では、いただきます
ゆし豆腐定食(生)と、(味噌・アーサー)を注文してみる。
生って何?と思ったら、
味が付いていないそのままのゆし豆腐のことだった。
味が付いていないと言っても、にがりの塩分がほのかにきいているので
まろやかで本来の豆腐の味が楽しめる。
一口食べるとじんわりと、美味しさがやってくる。
そこに鰹節とネギを入れるとまた一味違った味わいだ。
味噌・アーサーは、ゆし豆腐の味噌汁にアーサー(海藻)が入っていて、
コクのある味噌と磯の香りがマッチした沖縄風の汁物といった感じ。
本土でアーサーはあまり食す機会がないが、
これだけ磯の香りが口いっぱいに広がる海藻を他には知らないと
断言できるほど、とにかく海を感じる海藻だ。
そのアーサーとゆし豆腐はとても相性が良く、
互いの風味を引き立て合う。
ゆし豆腐(生)定食にはゆし豆腐のお汁、ネギと鰹節、白いご飯、
おから、お漬物、そしてオマケにふりかけの小袋が付いて550円と
お財布にもやさしい。
その他にも人気なのが、手作りコロッケとトンカツ。
常連さんが食事の後に別に注文して持って帰るほどの人気で、
電話で「今日はコロッケあるの?」と常連さんによく聞かれるという。
もやし残業?
支払いでレジに立つと、隣のテーブルにもやしの山があった。
真っ白いその山は、モヤシと気づいて二度見するほどの量だ 。
何のために?と聞くと「ヒゲを取っている」と言う。
えっ、こんなに大量に?
何とこの作業で3kgもの量を、2日に一度やっているらしい。
「常連さんが『もやしのヒゲが食べる時に引っかかる』
と教えてくれるからやっているよ。
仕事中この作業は出来ないから、おうちに持って帰ってやったり、
お店閉めてからやったりしているよ。もやし残業だよー。」
店員さんは笑いながらサラッと言っていたが、これってすごいことだ。
長く親しみある常連さんを大切にしたい。
その思いがしっかりと形に表れていた。
実はこの取材、
最初にお店に依頼した時点で一度、丁寧に断られている。
なぜならその理由は「常連さんを大切にしたいから」。
過去にこういった取材でお客さんがどっと押し寄せて、
常連さんが来れなくなったことがある。
だから今は一切の取材をお断りさせてもらっている、と。
そんな中、許可してもらったこの取材…
なので、この記事で少しでもお役に立てることがあるとすれば、
もし食べに行くなら
できるだけ常連さんでいっぱいになるお昼時を外したり、
あまり大人数で一度に行かないようにするなどの気遣いがあれば…
というようなメッセージをお伝えすることかも。
地元に愛される「ゆし豆腐やま」は沖縄の愛情たっぷりの味。
ぜひ一度めんそーれ。
文章 Hinata
写真 Yoshiaki Ida
※こちらは、公開日が2015年5月31日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。