長寿の村、大宜味村にオープンして今年で25年。
地産地消とか、スローフードという言葉が
日本ではまだお馴染みではなかった頃から、
笑味の店は地域に根ざした食文化を提供してきました。
食文化というよりも、食を通して見えてくる沖縄の暮らしの風景
と言ったほうがしっくりくるかもしれません。
人の手のように温かい、やちむん(沖縄の伝統的な陶器)に
盛りつけられたやさしい料理はどれも素朴で慎ましやか。
向こう側には豊かな自然と人の暮らしが透けて見えそうです。
グルメ
2019.10.21
スローフードの老舗で
味わう島の時間と島の味
writer : 福田展也
自然とつながる台所、長寿の村の笑味の店
食堂という言葉がしっくりくるこの小さなお店は、
沖縄本島の恩納村以北の自然豊かな地域、やんばるの
山・海・畑とダイレクトにつながっている台所。
山につながるのどかな畑と静かな海に挟まれるように
沖縄の大自然に溶け込んでいます。
風が吹き抜け、鳥のさえずりが近くに聞こえるせいか、
ここに座っているだけで、穏やかな気持ちになってきます。
ゆったりとした心持ちで時の流れに身を任せていると、
「まかちくみそうれ」(まかせてください)と名付けられた
おまかせランチが運ばれてきました。
このランチは近所で採れた季節折々の野菜が使われた
笑味の店で一番人気のメニューです。
心こもった14品
お盆の上に所狭しと並べられた料理はぜんぶで14品。
大皿に盛りつけられた二つのおにぎりはうっちんじゅうしぃと五穀米。
じゅうしぃとは沖縄風の炊き込みご飯。
ターメリックとして知られるうっちんが淡い色合いを添えています。
長寿の村だけあって味付けも素材の良さを楽しめる薄味仕立て。
写真左のピンクとベージュの食べ物はどちらも大根の漬物です。
続いて時計回りにスルルー(キビナゴ)、ゴーヤーチャンプルー、
ニガナーの白和え、フーチバー餅、ドライタンカン、
サーターアンダギー、タピオカアンダギー。
真ん中の小さなものは梅の黒糖漬け。
小鉢に盛られた四品は左から、もずくが乗ったうっちんそば、
クーブイリチー、ラフテー入りの煮物、季節野菜のお味噌汁。
おいしさを支える畑の旬
「お客さんに楽しんでもらうためには、作り手自身が楽しまないと」
店主の金城笑子(えみこ)さんは毎日畑を散歩したり、
近所のおばあさんたちとゆんたく(世間話)を楽しみながら、
「これ、いいかも!」と思える素材を探しているのだそう。
小さな梅の黒糖漬けも、80を過ぎたおじいちゃんから
「山で小梅がたくさん採れたんだけど」
と相談されたのが商品化のきっかけだといいます。
おいしそうなツルナ(ハマホウレンソウ)があると聞けば、
近所の畑に採りに行っておひたしにする。
ツワブキの黄色いつぼみが膨らみ始めたらドライブがてら収穫に。
笑子さんの頭の中は「今日は何がおいしいかな」でいっぱいなのでしょう。
昔の知恵がいっぱいつまったヘルシーメニュー
「じゅうしぃランチ」(850円)
じゅうしぃ(炊き込みごはん)のおにぎりに小鉢料理と季節の
フルーツやオリジナルのサーターアンダギーなどデザートがついたセット。
食べ歩きをしたい方にもオススメです。
「喉が変な時はこれがいいよ」
「貧血にはあれね」
「産後にはほらそれだよ」
辿り着いたのは近所のおばあちゃんたちが昔から育ててきた伝統野菜。
「体にいいものがあたりまえのように身近な場所で育っている」
そういう地元の価値にその時、あらためて気付かされたそうです。
「食べるフルーツジュース」
畑で採れるものすべてを食卓に届けたいというコンセプトで
開発されました。小売店での販売するのが難しい規格外品を使用。
ドライフルーツにすることで味わいがより一層濃厚になっています。
フレッシュジュースとは違ったフレーバーを楽しめます。
おみやげに最適の麺やお茶
おみやげに最適の調味料
「時代の流れに埋もれて消えていきそうな昔の知恵を、
どうしたら次の世代に手渡せるのだろう」
惣菜とお弁当でスタートした笑味の店。
素朴だけどおいしくて、あたたかい。
笑味の店の評判は次々に口コミでひろがっていきました。
論より証拠。やんばるにドライブに行く時には、
ぜひ「おいしい健康」を味わってみてください。
※こちらは、公開日が2015年7月6日の記事となります。更新日は、ページ上部にてご確認いただけます。
スマートポイント
- 完全予約制のお店となります。 前日までの営業時間内にお電話にてご予約ください。
- 特に12:00〜13:30は混雑しています。
- サーターアンダギー・じゅうしぃおにぎりはテイクアウトできます。タイトな時間でのやんばるドライブにオススメです。
ライターのおすすめ
実際に食べに行く前に書籍『百年の食卓』を読んでおくと より一層おいしく料理をいただけるはずです。 この本には自然に寄り添って100年近く生きてきた 沖縄のおばあさんたちの生き方が食を通じて描かれています。 ◆参考サイト http://idea-ninben.com/works_100.html
福田展也
目下の趣味はサーフィン・沖縄伝統空手・養蜂。心で触れて身体で書けるようになることが10年後の目標。
INFORMATION
スポット名 | 笑味の店 |
---|---|
住所 | 沖縄県大宜味村字大兼久61 |
電話番号 | 0980-44-3220 |
料金 | 1,000円~2,000円 |
営業時間 | 9時~17時 ※食事は11時30分~ ※L.O.15時 |
定休日 | 火曜日・水曜日・木曜日 |
駐車場 | あり |
備考 | HP : http://eminomise.com |