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グルメグルメ

2024.09.17

那覇の片隅、「金壺食堂」の
台湾素食で身も心も綺麗になる

writer : 平良竜次

金壺食堂の台湾素食
那覇市壺屋の一角にある「金壺食堂」は、朝8時から台湾の精進料理「台湾素食」(たいわんそしょく)が楽しめるお店。ここで出されるメニューは野菜や穀物だけで調理されており、お肉は一切使っていません(一部に鶏卵を使用)。健康に気を遣う人にぜひ食べてほしいお店なのです。美味しいヘルシーフードに舌鼓を打ちつつ、店主さんが語る、沖縄と台湾をつなぐ愛情たっぷりなファミリーヒストリーに耳を傾けました。

たった600円で思いっきり楽しめる本場台湾素食

金壺食堂前の通り
観光客で賑わう国際通りから平和通りに入り、長いアーケードを抜けると、小さな広場に出ます。
那覇の片隅の「金壺食堂」外観
「金壺食堂」は、その広場の角を曲がった小さな路地にありました。飾り気のないガラス戸をガラガラ引くと、何とも言えない美味しそうな香りが漂ってきました。
金壺食堂の色とりどりのお惣菜
目の前には色とりどりのお総菜がずらり…。これは「自助餐」(ジージューツァン)という台湾ではポピュラーなビュッフェスタイルのこと。店員さんから渡されたお皿に自分で盛りつけるのですが、どれも美味しそうで、思わず目移りしちゃいます。結局、山盛りになってしまいました。ちなみに、お値段はどれだけ食べても、たったの600円!

出汁の旨味が利いた深い味わい。テイクアウトは名物ちまき

金壺食堂のお勧め
金壺食堂の惣菜
「台湾素食」の食材は野菜と海草、穀物のみ。肉類や魚介類は一切使いません。また、ニンニクやタマネギなど匂いの強い食材もNO。いわゆる一種のベジタリアンフードなのですが、味が薄い…なんてことはなく、昆布や椎茸で引いた出汁の旨味が利いた、深い味わいとなっています。当初は、ぜんぶ食べきれるか心配でしたが、どれも優しい味付けで思わずおかわりしてしまうほどでした。
金壺食堂の名物ちまき
ビュッフェと並ぶ人気メニューが「ちまき」。香しい竹の葉をぺろりと剥くと、もち米、黒米に、大豆、しいたけ、大豆で作ったお肉がたっぷり入ってボリューム満点。お値段も一個250円と、お土産に最適の逸品なのです。

台湾素食パワーで脳と体の疲労回復!

身体に良い台湾素食
身体に良い台湾素食
もちろん、「台湾素食」は美味しいだけではありません。体調を整えるために役立つ成分がたくさん含まれています。特にメインの食材として使われている大豆は、「畑の肉」と呼ばれるほどさまざまな栄養素が含まれています。サポニンという物質はコレストロールの吸収を抑え、体脂肪を減らす効果が望めます。また、豊富に含まれている鉄分は貧血の症状を改善し、ビタミンBやビタミンEが美肌やツヤのある髪をつくります。さらに大豆ペプチドは脳と体の疲労回復にももってこい。沖縄旅行の締めには必ず「金壺食堂」の朝食で身も心も癒されたい…と、熱心に通うリピーターが多いのも頷けます。

家族の健康のために作った台湾素食

最後に、店主の川上末雄さんに話を聞きました。お店を始めたのは、末雄さんのお母さん。台湾人です。
金壺食堂店内
台湾と沖縄の関係は深く、戦前から戦後にかけて、仕事や生活の場を求めて、たくさんの人々が往来しました。末雄さんのお母さんもその一人。船乗りで宮古島出身のお父さんと台湾で出会い、結婚。沖縄本島に居を移し、たくさんの子どもに恵まれました。ですが、ある日お父さんが体調を崩してしまいます。そこでお母さんは、体に良いものを…と考えて作ったのが、故郷の「台湾素食」だったそうです。
金壺食堂店内

料理に込められたお母さんの愛情

金壺食堂店内
やがて、お母さんは「みんなにも食べてほしい」と、1991年に「金壺食堂」をオープンします。当初は行商で沖縄にやってきた台湾の方々が多く訪れていたそうですが、いつしか地元客が増え、今では観光客もやって来るように。現在、お母さんは引退して息子の末雄さんが引き継ぎましたが、創業時の味付けは頑固に守り続けています。

お母さんの優しさがつまった「金壺食堂」の料理。沖縄にいらした際はぜひ味わってほしいものです。

※こちらは、2015年8月21日公開の記事となります。更新日はページ上部にてご確認いただけます。
記事中の写真、価格は取材当時のものとなります。

スマートポイント

  • 「金壺食堂」のテーブル席はわずか4つ。開店直後の朝8時ごろが一番混むので、ゆっくり食べたい人は、比較的空いている10時前後に行くのがベターです。
  • ビュッフェは一度にたくさんより、少しずつ取り分けた方が、たくさんのメニューを愉しむことができます。また、お総菜以外にご飯、お粥、お吸い物もおかわり自由です。
  • ビュッフェ以外にお弁当もあり。お総菜とご飯がボリュームいっぱい入っていて600円です。

ライターのおすすめ

絶対に食べて欲しいのは、一人に一つずつ付く、揚げ春巻き。ひと噛みするとジュワッと広がる野菜の甘みに、グルテンを使った肉もどきの歯ごたえが相まって、思わずほっぺが落ちそうな美味しさなのです。

平良竜次

沖縄県内現役最古の映画サークル(NPO法人)の代表。独自の切り口で他では知れないディープな沖縄を紹介していく。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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