フレッシュな黄緑色のシャッターが目印の小さなかわいらしいお店はニンギン商店。ニンギン商店の「ニンギン」とは、島の言葉で人間という意味です。
なんだかちょっと哲学的なネーミング、果たして何屋さんかというと焼きドーナツと珈琲のお店です。
柔らかな日差しが差し込む店内、ぶーんとうなるミルの音、ふわりと漂う香り、店主の高江洲夫妻との何気ない会話の端々、そして焼きドーナツのほんのりとした甘さ、頬張るたびに小さな幸せを気づかせてくれます。
グルメ
2017.09.12
[宮古島]珈琲と焼きドーナツ
まるい幸せ頬張るニンギン商店
writer : 砂川葉子
体に優しい素材にこだわったニンギンドーナツ
その硝子戸の取っ手に手をかけただけで、胸が高鳴るのを感じます。
コーヒーの香りがふんわりと漂い、「いらっしゃいませ」と朗らかな優しい笑顔で高江洲ご夫妻が迎えてくれます。
小さなショーウィンドウに並んだふっくらとした焼きドーナツは、日替わりで数種類が並びます。今日は、プレーンドーナツ、シナモンシュガー、キャラメルナッツ、アーモンドドーナツなどの8種が並んでいました。
ニンギン商店のドーナツの原材料は、地元の老舗豆腐屋の島豆腐のおから、宮古島産の牛乳に卵、国産小麦粉やゲランドの塩など、高江洲さんがこだわり抜いた素材が使用されており、独特のしっとりともっちりとした食感を生み出しています。
見た目よりもずっしりとしているニンギンドーナツは、口に入れるとしっとりとした食感の生地がほろりと崩れます。ひと口頬張るごとにほっとして、心も体もふわりとほどけていきます。
焼きドーナツと珈琲でニンギンタイム
ブ~ンとミルが回る音が、柔らかな日差しが差し込む店内を震わします。注文を受けてから、自家焙煎の珈琲豆をミルにかけて、一杯ずつ入れるニンギン商店の珈琲は、ドーナツのようにまあるい味がします。
注文の際に、3種類の豆からお選びください、といわれたものの、普段からインスタントコーヒーばかりの私には恥ずかしながらよくわからず、銘柄ではなく味の好みをお伝えしたところ、じゃあとグアテマラの深炒りをおすすめくださいました。
コーヒーを入れる高江洲さんのゆったりとした丁寧な所作を見ていると、忙しさにかまけて忘れていった時間や心を取り戻していくような、そんな心地に包まれます。
「コーヒーがすごく好きで、好きなんですね」という高江洲さん。珈琲の焙煎もドーナツ作りもすべて自己流でやってきたといいます。
いつかきっと自分の店をと胸に秘めながらも、まだまだ先だと思ってきたことでしたが、昨年10月にニンギン商店はオープンしました。
人気の自家製ニンギンシロップのドリンク
コーヒー以外のドリンクメニューも充実しています。
夏にぴったりなのが、天然色が美しい、澄んだグラデーションはまるで朝日のようなニンギンサマードリンク。島のフルーツを使った自家製ゼリーに、砂糖不使用の自家製ニンギンシロップと炭酸で割ってあります。自家製シロップには、レモンやシークヮサー、八朔を使用しており、ほんのりとした苦みがあり、ちょっと大人な炭酸といった感じです。
ニンギン商店特製の酵素ジュースは、アセロラやグアバ、パインと日替わりで楽しめるのもニンギンファンの密かな楽しみです。
写真はグアバの酵素ジュースのソーダ割り、このシュワシュワ~と喉を潤しながら抜ける爽快感とグアバ感がたまらない南国らしさを感じる一杯です。
ニンギン商店の焼きドーナツと珈琲、ドリンク類は店内のカウンター席でお召し上がりになることも、テイクアウトも可能です。
いつも寄り添うようにある、ニンギン商店の焼きドーナツ
来客の予定がある日や、ちょっとした手土産が必要な日、子ども達と公園に行く日、そんな時にはニンギン商店の焼きドーナツがふと浮かびます。
特別な日にも、普段の日にもそっと寄り添うようにあるのがニンギン商店の焼きドーナツです。
あくまで地元です、と地域密着型のお店であることをどこまでも目指し続けるという高江洲さん。
カウンター越しの会話が、ご実家の近辺がこの10年ほどですっかり様変わりしたという話におよんだ時、高江洲さんから今を生きる宮古島の青年の思いを感じました。それは、変わりゆく宮古島で、変わらないものを作り続けようとする次世代の力のようなもの、そんな島人の思いのように感じます。
おいしい珈琲と甘いものを食べて幸せを感じたい日、ニンギン商店へと車を走らせながら感じる幸せがあります。
ニンギン商店、のそのネーミングの意味をふと考えた瞬間、焼きドーナツの優しい甘味がより一層心と体に沁みていくようです。
スマートポイント
- ニンギン商店は焼きドーナツと酵素ジュースは日替わりで数種類、珈琲も日替わりで3種類が並びます。焼きドーナツは夕方には品薄になるので早めの来店をおすすめします。高江洲さんが焙煎した珈琲豆の購入も可能です。
- ニンギン商店の袋やショップカードなどのイラストは高江洲さんがお書きになったもので、そのかわいらしさには思わずほっこりますよ。
- ニンギン商店の向かいには、シーサー型の滑り台がシンボルのカママ嶺公園があります。テイクアウトして、そちらでいただくのもおすすめですよ。
ライターのおすすめ
高江洲さんが毎日手作りする焼きドーナツのほんのりとした甘さは、甘味とはこんなにも体に優しくしみるものなのかと驚いてしまいます。砂川のおすすめはプレーンです。絶対、これは食べてくださいね!
砂川葉子
岐阜県出身、宮古島諸島のどこかの小さな島に在住。農業と民宿業、島興し業と並行してライター業にも携わる。
INFORMATION
スポット名 | ニンギン商店 |
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住所 | 沖縄県宮古島市平良字久貝887-1 |
ジャンル | ドーナツ |
電話番号 | 090-8400-0217 |
料金 | ドーナツ180円(税込み)〜 |
営業時間 | 11時〜売り切れまで |
定休日 | 日・月曜日 |