パンの持つ個性
今日は、リニューアルされたカフェメニューとして新たに加わるものを
初めてお披露目してくれた。
生ハムと県産パインのカンパーニュサンド(サラダ・スープ付き950円)。
ほんのり塩味の生ハムに、バルサミコと黒糖のソースをあえたパインが
程よい甘みと酸味を絡ませていて、
そこにエメンタールチーズがコクと風味を加えている。
ぎっしりしたカンパーニュ系のパンで具材の旨みを閉じ込めてある、
しっかりした噛みごたえの満足度の高いサンドメニューだ。
ここのサンドメニューなどは、all day breakfastという形式で
一日中いつでもオーダーすることができる。
メニューは固定しないで素材に合わせて変化していくので、
その時々の美味しいものを食べられるのが嬉しい。
プラウマンズのパンには、
なんだか初めて食べるような食感のものがある。
私がこの店で個人的に好きなのが「アーサーパン」。
口に含んだ時にふわっと広がる海の香りと
もっちりしていて水分感がある感じ、
ぎっしりではなく程よい空気感と柔らかさを持っていて、
所々に感じる塩分とパン全体の持つ優しい甘みが交互にやってくる。
そんな、パンの魅力をじっくりと感じとれるパンだ。
その理由が、屋部さんのお話を聞いていて腑に落ちた。
とってもオリジナルな作り方をしているのだ。
パンが持つ生命力
「自分はパンづくりの専門家ではなく、
ほぼ独学でやっているから他店とは全然ちがうかもしれない。
水分量も多く、発酵時間もかなり長くおいている。
それは専門でないからこそできる挑戦だとも思っていて。
きまりごとにあまり沿わず自分の勘でやっています。」
そんな屋部さんの毎日は、朝の5時からはじまる。
次の日のパンの仕込み、それから当日のパンの成形や焼きの作業。
日々の準備とは、
パンを取り巻くその日の状態を知るということ。
気温・湿度・水温・酵母の状態・寝かせる温度・それらの組み合わせ…
毎日違う環境を、毎日計り、感じとってベストな状態を準備する。
そんな中で、まるで生き物をあつかうように
パンが持つ生命力を最大限に引き出そうとしている。
日々きっちり計る繊細な作業でありながら、
型破りなオリジナリティーをもって、挑戦していく大胆さ。
そして最後にパンそのものの力にゆだねる客観性は、
リアルにパンの持つエネルギーを感じているからこその
信頼からくる手放しだ。
それがきっと、
プラウマンズの持つパンの味の魅力なのだろう。
そんなことをぼんやりと考えながら、
今日もパンに想いを馳せてみる。
文章 Hinata
写真 Yoshiaki Ida
※こちらは、2015年7月20日公開の記事となります。更新日はページ上部にてご確認いただけます。
※記事中の写真、価格は取材当時のものとなります。