グルメ
2024.09.17
山の茶屋・楽水
~さちばるの庭~
writer : Hinata
窓辺の風景
窓辺に座って青い水平線を眺めていると、
風がそこら一帯の緑の気配を連れてきて
体ぜんぶを包み込んでくれる。
横にいくつも続く窓は一斉に解放され、
木葉の揺らぎは様々な緑のグラデーションをより深める。
窓辺に届けられた朱色のお膳には、
美しく並べられたご飯や小鉢たち。
「さちばる定食」と名付けられたそのお膳は、
沖縄の昔ながらの故郷の味が器の趣と相まって表現されている。
丁寧に作られているのが見ただけで感じとれて、
「頂きます」ときちんと手を合わせたくなる。
なんだか景色や風も一緒に食べている感じ。
ご飯に美味しい空気が絡まって、
ふんわりと口に入ってくる。
五感で食べるとはこういうことなのかな…
感覚が研ぎ澄まされていくよう。
新しい挑戦
ふと窓の下を覗くと小さな小屋があった。
その中にはまあるい石窯があり、
周りの細道には薪がたくさん積まれてある。
「最近は石窯で焼く手作りパンやピザも始めたんです。
野菜も小さな畑で無農薬野菜を自分達で作っています。
ホントにいいものを提供したいので、将来的には
ここで出す食材は全て自分達で作りたいと思ってるんです」
店長の稲福さんは、満面の笑顔で話してくれた。
天然酵母で焼かれたパンやピザ生地は、
ほのかな酸味と軟らかみを持ち合わせていて、
上に乗ったチーズやハーブの香りをしっかりと引き立てている。
お話しを聞いたとおりの思いが食べ物を通して伝わる。
石窯の小屋の横に小窓があり、
ピザが焼けるとそこから長いピザスコップに乗った
ピザが出てきて、白いお皿にすっとスライドして収まる。
焼き立てホヤホヤ感が目に見えるのが嬉しい。
ここのお店は、毎回来る度に何かが新しく作られている。
石窯もそうだが、今回は外のデッキ席が作られていて
そこの空間がまた何とも言えずいい。
植物に囲まれた時特有のひんやり感と、
隙間から差し込む太陽の温もり。
テーブルの上にぽつんと置かれた誰かの珈琲カップ。
ここには香りたつ珈琲が、きっとよく似合う。
大きな珊瑚の石灰岩の横にそのデッキ席はあるのだけど、
実はその岩は店内の壁にもなっている。
海の記憶
お店の入り口を入ると真正面にその岩が現れる。
店内は吹き抜けで屋根が高く、岩壁はとにかく大きい。
その岩のダイナミックさと、そこに這い伝っている可愛い
ツル植物の繊細さのコントラストに自然界の在り方を感じてしまう。
そしてその岩は、ここが森の中にあり、
そして昔は海だったという物語さえも彷彿させる。
そんな中で過ごすここでの時間。
美味しく食べたり外を眺めたりしているうちに、心が深まってゆく。
建物も食事も、全てが一体となり話しかけてくれる。
そんな「山の茶屋・楽水」。
あなたも、
その物語の森の中に分け入ってみませんか?
文章 Hinata
写真 Yoshiaki Ida
※
姉妹店で囲まれたこちらの敷地内は「さちばるの庭」と呼ばれ、
森のなかに入る事ができます。
きれいにお庭が作られ、植物もたくさんあり、中でも200歳の
がじゅまるの木は圧巻です。そしてあちこちが写真スポットです。
展望台もあって、ゆっくり時間をかけて散策できますよ。
こちらの入園料はなんと300円。見る価値ありです!
姉妹店
「浜辺の茶屋」 南城市玉城字玉城2-1
098-948-2073 定休日 なし(年中無休)
営業時間 10時~18時(LO.17時)
※金・土・日曜日は8時OPEN
駐車場 20台
※こちらは、2015年3月22日公開の記事となります。更新日はページ上部にてご確認いただけます。
※記事中の写真、価格は取材当時のものとなります。
Hinata
神戸出身。西表島の生活を経て沖縄本島へとたどり着く。独自の感性で沖縄の物語を伝える。
INFORMATION
スポット名 | 山の茶屋 楽水 |
---|---|
住所 | 沖縄県南城市玉城字玉城19-1 |
電話番号 | 098-948-1227 |
営業時間 | 11時~15時(LO.14時) |
定休日 | 水曜日・木曜日 |
駐車場 | あり |
備考 | HP : https://sachibaru.jp/yamacha/ |