宮古島の島尻漁港からフェリーで15分の大神島。
神の島とも称されるこの島は、
まだ離島独特の空気が流れる静かな島です。
大神島唯一の食堂「おぷゆう食堂」は、
ここでしか食べられないカーキたこ丼が名物。
大神島だからこその時間と食事、
自然体の、最高のおもてなし時間が
おぷゆう食堂にはあるのです。
グルメ
2016.10.17
[大神島]自然体のおもてなし
おぷゆう食堂名物カーキたこ丼
writer : 砂川葉子
大神島の繁栄を願い生まれた、おぷゆう食堂
平成26年4月7日、
大神島にただ一つの食堂「おぷゆう食堂」がオープンしました。
オーナーの大浦高義さん(写真左)は、
沖縄本島で技術系のサラリーマンでしたが定年退職後、
両親を介護するために島に帰って来ました。
帰って早々に島の自治会運営や大神島観光協会の設立、
一人で何役もこなし島の中心的な存在となります。
ちょうどそのころ、パワースポットブームもあり、
大神島に観光客が増え始めているころでした。
しかし、せっかく来ても遠見台だけ観光して次の船で帰って行く
観光客の姿にショックを受けます。
もっと大神島のことを知ってほしい、
そのためには観光客が足を止める場所があれば、
そう思った大浦さんは一念発起します。
自分がそんな場所を作ろう、島に帰ってきて3年目、大浦さんは決意し、
大神島唯一の食堂が生まれました。
そして、そこを島の繁栄と平和を願う古語から、
おぷゆう食堂と名付けたのです。
おぷゆう食堂名物!カーキたこ丼
おぷゆう食堂の名物のカーキたこ丼は、
ここでしか食べられない、貴重な島の味です。
大神島の特産品であるカーキたこ=タコの燻製を
玉ねぎと一緒に炒めて甘辛く味付けして、
ご飯に上にたっぷりと盛られています。
カーキたこは噛みしめるほどに味わい深く、
玉ねぎの甘みともご飯との相性もバッチリです。
添えられたモズクは、大神島産の天然のもので、
極太でぬめりも強く、これまで食べたものと味わいが違います。
ここでしか味わえない貴重さとおいしさに思わず声をあげると、
「こんなの普通さ~。」と大浦さんはひょうひょうと答えます。
おぷゆう食堂でのお食事メニューは、カーキたこ丼と、
カレーライスと宮古そばの3品のみです。
何でもあるわけじゃないさあ。ないものはないさあ、
と大浦さんはいいます。
決して無理はせず、手は抜かず、ありのままで。
限られた材料で、最大限のおもてなしがおぷゆう食堂にはあります。
ホワイトボードに書かれたメニューは貴重な海の幸
壁にかかったホワイトボードをよくよく見てみると、
サザエの壺焼き1個150円、ティナタ8個(巻貝)とあります。
これを見た途端、私の目はきら~んと光ってしまいました。
ティナタとは、和名でマガキガイと呼ばれる巻貝の一種で、
沖縄では「ティラジャ」または「ティラザ」といいます。
ゆでたティナタの口から出ている爪を引っ張ると、
クルンと小さな身が出てきます。
きれいなオレンジ色の身はプリプリで、美味、
酒のあてにも最高の逸品なんです。
サザエもティナタも、大浦さんが仕事の合間に海で採ってきたものです。
豊かな海の恵みがある、大神島の暮らしを感じます。
島人と旅人のオアシス・おぷゆう食堂
おぷゆう食堂が、この島の人達にとって、
また旅人にとってもどんなに大切な場所であるか、
この場所に流れる穏やかな空気感から感じます。
棚には米は小麦粉や蚊取り線香なども置かれ、
ここが島の小さな雑貨店でもあることがわかります。
実は、長年商店を営んできた島のおばあが亡くなっため、
少しずつ食料品や雑貨なども置き出したそうです。
名前入りの泡盛が並び、カラオケセットもあり、
夜には一日の労をねぎらう島民の憩いの場にもなっているようです。
食堂でもあり、商店でもあり、酒場でもあるおぷゆう食堂。
港と対岸の宮古島を一望するテラス席では、
船を待つ島民と観光客が和やかに談笑しています。
ここは島の人にとっても、旅人にとってもオアシスなのでしょうね。
そして、大浦さんが夢に描いた場所なのだと感じます。
静かな島の人々の暮らしを支えながら、
決して無理はせず、自然体で、
それが大神島のおぷゆう食堂です。
スマートポイント
- 大神島は、神々の島とも称される、信仰深い島で、宮古島の島尻漁港より約15分です。
- 大神島唯一の食堂「おぷゆう食堂」の名物は、カーキたこ丼。運が良ければ、貴重な海の幸もいただけます。
- おぷゆう食堂は、2室のみですが宿泊施設も併設されています。
ライターのおすすめ
「あんまり観光客が来たら困るよ~」と苦笑いする、おぷゆう食堂の大浦さん。島人の優しい人柄に触れながらの食事は、きっととっておきの島時間になるはずですよ。
砂川葉子
岐阜県出身、宮古島諸島のどこかの小さな島に在住。農業と民宿業、島興し業と並行してライター業にも携わる。