香が感じられる丸みあるコーヒーだ。
アイスコーヒーも苦味が強いタイプではなく、甘みが感じられるまろやかな飲み口。真夏の暑い時期でも、胃がもたれることもなく、ゴクゴクと飲めそうな仕上がりだ。聞けば、アイスコーヒーは抽出してからひと晩寝かせているのだとか。そうすることで苦味がさらに弱まり、味も落ち着くのだという。
あぐろ焙煎珈琲店の3番目の自慢は知る人ぞ知る、知名オーディオの全指向型スピーカー。全身を包み込むジャズに身を委ねて飲むコーヒーはまた格別。
「ゆっくり静かに時を過ごして、思う存分くつろいでほしい」という和哉さん。おいしいコーヒーを楽しみながら、日ごろのストレスから自分をゆっくり解放していくのがあぐろ焙煎珈琲店の楽しみ方なのだ。